脂質・炭水化物摂取と死亡率の
関連性に関するPURE研究
脂質・炭水化物摂取と死亡率の
関連性に関するPURE研究
Byartfarmer2025年12月30日
脂質・炭水化物摂取と死亡率
糖質制限の有効性を示すエビデンスとして、以下の画期的な研究があります。
PURE研究 (The PURE study)
論文名: Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study
著者: Dehghan M, et al.
掲載誌: The Lancet (2017)
内容: 炭水化物の過剰摂取が死亡リスクの上昇と関連し、脂質の摂取は死亡リスクの低下と関連することを示した大規模研究。糖質制限の正当性を主張する際によく引用されます。
URL: https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(17)32252-3/fulltext
【研究デザインのポイント】
この研究の最大の特徴は、「対象の多様性」です。これまでの栄養疫学研究の多くは欧米(高所得国)を中心に行われていましたが、PURE研究は世界5大陸18カ国(低所得国・中所得国を含む)の約13万5000人を対象に、平均7.4年間追跡調査を行いました。これにより、「人類全体における普遍的な栄養の影響」が見えてきました。
【主要な結果(Key Findings)】
炭水化物と死亡率の関係
炭水化物の摂取エネルギー比率が高いほど、総死亡リスクが上昇しました。
特に摂取比率が60%を超えるとリスクが顕著に上がることが示されました。
脂質と死亡率の関係
脂質の摂取比率が高いほど、総死亡リスクは低下しました。
これは、脂質の種類(飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸)に関わらず、同様の傾向が見られました。
特に、長年「心臓に悪い」とされてきた「飽和脂肪酸(肉やバターの脂)」の摂取量が増えても、心血管疾患の発症リスクは上昇せず、むしろ脳卒中のリスク低下と関連していました。
【この論文の意義】
WHOや多くの国の食事ガイドラインが推奨してきた「脂質を減らし(30%以下)、炭水化物を中心にする(50-60%)」という指導が、死亡リスクを高めていた可能性を示唆しました。「低脂肪食」の神話を疫学的に否定した、歴史的な転換点となる論文です。
私的考察
「炭水化物の過剰摂取」の原因の一つに貧困(各国における貧富の差)があると思う。
低所得国の場合、どうしても安い精製された炭水化物が主な食糧になってしまうことが挙げられる。
欧米(高所得国)・PURE研究は世界5大陸18カ国(低所得国・中所得国を含む)
なお、日本(相対的貧困: 日本国内では「7人に1人が貧困状態」)の平均的な食事は炭水化物60%前後であることが多く、警告的なデータ である。
参考ページ
世界的糖尿病有病率の急増と食事療法 (国際ガイドライン(FAO/WHO))
https://sites.google.com/view/ostinatoink/diabetes/tounyoubyou
Listen to the audio commentary
解説を聞きながらご覧になるとより理解が深まります。
5大陸18カ国、135,335人を対象とした大規模前向きコホート研究(PURE研究)の結果、主要栄養素の摂取と死亡率および心血管疾患リスクに関する従来の定説に疑問を呈する重要な知見が明らかになった。本研究の最も重要な結論は以下の通りである。
• 炭水化物の高摂取は、総死亡リスクの上昇と関連している。 炭水化物摂取量が最も多い群(上位20%)は、最も少ない群(下位20%)に比べて総死亡リスクが28%高かった(HR 1.28)。
• 脂質の高摂取は、総死亡リスクの低下と関連している。 総脂質、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸のいずれも、摂取量が多いほど総死亡リスクが有意に低下した。総脂質摂取量が最も多い群は、最も少ない群に比べてリスクが23%低かった(HR 0.77)。
