今すぐできる防災の備え
2021年1月17日、6434人が犠牲となった阪神・淡路大震災から26年。未曾有の被害をもたらした大災害から四半世紀を越え、新たな一歩を進み始める年。(参考:NHK特集「いま考え、感じるとき」)
コロナ禍のなか九州で発生した「令和2年7月豪雨」では三密回避やボランティア制限など様々な課題が表面化し「防災のあり方」が問われました。大地震が起こっても、できれば避難しなくてすむように、日頃からの家庭の備えが大切です。
日野市でも災害が起きる前に日頃の備えとして「家庭でできる備え」を公開していますが、南新井自主防災会でも今すぐできるところからの「家庭の備え」を考えてみました。
防災の日に「ローリングストック」を考える(自治会だより2021年8月号)
災害大国といわれる日本。いつ起きるかわからない事態に備え、非常食などの備蓄をすることが防災対策の第一歩とされています。また、新型コロナウイルス感染症の流行で家にいる時間が長くなり生活を見直す機会が増えたことからも、「家庭備蓄」に高い関心が寄せられています。その一方で、「何から始めればいいのかわからない」「やろうとしたけど失敗した」など、備蓄を難しいものと考えてしまう人も少なくありません。このような問題を解決するカギが「ローリングストック」の考え方です。
「ローリングストック」とは普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法です。
主に災害時に使用する「非常食」だけでなく、日常で使用し、災害時にも使えるものを「ローリングストック」としてバランス良く備えることが大事です。また、外出中に災害が発生することを考えて、普段から持ち歩く飲料水やチョコレートなどの「持ち歩き用品」も備えておけば万全です。
なぜ、食品備蓄が必要なの?
過去の経験によれば、災害発生からライフライン復旧まで1週間以上を要するケースが多くみられます。また、災害支援物資が3日以上到着しないことや、物流機能の停止によって、1週間はスーパーマーケットやコンビニなどで食品が手に入らないことが想定されます。
このため、最低3日分~1週間分×人数分の食品の家庭備蓄が望ましいといわれています。
近年の主な自然災害によるインフラへの被害状況
※1経済産業省「3.11の地震により東北電力で発生した広域停電の概要」(H23.9)、厚生労働省「東日本大震災水道被害状況調査報告書」(平成24年12月)、経済産業省「東北地方(被災地)のLPガス等の供給確保」「東北・関東地方の都市月等の復旧」(平成23年5月)より農林水産省作成
※2中央防災会議ワーキンググループ「熊本地震を踏まえた応急対策・生活支援策の在り方について」(平成28年12月)より農林水産省作成
家庭備蓄の例
『ハザードマップも確認し、床上浸水や家屋倒壊などで避難所に行かずに済めば、1週間は自宅で過ごせるよう備蓄することにしました。災害後1週間たつと物流やライフラインも多少回復するのでは無いかな。非常時こそいつもの食事と近いものを食べることで心が落ち着くことから、うちでは日常食べているものを災害用の備蓄と兼用で考えています。普段から食べていて保存がきくものを少し多めに購入して「ストックが1つ以上ある」状態をキープしています。普段から賞味期限の古いものから食べるようにすれば、定期的に賞味期限を確認する必要もなくなり、急病などで買い物に出られないときも役立ちます。』(防災士 ユウゾウさん)
※1週間分/大人2人の場合
備蓄食品の収納テクニック
水は分散して収納するのがコツ!
1か所に入らない分は、家の中にあるいろいろな隙間スペースを見つけて、分散収納しよう。
「見える化収納」のススメ!
