2024年度に行われる予定・行われたゼミのアブストラクト集を掲載しています。4月2日の例会の分から順次、順番に公開していきます。
ただし、掲載されたゼミ内容の詳細は変更される場合があります。あらかじめご了承ください
「薬が手元に届くまで」 (4/2)
4/2のゼミは「薬が手元に届くまで」
歴史上、そして現代の代表的な薬の発見の物語と作用機序をご紹介します。さらに、「薬」に関わる仕事にはどんなものがあるか、それらに就くにはどうすればよいかを新入生・就活生に向けてお話します。
前提知識は全く必要ありません。お気軽にお越しください!
「個体群ダイナミクスの数理」 (4/9)
4/9の新歓ゼミは、「個体群ダイナミクスの数理」です。 個体群の大きさの時間発展を記述する古典的な数理モデルについてご紹介します。 数理モデルというと少し堅苦しく聞こえますが、難しい数学の知識は必要ありませんので、ぜひお気軽にご参加ください。
「細胞はどう時を刻むのか-1日って何時間?-」 (4/16)
4/16(火)の新歓ゼミは「細胞はどう時を刻むのか-1日って何時間?-」。
生物は日が昇って沈んでまた昇るという1日24時間という生活リズムで暮らしていますが、実は暗闇の中に長期間いても約24時間周期の活動リズムが維持されることが分かっています。今回はそんな「概日リズム」の謎に迫ります!
「冬眠生物学と人工冬眠技術」 (4/30)
冬眠という現象が現代の生物学の研究として扱えるようになっていく過程と冬眠現象を医療に応用する試みについてお話します。
「4/14の遠足報告会 」(5/7)
4/14の遠足報告会を行います。遠足でみつけた生物たちと、その他諸々の写真を観賞しましょう。
「植物の性の不思議な世界 」(5/14)
動物と同じように植物も「性」と呼ばれるシステムを持っています。しかし植物の性表現は動物よりもはるかに多様です。被子植物の性決定のメカニズムとその進化の歴史を分子生物学・進化生物学の観点からお話しします。
「細胞内非平衡環境のメカニズム解明への挑戦 」(5/21)
近年の物理学や測定技術の発展により、従来困難であった細胞内の非平衡な熱力学的な状態量を観測し、議論することが現実的になりつつあります。最近の研究の成果について紹介します
「武器性質形成から見る昆虫の発生学 」(5/28)
昆虫の形態の多様性がどのように形成されているのか、今回は特に武器形質に注目して、その分子発生メカニズム解明に関わる研究を紹介します。
「アブラナ科植物の食害防御機構 」(6/11)
シロイヌナズナやキャベツ、ワサビなどのアブラナ科植物が合成するカラシ油配糖体という化合物は、昆虫による食害や病原菌に対する防御物質として働きます。今回は特に、その食害に対する防御機構について、簡単に紹介したいと思います。
「化学反応ネットワークの数理 」(6/18)
代謝数理モデルの立場として大きくわけて、グラフの構造のみから議論する静力学モデルの立場(フラックスバランス解析など)と、反応レートも具体的にモデルを立てて議論する動力学モデル(キネティクモデル)の立場があります。それぞれを簡単に紹介して、利点、欠点について紹介できればと思います。
「生物群集の遷移に再現性はあるか 」(6/25)
生態学において遷移はとても重要な概念ですが、例えば、真面目に森林の遷移を観測しようとすると、時間の制約的に人ひとりの人生では到底足りません。生態学はしんどいですね。 ここで、森林開発や微生物群集の食品利用を、生物群集の操作/制御(応用的な利用)とみなしてみます。この場合、様々な制約から長期間/多反復の観察ができないこれらの群集について、応用的な利用だと宣うそれらの操作/制御の再現性はどのように担保すればよいのでしょうか。というか、群集の遷移過程は再現するんでしょうか。ゼミではこの辺りを考えていきたいと思います。修論で発表した内容を適宜補いつつしゃべるので、前提知識は不要です。
「SF古典と今」 (7/2)
某SF映画に登場する21世紀の科学技術と現在を比較し、半世紀以上前に想像された未来がどこまで達成されたのかを評価して遊びたいと思います。
主に以下のトピックを取り扱おうと思います。
道具の獲得と人類の進化
宇宙開発競争の歴史
地球外知的生命探査
人工冬眠技術
人工知能
この情報でどの映画を題材にしているか分かる方はいるでしょうか?
