2020年度に行われる予定・行われたゼミのアブストラクト集を掲載しています。4月7日の例会分から順次,順番に公開していきます。 ただし,掲載されたゼミ内容の詳細は変更されることがあります。予めご了承ください。
3/31 YT(生命M1)
方向定位は様々な動物で普遍的にみられる現象ですが、そのメカニズムは非常に多様です。本ゼミでは長距離移動をする生き物を紹介し、太陽コンパスや磁気感覚といった生命の驚異的な方向感覚について解説します。後半では、なぜ北を指さないコンパスが進化してきたのか考察します。
4/7 MS(理3)
ふと古い教科書と新しい教科書を見比べると、内容が新しいだけでなく「書き換えられている」部分が見えてきます。今回は特に、演者が好きな細胞・分子生物学の分野で、教科書を変えた研究の例を紹介します。
4/14 IH(理3)
○○生態学。よくこのような学問領域を耳にしますが、では「生態学」とは何でしょうか? 個体数の増減を説明する様々な理論を、高次/低次のプロセスを考えた遺伝子の位置づけから俯瞰していきます。この、統合された生態学/進化学の理論を踏まえて最先端の技術を用いた遺伝情報を活用した生態学の行方について議論していきます。
4/21 AN(理2)
近年の分子生物学における急速な発展により、生物の部品についての膨大な知見が蓄積されてきています。部品がどのように機能して生命現象を創発するのか、という疑問に答えるのがシステム生物学という分野です。今回は特にその理論的側面について、包括的なゼミを行います。
4/28 HS(理2)
生物の遺伝において欠かせない存在であるDNA。その性質を化学的な視点から考え、DNAをナノテクノロジーにおける材料ととらえた「DNAorigami」という概念について、歴史や原理、非常に多岐にわたる様々な応用について今回のゼミで紹介し、面白さを紹介したいと思います。
5/5 AY(農地環2)
“バイオイメージング”という言葉を聞いたことがない人はほとんどいないと思います。その“バイオイメージング”について歴史を振り返りつつ、何が可能になったか、や現在ではどんなものを見ているかを少し紹介していこうと思います。生物分野からはやや離れることもあるので、生物にあんまり興味ないという方にも楽しんで頂けるかと思います。
5/12 KY(農資源3)
生き物の図鑑を開くと、それぞれの種の分布に関する記述が見られます。特定の海峡や山脈が多くの種の分布域の境界になる場合や、近縁種との明瞭な境界線が見られる場合など、分布域のパターンは様々です。今回は、そういった分布域がどのように形成されるのか、各種要因に触れながら概説した上で、生物の分布を推定するモデルも紹介したいと思います。
5/19 SK(医人健2)
クロロキン(CQ)とピペラキン(PPQ)は、キニーネの後続としてマラリアの治療に使われている薬剤です。しかし、現在それらに対する抵抗性が出現しています。これをもたらす機構はまだ解明されていませんが、その手がかりとなる変異についての話をします。
5/26 KM(薬3)
“薬”にはそれぞれ、巨視的には錠剤やカプセルのような剤形、微視的には分子構造といった“カタチ”があります。医薬品が生体内で安全かつ有効に作用するための“薬のカタチ”はどうなっているのか、医薬品の作用メカニズムと共に考えていこうと思います。
6/2 RU(農資源4)
皆さんは光合成という営みを(一部、或いは全て)放棄し、他の生物から栄養を貰う”ニート”な植物の存在をご存知でしょうか。本ゼミでは、こうした植物たちの奇妙で魅力的な暮らしを紹介すると共に、その適応的意義について考えていきたいと思います。
6/9(医医)
私たちの身体はどのように形作られるのでしょうか?単細胞である受精卵から、どのようにして空間的、生物学的に多彩な多細胞組織が生まれるのでしょうか?この発生生物学上の究極の問いのカギとなると考えられているのが、私たちが一度は経験する「原腸形成」という現象です。単純なただのシート構造から複雑な組織が生み出される、この不思議でダイナミックな現象について、最新技術を駆使しつつ迫ります。
