薪ストーブとは、その名の通り、薪を燃料として熱を発生させるストーブです。かつては、風呂を沸かしたりストーブには薪が使われてきました。現在は、バイオマス燃料とも呼ばれます。一時は、その不便さから、山間部や寒冷地を除いてほぼ廃れたのですが、最近は、「おしゃれ」と勘違いして、住宅密集地で使用するユーザーが出現し、周りの住民に対して「薪ストーブの排気ガス」によって多大なる迷惑をかけています。
薪ストーブに関してですが、大雑把に言うと、薪を燃やす鉄製の容器にドアと煙突が付いており、薪はドアから入れ、煙突から排気ガスを外に出します。ここで問題になるのは、使用者の家屋内の大気汚染よりも、煙突から出てくる排気ガスによる近隣住民に対する大気汚染の方が、ひどいということです。すでに、被害者の皆さんは気づいている通り、使用者は自宅内は汚染せず、近隣住民に大気汚染を強いているという、使用者の常識と良識の欠如がこの問題の根源となります。そのため、ぽつんと一軒家において薪ストーブを使用するのは、全く問題がありません。
なお、近年は薪ストーブには、「2次燃焼」、「クリーンバーン」、「触媒」等の現代的な機構が用いられているため、排気はクリーンだという紹介をよく見ます。しかしながら、薪ストーブ販売会社が用いる、これら表現は極めて不正確です。本来は、虚偽広告として取り締まられるべきレベルの表現となります。
なぜなら、薪ストーブ会社の説明によると、薪ストーブは薪から出てくる可燃性ガスを燃やすタイプのストーブだからです。薪ストーブ会社ですら、この可燃性ガスを高温で燃やしたり、燃えた時の排気ガス中の有害物質を触媒で分解する事が出来ると説明します。ここで、被害者の方がよく認識するべきなのは、被害者が経験的によく知っているのは、薪ストーブを使い始めた時に強烈な排気ガスが煙突から出てくる、ということです。更に、使い始めだけではなくて、薪の追加時にも、強烈な排気ガスが発生するのもよくご存知かと思います。
これらは、理論的に正しいのです。なぜなら、可燃性ガスを高温で燃焼する事によって、薪ストーブ会社のいうところの「2次燃焼」、「クリーンバーン」が働き、排気ガスを「多少マシ」にするためです。しかしながら、薪ストーブ会社ですら、燃やし始めは強烈な排気ガス(薪ストーブ関係者は煙と呼びますが)が発生する事は認めています。当然、燃やし始めは燃焼温度が低いですので、薪ストーブ会社の言う現代的な機構は働きません。更に言うと、触媒は高温になるほど効率よく働きます。なので、燃やし始めや薪追加時に一番、汚染物質・有毒ガスを含む排気ガスを出す薪ストーブは、せっかく付けた現代的な機構が一番必要なときに働かない事になります。そのため、錦の御旗の様に薪ストーブ会社がアピールする現代的な機能は、隣人からすると、ほぼ意味のない機構となります。更に、燃やし始めの最初の「わずか」30分位しか、煙は出ないということを薪ストーブ会社は主張します。が、特に使いたくもない近隣住民からすると、30分「もの間」、毎日毎日、近隣住民は有毒な排気ガスを吸わされることが問題となります。
他に代替手段が無い時代や場所であればしょうがないかもしれませんが、少なくとも住宅密集地では、エアコン、灯油ストーブ、ガスストーブ等の代替手段が存在します。薪ストーブは、あくまでも趣味で選んでいるだけであり、近隣住民に有害な「排気ガス」を浴びせてまで使用しないといけないものでは、決して無いのです。次に、薪ストーブをはじめとする、バイオマス燃焼によって発生する「排気ガス」中の有害成分に関して説明します。(2025/01/09)