浅く広く科学に関する話題を提供する会にしたいと思います。
ネタバレしないよう細心の注意を払いますので、ぜひお楽しみいただければと思います。
「海辺の歩き方」 (7/9)
砂浜や塩性湿地といった海辺の環境で行われたフィールドワークを題材にしたお話をさせていただこうと考えています。砂浜の構造と植生の関連性や、塩生植物の生理に関する研究から、フィールドワークの難しさやおもしろさについて少しでもお伝えできたらと思っております。
「コウモリのエコーロケーションにおける動体検知戦略」 (7/16)
明日はコウモリの超音波を用いたセンシング能力であるエコーロケーション(反響定位)についてお話しさせていただきます.私が博論で研究に取り組んでいる内容です.
今年始めに国際誌に掲載された論文をベースに,直近での実験結果の内容も追加してご紹介できればと思います.
物体位置の定位みならず,彼らがエコーロケーションによってどのように物体の「動き」を検知・捕捉しているのか.接近する天敵を発見して回避する文脈と,羽ばたく獲物(蛾)を発見して追尾する文脈から解明に試みた,というような内容です.
「大福餅をちぎりたい!」 (9/17)
大きな大福餅1つを小さな大福餅2つに分けたいと思ったことはありませんか? 真ん中付近で単にちぎるのもよいですが、皮をはがして中身のあんこを分けてから包み直してもいいかもしれません。今回のゼミでは細胞の中で起きる「大福餅分配問題」について話します。
「ディープラーニングによるカエルの自動音響モニタリング」 (10/1)
最近流行りのAIですが、実はカエルの調査研究にも大いに役立ってくれそうです。本ゼミではAIを用いたモニタリングの自動化と、そこで得られた大量の野外観察をもとにどんな研究ができそうか、演者の研究を中心に話します。
「植物病原菌視点での植物病原菌vs植物」 (10/8)
普段何気なく見ている植物ですが、μレベルでは無数の植物病原菌との熾烈な争いが繰り広げられているのです。そして、感染すれば病徴という形で私たちの目に見えるようになります。植物の葉をよく見ていると、一部が斑点模様や黒ずみみたいになっていることが多いですよね。今回は、植物病原菌視点で感染までにどのようなドラマがあるのかをメインに、走化性実験の概要なども含めてお伝えします。攻防のダイナミックさを感じていただけたらいいなと思っています。皆さまからもたくさん教えていただけると嬉しいです。今回は発表が30分くらいのミニゼミ形式です
「植物視点での植物病原菌vs植物」 (10/15)
植物はどのように病原菌の激しい攻撃から身を守っているのでしょうか? 植物がもつ免疫システム「エフェクター誘導免疫」において重要な役割を果たす細胞内受容体・NLRに着目し、その機能・免疫反応誘導機構・進化史についてご紹介します。
「セントラルドグマの情報理論」(10/22)
私達のゲノム情報は複製を通して次の細胞や子供へ伝えられます。しかし、これらの遺伝暗号は進化の中で選び抜かれた”最適な”ものでしょうか? それとも何らかの物質的制約の中で”妥協した”ものでしょうか? 今回は「情報」という観点から生命を考えます。
「種内のはなし」(11/5)
同種内で形態その他のバリエーションが見られる「多型」はどのように形成され、またどのように進化してきたのでしょうか。今回は、エボデボの視点から考えてみたいと思います。
「周期ゼミ」(11/19)
アメリカには、13年あるいは17年の周期で羽化する、周期ゼミ (素数ゼミ)と呼ばれるセミがいます。
今年2024年は、13年ゼミと17年ゼミが同時に発生する年であったため、ニュースなどで目にした方も多いかもしれません。
このセミが素数ゼミと呼ばれる理由にもなった、13年あるいは17年といった世代時間は、進化の中でどのように獲得・維持されてきたのでしょうか。
明日は周期ゼミの生態から、その周期のメカニズム・進化に関する仮説を紹介したいと思います。
「アルミニウムの微生物腐食」(11/26)
アルミニウムはその表面が酸化被膜で覆われているため高い耐食性を示します。しかし、条件次第でその被膜が破壊されると腐食が進行します。その中でも特に微生物の作用によりアルミニウムが腐食するという現象に注目していきたいと思います。
生物とはあまり縁のないアルミニウムですが、その特殊な性質を語るだけでも十分に知的好奇心を満たせるのではないかと思います。
「有翼の馬」(12/3)
どうして、ペガサスのように四肢に加えて翼を持つ馬は存在しないか?