6/16 TI(理4)
生物にとって必須な,環境に上手く対応する能力。本ゼミでは発生生物学の視点から生物の環境応答,ひいては進化へとどう繋がっていくのかについて考えます。表現型可塑性と呼ばれる現象を中心に,ミクロな生物学とマクロな生物学を行ったり来たりします。
6/23 GS(農3)
熱力学は非平衡系という生命の本質を記述できるでしょうか?確率的熱力学を中心とした現代熱力学がどれほど非平衡熱力学理論を得ているか、特に物理化学らしい視点からご紹介します。また実際の生命系への応用も議論しようと思います。ぜひお気軽にお越しください。
6/30 KK (理研M1)
ダーウィンは個体ごとの違いの延長線上に生物種の違いがあることを指摘しましたが、では種差と個体差に本質的な違いは無いのでしょうか。統計的な枠組みによって、それを検討する研究を紹介します。
7/7
当会で注目されているトピックの一つ光合成を捨てた従属栄養植物。でも忘れないで欲しいのは、光合成も面白くて工夫に満ちた反応であるということ。本ゼミでは光合成の魅力を紹介し、Rubiscoの非効率さや光呼吸反応について改めて考えていきたいと思います。
7/14
「なぜ寿命というものが存在するのか?」という疑問をもったことはないでしょうか。なぜ生物は寿命によって死ぬのか、なぜ進化の過程で「自然死」は排除されることなく残り続けたのか、「自然死の利点」ということに注目しながら考えてみたいと思います。
8/11
種内の利己進化は一見多様性の排除に働くようで、密度/頻度依存選択を合わせて考えると種多様性の維持に働く可能性が浮上しました。
ゼミではこの機構を紹介し、違う階層の利己性の1つである黒の女王仮説に触れて生物間相互作用の多様性を考えます。
8/18
開国後の日本では欧化政策のもと、現在にもつながる大学研究体制が築かれました。本ゼミでは、動物学に焦点を当て、当時の研究者たちの関心や教育姿勢をもとにその黎明期を垣間見ることができればと思います。
8/25
あらゆる細胞上に存在し、第3の生命鎖と呼ばれている糖鎖。糖鎖とはなにか?生物は糖鎖をどのように利用しているのか?そして、糖鎖解析の難しさ。糖鎖生物学の基礎をお話するとともに、細菌・古細菌の糖鎖についても進化的な知見を混じえてご紹介します。
9/1
種分化、進化、生態のモデル生物として名高いシクリッド。ですが、その面白さは悲しいほどに知られていません。今回はシクリッドの生態・進化について話そうと思います。進化に興味がある方は必ずお楽しみいただけますのでぜひご参加下さい。
9/8
身長や体重、あるいは行動の違いなどの「個体差」には多数の遺伝子が複雑に作用した結果だと推測されています。このゼミでは、この個体差に関わる遺伝子を解き明かす1つの方法であるゲノムワイド関連解析を、実際の研究例を交えながら紹介したいと思います。
9/15
脊椎動物の適応免疫は、TCR・BCR遺伝子の再編成や多系統のリンパ球など独自の仕組みを多く含みます。この複雑なシステムは他の分類群には全く見られないにも関わらず、有顎脊椎動物内で広く共有されています。 その進化を考える上で鍵となるのがヤツメウナギを始めとする無顎類です。無顎類もまた適応免疫を持つことがわかってきましたが、その細部は有顎類のそれとは少し異なっています。両者を比較することで、巧妙な適応免疫システムがどのように進化してきたのか、その道筋を辿りたいと思います。
9/22
節足動物に寄生し、オス殺しや性転換など様々な手法で女の園をつくりだす不気味な共生細菌。今回はなかでも多様な手法を持つボルバキアに注目します。その仕組みや適応的な意義から影響、利用の可能性まで広くご紹介します。
9/22
相分離メガネをかけて、生命の起源を眺めてみる。今回は、相分離生物学の要である『液滴(droplet)』が生命の起源、初期の地球生命系でどのように役立ちうるのかご紹介したいと思います。
