薪ストーブの排気ガスの近隣住民への健康被害は甚大です。すでに、別のページでも述べたように、薪ストーブ関連団体ですら、薪ストーブは薪から出る炭化水素ガスを燃焼させると述べています。つまり、化石燃料等も炭化水素ですので、発生する成分は似通っているということになります。最も似ているものとしては、植物由来ですので、タバコの燃焼時に発生するガスと薪ストーブの排気ガスは似た成分だと言われています。まずは、それを念頭において、対応を考えてください。東京都がディーゼルエンジン車の規制を行う前は、ディーゼルエンジンの排気ガスは真っ黒でした。その中には、PM2.5,VOC,PAH等の有害物質・ガス(発がん性物質を含む)が含まれています。
こちらに、クリーンバーンを備えると言われる薪ストーブ使用時の、PM2.5等の室内での増加に関する測定画像があります。左の列が使用前、真ん中の列が使用後、右の列が増加率です。上の方が粒子数、下の方がPM2.5とPM10の濃度です。PM2.5のWHO基準は15μg/m^3となります。
https://youtu.be/754yeBPPMA0?si=qEwqS0eDh-VfmL66
現在は、自動車の排気ガスには厳しい規制が課されているため、触媒やフィルター等を通して、排気ガスの汚染物質の低減が図られています。しかしながら、薪ストーブのいわゆるクリーンバーンの場合は、そのようなものはありません。触媒と言っても、自動車レベルの規制がされているわけではありませんので、無いよりはマシかもしれませんが、無害化は出来ていません。
そもそも、薪ストーブのクリーンバーンの説明に関しては、2次燃焼と言われています。しかし、焼却炉等で使われている用語である二次燃焼を流用して、まるで科学的であるかの様に述べていますが、実際の燃焼温度は600℃程度と言われています。これに対して、焼却炉等の2次燃焼に関しての温度は800℃~1000℃となります。つまり、用語だけ流用して誤解を招く、極めて不適切な状況ということになります。ちなみに、1000℃以上になると、大気中の窒素(N2)が参加されて、NOx(一酸化窒素NOや二酸化窒素NO2)が生成されるため、温度が高ければいいというわけではありません。余談ですが・・・。
そのため、クリーンバーンだから、有害物質がすべて分解されるという表現自体が、極めて不適切で、誇大広告ということになります。日本には、広告審査機構がありますので、相談してもいいレベルかもしれません。そもそも、少しでも科学・科学技術を知っている人であれば、「すべて」とか「完全に」等は使えないはずです。そういう意味でも、ストーブ販売店の不適切な広告を信じて薪ストーブを導入するユーザーが増えるごとに、周りの近隣住民に薪ストーブの排気ガスの被害が増えるということになります。