人文資料形成史における博物館学的研究―根岸有山・武香旧蔵資料の研究と公開【継続中】

基盤研究(C):2021年度~23年度


研究分野

博物館学


研究代表者◎・連携研究者

内川 隆志 ◎

 國學院大學文学部 教授

三浦 泰之

 北海道博物館 学芸員


キーワード

好古家/根岸有山/根岸武香/甲山/蒐古舎


研究の概要

本研究の核心をなす内容は、埼玉県熊谷の好古家、根岸有山(1810~1890)、根岸武香(1839~1902)父子に焦点を当て、今も根岸家に現存する古器物、記録類の実態と根岸父子と交流のあった知識人同士のネットワークを追求しその実態を顕かにするものである。冒頭に記した従来の日本博物館史研究で顧みられなかったこの視点は、近代博物館形成史、文化財行政史のみならず、揺籃期における人文科学そのものの成り立ちを考える。

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本研究の詳細は、ウェブサイトをご覧ください。

本研究の一環として、本学博物館において企画展 「榧園好古図譜―北武蔵の名家・根岸家の古物(たから)―」を開催しています

企画展 榧園好古図譜―北武蔵の名家・根岸家の古物(たから)―

2024(令和6)年217日(土)~4月14日(日)


北武蔵冑山村(現 埼玉県熊谷市)の名家「根岸家」の11代当主・根岸友山とその子息・武香は、著名な好古家として知られてきました。友山は、剣術道場や寺子屋「三餘堂」の開設など、子弟の教育に尽力する一方、明治初期にあって、蜷川式胤や柏木貨一郎、松浦武四郎ら好古家たちとも親交を 結んでいました。武香は、県会議員、貴族院議員として活躍する傍ら、好古家としても活動し、明治10(1877)年には、黒岩横穴群を発掘。H.v.シーボルトやE.S.モースをはじめ、多くの学者が武香のもとを訪れました。武香の関心は、考古遺物(埴輪・土偶・鏡類)だけではなく、印譜・地図・古文書に至るまで幅広く、彼の飽くなき探求は明治30年代前半まで続き、蒐集した考古遺物は、回廊型の陳列場に展示し、来訪者に公開していました。これは、国内でも初期の私設博物館施設と言えるでしょう。 

根岸武香の蒐集品に関する図譜の存在は紹介されていましたが、昭和30年代を境に行方不明となっていました。この度、この貴重な図譜が再発見され、科研費事業の成果のもと、本展にて初公開する運びとなりました。ここに記録されている古物“たから” こそが武香のコレクションの集大成であり、本展は、同家あるいは各所に残る現物と対比していくことで、その膨大なコレクションの一端を紹介するものです。


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