9/29
単純なモデルによって複雑性と安定性の間にある負の相関を示すことができます。しかし身の回りの生態系は複雑かつ安定なように思えます。このパラドクスを解明するために、ランダム行列をはじめとする数理的考察を紹介します。
10/6
植物は生存や繁栄のため、多彩な二次代謝成分を生成しています。今回は、植物が化学物質により他者に作用を及ぼす 「アレロパシー」を取り上げ、特に薬用植物のアレロパシー活性についてご紹介します。
10/6
クラゲといえばお盆の海に大量発生しては海水浴場で猛威を振るいますが、何も海だけのものではありません。
触手で刺すというのがクラゲのイメージですが触れずに刺すクラゲもいます。
そのような想像を超えた行動をする、少し変わったクラゲたちについてご紹介します。
10/13
人間の認知能力の個人差は環境要因だけではなく遺伝的要因も大きく関わっています。近年発見されている認知、知能に関係する遺伝子などを実際に挙げながら知性の遺伝について話したいと思います。
10/13
遺伝子発現制御は生物にとって非常に重要ですが,我々のからだがつくり上がっていく発生過程において如何にして制御されているのでしょうか。今回のゼミでは,発生生物学とは何か?から始めて,発現制御の視点から発生生物学を眺めます。 #RegulatoryGenome #GRN
10/20
バケツ一杯の水があれば生物の姿を見ずとも生息する種がわかる。こんなSFのような事を可能にするのが、「環境DNA」と呼ばれるものを用いた技術です。
今回は成長著しいこの分野について、現状の研究を事例を見て説明しつつ技術の未来を考えます。
10/27
11/3
意識はあまりにも自分に馴染んでいるため、いざ「意識とはなにか?」と考えると難しいのではないでしょうか。今回のゼミでは、その問いに答える鍵となるかもしれない「グローバル・ニューロナル・ワークスペース」という理論の話をします。
11/10
自然界に微量に存在する安定同位体。この存在量を分析することで、生態系の物質循環や水圏生物の回遊経路を明らかにする研究が進んでいます。今回のゼミでは、最新の研究成果を交えつつ同位体比分析の秘める可能性をご紹介します。
11/10
古くから研究され続けているにも関わらず、未だ不明な点の多い外眼筋の発生の謎を、頭部分節説と絡めてご紹介したいと思います。皆様にとって馴染みの薄いテーマかと思いますが、発生学や解剖学の基本的な用語からご説明します。
11/17
満腹ホルモンとも呼ばれるレプチンは、最近ではとても有名になりました。摂食には他にも様々なホルモンのかかわりがあります。これらは肥満への特効薬としての役割を期待されながら、研究が進められています。しかし、大脳で精密に制御される食欲は、我々がそう簡単に操作できるものではないようです。
これらの作用機序を通して、なぜ人間は肥満になるのか、それに対抗する術はあるのか、また個人的にこれからウケそうなダイエット製品をご紹介します。前提知識は全く要りませんのでお気軽に!
11/24
生体内で地味ながら重要な働きを担っている金属ですが、その独特な特性を生かして薬になったものも数多く存在します。今回は、そんな金属含有医薬品たちを紹介したいと思います。
11/24
あまり知られていない昆虫ーハネカクシ。今回は, 彼らの魅力を近年発表された研究も踏まえつつ, ご紹介します。これまで行われてきた化学生態学的研究を中心に, 分類・進化・分子生物などの知見もゆるくご紹介したいと思います。
12/8
ズバットを摂食することでコロナの感染が拡大するという、ウツギ博士が書いた(デタラメ)論文を読んで遊びます。
そしてこの論文が出版されてしまった経緯を考察し、オープンアクセス化する論文出版業界の抱える課題についてみんさんと考えていきます。
12/15
多くの人に名前は知られている一方、馴染みの薄いコウモリの生態や形態・人との関わりや現在直面しているコウモリの危機についてお話させて頂く予定です。是非ご参加ください!!