取り出しやすいケースや箱に入れて何があるか、見てすぐわかるようにするのがコツ。賞味期限のチェックもしやすくなる。
実践事例【子育て世帯】
幼児でも取れる高さにして、子どもに食品の置き場所を覚えさせるために、ローリングストックのものを使う時や補充する時は、なるべく子どもに取ってきてもらうようにしています。
実践事例【高齢者世帯】
娘が「これからは災害時でも命の危険がなければ、家で過ごせるように備えたほうが良いよ」と備蓄を準備してくれました。移動手段も自転車と徒歩となった今では、家にコンビニが出来たようで楽しいです。今のレトルトは味もよくて食べやすいし安価でスーパーでも手に入るので気軽に食べて楽しんでいます。
災害時に備えた食品ストックガイド(農林水産省)
農林水産省では、備蓄に適した食品の選び方、ローリングストック法等による日頃の活用方法、災害時に役立つ簡単レシピなどの実践的な内容を取りまとめた「災害時に備えた食品ストックガイド」と、乳幼児・高齢者・慢性疾患・食物アレルギーの方などに向けて、家庭備蓄を行う際に必要な情報、災害時における食事の注意点などをとりまとめた「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」を公開しています。災害時に備えた食品ストックガイド(農林水産省)(外部リンク)
先ずは、「三日間もちこたえる」家庭の備蓄
大地震が起こった直後、3日~1週間は外部からの支援が届きません。ガス・電気・水道が止まり物流が途絶えても、最低でも3日間もちこたえられるよう、各家庭で備えてください。
飲料水
飲料水は、ひとり一日3リットル必要です。
食糧
調理しなくても食べられるものを保存しておきしましょう。
レトルト食品(おかゆ、雑炊、シチューなど)
缶詰
瓶詰め食品など
防災用のものでなくても大丈夫
水も食糧も、防災用の特別なものではなく、普段から飲食しているものでOKです。
おおめに置いておき、古い物から消費して、すぐに買い足しておく。
常に「新しい在庫」を持っておくのが大切です。
ふだんの「買い置き」も備蓄のうち
買い置きで、冷蔵庫やパントリーがついつい満杯状態・・・も、防災備蓄のうちです。
ただし、賞味期限に気をつけてください。
その他
電気・水道が止まった状態をイメージして
非常用トイレ(家の洋式トイレに消臭剤や凝固剤入りのビニール袋をセットして使用できるタイプが経済的で便利です。)
ラジオ
電池式ランタンや懐中電灯
乾電池
車のガソリンをいつも満タンに
「出かける前に給油」ではなく、「帰りに給油」を習慣にすると、いつも満タンにしておけます。
備蓄品の一部を非常用持ち出し袋に入れておく
自宅用の備蓄と非常持ち出し用のものを別々に用意しなくても、自宅用の備蓄品の一部を非常用持ち出し袋に入れて保管しましょう。
非常用持ち出し袋の準備の心得
両手が自由になるリュックがベスト
避難のときは、周囲が危険な状況になることを考えて、両手が自由になるリュックを用意しておきましょう。遠くからも目立つ、派手な色のもの
安い物で十分
一人で持ち運べる重さに
走って逃げることも想定して、一人で持ち運べる重さにしましょう。入れるものを迷ったら「人の物では代わりのきかないもの」(いつも飲んでいる薬など)を優先して入れましょう。
置き場所は「すぐに持ち出せるところ」
非常用持ち出し袋は、押し入れの奥にしまいこんではいけません。
地震直後でも持ち出せるよう、玄関周りなどに置いておきましょう。
非常用持ち出し袋の中身
水を少しと軽い食糧
赤ちゃんの粉ミルク・おむつ
小型ラジオ、懐中電灯
ティッシュペーパー
ないと困る!こんなもの
いつも飲んでいる薬と「お薬手帳」(お薬手帳は、かかりつけ医以外で薬を処方してもらわなくてはいけなくなった時に必要です。)
コンタクトレンズ用品(または予備のめがね)
生理用品
ふだんから乾電池のストック場所を非常用持ち出し袋にしておきましょう
新しく買った乾電池はすべて、非常用持ち出し袋の中にストックして、乾電池を使うときは、非常用持ち出し袋から取り出して使うようにすると、いつでも袋の中に乾電池があり、なおかつ古くなって使えなくなっているようなことがありません。
家具・家電の固定(転倒防止)
地震のときは、家具が凶器になります。
家具の下敷きになって圧死や大けがをしないために、大きな家具や思い家電製品は、専用の用具で固定してください。(固定用具はホームセンターや量販店などで販売されています。)
寝る場所・いつも座る場所の周りは要注意
寝ているときは、とっさに身を守る行動ができないため、ベッドや布団を敷く場所の周りは特に注意してください。高齢者や障害のあるかた、妊婦さんなど、とっさの行動がしにくいかたは、いつも座る場所の周りにも配慮が必要です。
背の高い家具を置かない
窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る
厚手のカーテンを引いておくだけでも、ガラスの破片を避ける効果がある
大切なのは、地震に耐えられる家
もしも家が倒壊したら、命の危険だけでなく、長い避難所や仮設住宅住まい、再建のための二重ローンと、精神的、経済的にも大きな被害を受けることになります。
木造住宅の耐震性能のチェック方法について
日本建築防災協会が、専門家の方でなくとも所有者の方々がチェックできるリーフレットを公開していますのでご活用ください。(日本建築防災協会の説明ページはこちら)
昭和56年5月以前に建築された木造住宅の場合は、こちらをご覧ください。
耐震化には市の補助金をご利用ください
日野市では、耐震診断から耐震化工事まで、補助金を出しています。また税減額も受けれる場合があります。
耐震診断などの補助金についてくわしくはこちらから
住宅耐震改修に伴う家屋の固定資産税減額措置についてくわしくはこちらから
ブロック塀などの老朽化にも注意しましょう
老朽化したブロック塀などは、地震による倒壊で避難路をふさいだり人的被害の可能性があります。
日野市では、ブロック塀等の撤去・撤去後に行うフェンスまたは生垣の設置まで、補助金を出しています。
補助金についてくわしくはこちらから