現在、薪ストーブを直接規制する法令はほとんどありません。正確には、国交省が管轄の建築基準法と総務省が管轄する消防法の2種類が薪ストーブに関連する法案となります。両方とも、あくまでも設置家屋の火事防止の観点から規制しています。そのため、薪ストーブ使用者や薪ストーブ会社は、我々は法令を守っているのに、なぜ問題があるかと反論してきます。
しかし、国交省も、現在、薪ストーブの排気ガスを直接規制する法令は無いものの、局所的な大気汚染を引き起こすような状況は適切とは考えていない。これが、公共施設であれば規則によって、その様な状況に至らないために設計者は配慮しないといけない。(意訳しています)という回答を出しています。一般に、薪ストーブを新築時に設置する場合は、建築士が設計を行っているはずです。すでに、判例が出ているのですが、建築士は設計において周りの住民や歩行者等に対して被害を与えないように、瑕疵(問題)の無いようにに設計する義務があります。(意訳しています。)つまり、周りの家に迷惑をかけるような設計を避けなければならないということになっているのです。
また、何も規制する法律が無いということは、今後規制されないという意味ではありません。脱法ドラックを聞いたことがあると思いますが、薪ストーブの排気ガスは、現段階で規制をされていないだけであり、脱法状態であると言えます。決して、合法ではありません。
ここで、皆さんは、
「四日市ぜんそくをきっかけに、大気汚染を規制する法令が出来たと言ってなかったか?」
と思われたことでしょう。
実は、そう思われるのは当然です。
大気汚染の規制に関しては、環境省が所管する、以下の法律があります。
・大気汚染防止法
・悪臭防止法
しかし、これらの法律に関しては、致命的な欠陥があるのです。その欠陥とは、あくまでも対象が事業所(ざっくりいうと会社)ということです。そのため、個人所有の薪ストーブは規制の対象外となってしまうのです。なぜ、大気汚染が所轄官庁の環境省が何もやらないかは謎です。可能性としては、カーボンニュートラルのために薪ストーブを使いたい(これは間違いと最近判明)、薪ストーブ業界から政治家が圧力を受けており、更に環境省も言いなりになっている、PFAS等の別の問題があるため、後回しになっている、等、想像は出来るのですが理由は未だに不明です。
それでは、事業所以外で大気汚染防止法や悪臭防止法で規制されるレベルの大気汚染を発生された場合は、泣き寝入りしないと行けないのでしょうか?
そんな事はありません。日本の民法には不法行為というものが定められており、民事訴訟によって受忍義務(近所なのでお互い様のレベル)を超える被害を証明できれば、賠償金、仕様の停止等を求めることが出来ることになります。(ただし、判例等がほとんど無いようなので、弁護士に相談することをお勧めします。)また、日本は諸外国と違って、公害が発生していた場合に、被害者が被害を証明しないといけないという法律上の問題があります。そのため、被害を証明できるのかという問題もあります。次は、民事訴訟を含む、被害者が取れる選択肢に関してです。(2025/01/10)