これほどまでに生物は多様であるにも関わらず、である
本ゼミではその答えを19世紀の古い版画に求めてみたい
さらに、ペガサスの翼のような「新規器官」が誕生する可能性についても議論する
「細胞の熱力学」 (12/10)
熱力学は、身の回りのスケール(マクロなスケール)で成り立つ普遍的な法則を体系化したものです。その特徴は「できないこと」を定式化できることにあります。
一方で、熱ゆらぎの影響を顕著に受ける細胞内のスケールでは、マクロな系で成り立っていた「できないこと」が確率的に「でき」てしまいます。このとき、「マクスウェルの悪魔」と呼ばれる古典的なパラドックスが姿を見せることがあります。
細胞内のスケールでの物理についてお話ししたいと思っています。
「植物系統分類学の歴史概観」 (12/17)
リンネ以降の植物系統分類学について、軽く流れを知っておくことは今後の学習にきっと役立つと思います。といってもあくまで「概観」ですので、細かく人物ごとに見ていくことはしません。大きな流れをつかんでいきましょう。
「発酵とお酒」(12/24)
忘年会にふさわしい演題は何でしょうか?今年のノーベル賞ゼミ?今年のインパクトのある論文紹介?今年一年の活動報告?
せっかく忘年会なら、酒のはなしでもしましょう。お酒を飲まないor飲めない方々も、知識を持つことはよいことです。情報共有の場(飲み会)で話のネタが増えます。
「植物の形態形質~門松の植物を判別したい~」(1/7)
門松には縁起物の植物が寄せ植えされているわけですが、そんな縁起物の種類がわからないという日本人歴21歳としてちょっと恥ずかしい事態に陥りました、、、
似た別の植物と見分けられなかったのです。
植物を見る目を養うためには第一に形態形質を知る必要があるでしょう。
なので今回は、植物の形態形質について知識を深めて、眼前に現れた植物の形質を把握するための準備をしましょう。
「天使の翅」(1/14)
皆さまは冨樫義博という漫画家をご存じでしょうか。H×HやレベルEといった作品の中で、彼は様々な生き物に様々な方法で翼を与えてきました。鰓の様な翅を持つ生き物(?)や、二通りの方法で翼を与えられたカエルから、私は昆虫の翅の起源に思いを馳せるのでした。
明日1/14(火)のゼミでは、「天使の翅」というタイトルで、天使型と言われる昆虫の翅の進化的起源を巡る論争の歴史を辿り、新奇形質が獲得される背景や、それを研究する意義について考えていこうと思います。
「 細胞内液滴フロンティア 」 (1/21)
餃子を食べるとき、醤油にラー油を数滴垂らしてみると、滴同士で合体して、巨大なラー油滴が出現します。今回のゼミでは、細胞内に存在する液滴にフォーカスします。醤油-ラー油よりも相当複雑な細胞内でも液滴の挙動はそのノリで理解できるのでしょうか?
「魚類の眼や脳で『みる』仕組みのユニークな進化」(1/28)
古代魚を中心とした解析によって、珍しい遺伝子重複を皮切りとした魚類の持つ光センサーの多様化過程の解明を試みた研究を紹介します。
「深海熱水域からの微生物分離」 (2/4)
微生物の培養から性状解析、新種記載までのプロセスをご紹介します。おまけとして、ヨーグルトやお酒といった発酵食品から微生物培養を試みたお話もします。
「培養された神経ネットワークにおいて自己組織化する高次元神経活動」 (2/4)
近年の研究によって大脳の神経活動が非常に高次元であるということがわかってきています。この高次元性は情報の符号化において重要であることが理論的に示されていますが、その起源は明らかになっていません。特に、これが発生の間に自発的に生じるのか、それとも外界の学習によって生じるのかすら不明でした。本研究ではこれが自発的に生じることを示しました。さらに、高次元性と脳の臨界現象の間の新たなつながりも発見しました。
「データ駆動科学とはなにか?」 (2/11)
近年、大規模な生物学データの取得・解析技術が活発に開発されており、その発展は著しいです。
科学哲学、科学史、生物学史を手がかりに、生物学におけるデータ駆動科学とはなにか、皆様と議論できれば幸いです。
「持続可能な園芸への挑戦」 (2/25)
「持続的で生き物に優しい園芸」の実践についてお話しします。農薬をなるべく使わず、庭の中の小さな生態系を活かす園芸について発表いたします。発表者はバリバリの文系大学院生ですので、お気軽に聞きに来てください!