本ページでは、住宅密集地における薪ストーブの排気ガス問題を取り扱っています。そのため、寒冷地やぽつんと一軒家の様な場所での仕様に関しては、個人の自由ということで、全く問題にしていません。また、薪ストーブの導入を検討していたり、すでに使用している方に関して、客観的な健康被害に関しての情報をお伝えしようと思います。
復習となりますが、薪ストーブの排気ガス中に含まれる有害物質には、以下が挙げられます。
・一酸化炭素(CO):
サイレントキラーとも呼ばれ、火災時に最も危険と呼ばれるガス。濃度が高くなると頭痛、眠気、失神を引き起こし、最終的には死に至る。
・二酸化炭素(CO2):
濃度が高くなると、頭痛、眠気、失神を引き起こし、最終的には死に至る。
・揮発性有機化合物(VOC):
揮発しやすい有機化合物(炭素を含むガス)です。様々な種類のガスがこの中に含まれ、中毒症状を示す様なガスも含まれる。塗料、接着剤、インク、洗浄剤、ガソリン等に含まれます。光化学スモッグの原因物質でもあります。シックハウス症候群の原因物質の一部も含まれます。
・多環芳香族炭化水素(PAH):
PAHは、各種工業過程によって生成されます。これ以外にも、有機物(炭素を含む物質)の不完全燃焼や熱分解でも生成されます。身近なところでは、ディーゼル車や暖房等の燃焼機関やでも生成されます。それ以外にも、バイオマス燃料(つまり、木や草)や化石燃料の燃焼でも生成します。要するに、炭素を含む物質を燃やせば、それが石油・石炭と行った化石燃料であっても、天然のものなので安全と勘違いしやすい木の燃焼、言い換えると、山火事、薪ストーブ、ペレットストーブだろうが、何でも基本的にはPAH発生の可能性があります。このPAHの中には、確実に発がん性があるとされている化学物質が多く含まれています。
・2.5μm以下の微粒子(PM2.5):
非常に細かい粒子であるため、肺の奥深くまで侵入し、更に、血管中に侵入することが知られています。その結果、循環器系の病気の原因、悪化の原因物質になるとされています。また、アレルギー反応を引き起こすため、それによって呼吸器疾患の原因になることも知られています。
<薪ストーブ使用における健康被害>
・使用家庭における小児喘息発生率の増加(環境省関連の研究です。)
https://www.env.go.jp/chemi/ceh/results/material/main_224.pdf
※喘息は、咳をするだけでなく、症状が進むと窒息して死に至る病気です。
<薪ストーブの排気ガス中に含まれる有害物質>
PAHによって喘息が悪化する事は、すでに証明されています。
例えば、以下のように日本での研究結果もあります。他にも、世界的には様々な研究が報告されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27517941/
・他にも、PM2.5の濃度が増加すると脳卒中が増加する等、様々な悪影響があることが知られています。
<最新型(クリーンバーンを備える)と呼ばれる薪ストーブ使用時の室内PM測定>
https://youtu.be/754yeBPPMA0?si=qEwqS0eDh-VfmL66
左の列が使用前、真ん中の列が使用後、右の列が増加率
上の方が、各サイズの粒子数
下の方が、各粒子の濃度です。
PM2.5とPM10の濃度を見ると良いでしょう。
ちなみに、PM2.5のWHOの基準値が15μm/m^3となりますので、室内ですら異常な値となります。
なお、この機種は、認証を取るときにズルをしたという機種らしいです。
認証を取るときに、トリックがあって、規制逃れが出来るという問題も指摘されています。
そのため、販売店がEPA認証だと行ったところで、自宅内の汚染が無いというのは疑う必要があります。
なお、外に排出している排気は、当然もっとひどいはずですので、条件によっては近隣住民には悪影響が出る可能性が極めて高いということになります。