• 脂質摂取は、心血管疾患や心筋梗塞のリスクとは関連がなかった。 総脂質および各種脂肪酸の摂取量は、心血管疾患死亡率や心筋梗塞の発症リスクと有意な関連を示さなかった。
• 飽和脂肪酸の摂取は、脳卒中リスクの低下と関連していた。 飽和脂肪酸の摂取量が最も多い群は、最も少ない群と比較して脳卒中リスクが21%低かった(HR 0.79)。
• 結論として、これらの知見に基づき、世界的な食事ガイドラインを再考する必要があると研究者らは提言している。
1. 研究の背景と目的
主要栄養素(炭水化物、脂質)と心血管疾患(CVD)および死亡率との関係については、長年にわたり論争が続いている。これまでに利用可能なデータのほとんどは、栄養過多が問題となりやすいヨーロッパや北米の集団から得られたものであり、他の地域や多様な食生活を持つ集団への適用可能性は不明確であった。
この知識のギャップを埋めるため、Prospective Urban Rural Epidemiology (PURE) 研究は、所得水準の異なる5大陸18カ国の多様な集団を対象に、炭水化物と各種脂質の摂取が、総死亡率および心血管疾患イベントに与える影響を評価することを目的とした。
2. 研究デザインと方法
3. 主要な研究結果
追跡期間中に、5,796人の死亡と4,784件の主要心血管イベントが記録された。栄養素別の分析結果は以下の通りである。
3.1. 炭水化物の影響
• 総死亡率: 炭水化物の摂取量が多いほど、総死亡リスクは有意に上昇した。摂取量が最も多い群(第5五分位数)は、最も少ない群(第1五分位数)と比較して、死亡リスクが28%高かった。
◦ HR: 1.28 (95% CI 1.12–1.46), ptrend=0.0001
• 心血管疾患: 炭水化物摂取量と心血管疾患リスクまたは心血管疾患死亡率との間に、有意な関連は認められなかった。
3.2. 脂質の影響
総死亡率との関連
総脂質および飽和、一価不飽和、多価不飽和の各種脂肪酸の摂取は、いずれも総死亡リスクの低下と有意に関連していた。
心血管イベントとの関連
• 心筋梗塞・心血管疾患死亡: 総脂質、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の摂取量と、心筋梗塞リスクまたは心血管疾患死亡リスクとの間に、有意な関連は見られなかった。
• 脳卒中: 飽和脂肪酸の摂取量が多いほど、脳卒中のリスクは有意に低下した(逆相関)。摂取量が最も多い群は、最も少ない群と比較して、脳卒中リスクが21%低かった。
◦ HR: 0.79 (95% CI 0.64–0.98), ptrend=0.0498
4. 研究の解釈と結論
本研究は、これまでの栄養に関する常識とは異なる結果を示している。
1. 高炭水化物摂取は総死亡リスクの上昇と関連していた。一方で、心血管疾患リスクとの関連は見られなかった。
2. 総脂質および各種脂肪酸(飽和脂肪酸を含む)の摂取は、総死亡リスクの低下と関連していた。
3. 脂質摂取は、心筋梗塞や心血管疾患による死亡とは関連がなかった。これは、脂質、特に飽和脂肪酸の摂取を制限することが心血管疾患予防の中心であるとする多くの食事ガイドラインと矛盾する。
4. 特に注目すべきは、飽和脂肪酸の摂取が脳卒中リスクの低下と関連していた点である。
これらの結果は、単一の地域や民族ではなく、経済レベルや食文化が異なる世界中の多様な集団から得られたデータに基づいている。したがって、研究者らは「これらの知見に照らし合わせて、世界的な食事ガイドラインは再考されるべきである」と結論付けている。
5.私的考察
「炭水化物の過剰摂取」の原因の一つに貧困(各国における貧富の差)があると思う。
低所得国の場合、どうしても安い精製された炭水化物が主な食糧になってしまうことが挙げられる。
欧米(高所得国)・PURE研究は世界5大陸18カ国(低所得国・中所得国を含む)
なお、日本(相対的貧困: 日本国内では「7人に1人が貧困状態」)の平均的な食事は炭水化物60%前後であることが多く、警告的なデータ である。