いつまでも見ていたい。
映画『侍タイムスリッパ―』から
司祭 ミカエル 藤原健久
最高法院の席に着いていた者は皆、ステファノに注目したが、その顔はさながら天使の顔のように見えた。(使徒言行録六・一五)
前々から噂は聞いていたのですが、日本アカデミー賞を受賞したと聞いて、急いで観に行きました。
題名の通り、幕末の武士が現代日本にタイムスリップしたところから物語は始まります。現れた先は、なんと京都。有名な撮影所です。そこで彼は、時代劇の「切られ役」として活躍していきます。
「真剣に見える殺陣(たて)」を目指しただけあって、チャンバラはすごいです。私が今まで見た殺陣の中で、一番の迫力だと思います。監督のこだわりと、スタッフの強い思い、そして俳優さんたちの研究と努力が、伝わってきます。そして、自主映画だからでしょうか、全体に優しい空気が流れています。足りないところを補い合い、苦しい時にはみんなで支え合ってきたことが分かります。「商売」ではなく、「良い作品を世に届けたい」という思いで製作されたのでしょう。
出演者に有名な「スター」は居ません。けれどもみんな魅力に溢れています。特に主演の方は、とても素敵です。頭の上から足の先まで、「侍」にしか見えません。刀を構えているときには、切っ先まで彼の精神が満ちているように感じます。
この「侍」を見ていると、目が離せない気持ちになります。いつまでも見ていたい、見ているだけで心が満たされる、そんな思いにまでなってしまいます。それは彼の立ち居振る舞いの中に、「侍」としての彼の生き方を見るからでしょう。自分の損得や、プライドよりも、仲間たちへの思いや、自分の信念を大切にして、まっすぐに立つ。そんな生き方が、溢れる魅力になっているのでしょう。
イエス様も、魅力あふれる方だったのでしょう。周りに居た人は、イエス様から目が離せなくなる、そんな魅力があったのでしょう。それは、イエス様が十字架を前にしっかりと立って、十字架に向かって真っすぐに歩いてらっしゃる生き方から来たのでしょう。祝福の言葉にある、「主イエス・キリストの恵み」の「恵み」は、「魅力」という意味もあるのだそうです。イエス様の魅力をしっかりと感じるのは、大きな恵みです。イエス様をしっかりと見つめ、私もまっすぐに歩きたいと思います。