Leica EM VCM
クライオワークステーション
クライオワークステーション
本ホームページの紹介内容は、北海道大学 創成研究機構 同位体顕微鏡システムをご利用・またはご利用を検討頂いてる皆様へ向けた内容となります。
上記以外で所有の同一装置(仕様が同一であっても)において、本マニュアルの内容に沿って操作やエラー解決などを行った場合の結果についての保証、および起因して生じたトラブルについての責任は負いかねますこと、ご承知おきください。
初版作成:上杉 2023年11月14日
Leica製 EM VCMクライオワークステーション
装置外観
施設(02-121室)内:ACE600とGP2の間の壁に、右図のような駆動用の窒素ガス供給ラインがあります。
このレギュレーター下のバルブ(緑テープ)が、全開であることを確認して下さい。
全閉状態から反時計回りにバルブを回していき、動かなくなるまで開けた後、少し戻してバルブの動きを軽くしてください。
(*)限界までバルブを開けると、次使用者が開閉を確認しずらくなること。バルブが固まることが懸念されるためです。
(*)バルブの開きが少ない場合、シャトルベント時に、ベント用のガスの供給が足りない状態で、シャトルのゲートが開き、異音が発生します。その際のガスの流れ、または振動でシャトル内にセットした試料が脱落する事象が発生してます。
(*)2023年11月現在、全開するとバルブは9.5回転します。
3回転以内だと異音が発生し、試料が脱落します。
5回転以上にすると異音の発生せず、試料の脱落はありませんでした。
ただし、試料の形状・大きさなどにより、5回転程度の開度では不十分な場合も考えられます。
よって、マージンを考慮し、バルブは全開にしておくようにして下さい。
(*)2023年11月現在の状況で、9.5回転して少しバルブを戻すと、矢印部分が下の写真の位置に来ます。
1,液体窒素:本装置では液体窒素(LN2)を使用します。
10Lなどのデュワー:創成研究機構の規定で7リットル分まで充填出来ますが、これを2本程度準備しておく。
(処理する試料数により、追加で必要になる場合もあります)
(*)液体窒素の充填は、使用者が行ってください。
(*)一番近い充填場所は、創成研究機構の01-301-1室です。創成研究機構のルールに則って教育を受け使用してください。
(*)使用者側で液体窒素の充填作業を出来る人がいない場合(学外からの場合など)は、ご相談下さい。
(*)10Lなどのデュワーをお持ちでない人はご相談下さい。IIL所有のデュワーをお貸しできる場合があります。
(同位体顕微鏡が稼働中で、使用中の場合があります。その際はご容赦ください)
1,液体窒素を小分けする際に使う卓上ポッド
2,ひしゃく
3,厚めの作業手袋
(氷点下で作業するのに推奨されている物ではないので、もし適しているのを持っていれば持参して下さい)
4,治具類を乾燥させるヒーター(Leica EM CTD)
5,クライオ下で使用する工具類:VCMが置かれている机の引き出しに入っています
装置背面、左下にある電源ボタンで起動する。
画面下に「Touch screen to start...」が表示されたら、画面をクリックする。
初期画面が表示されるので、ワークステーションの照明(赤枠)を4か所点灯させる。
上記作業で使用する専用ツールは右です。
工具が入っている引き出しには、似たような工具があるので、間違えない様にして下さい。
・右真ん中写真:ボールを回転する際に使用する工具。
・右写真:ボールを固定 or 固定解除する時に使用する六角。
ボール部分を固定する箇所(カチッという場所)は、クライオ下で見つけるのは難しいためワークステーション冷却前(常温下)に固定して下さい。
ボールがカチッとなる位置は大体右写真の所で、ボールを下から上に上げてみると探しやすいです。
装置上部にある液体窒素導入口の蓋を取り外して、そこから液体窒素を入れていく。
画面右上の液体窒素レベルが、黄色を経て青色になるまで液体窒素を入れていく。(おおよそ卓上ポット3本)
LN2タンクに充分なLN2を入れたら、ワークステーション(チャンバー)内にもボール部分が浸るくらいまでLN2を注ぎ入れる。
ワークステーション冷却前に予めチャンバー内にLN2を注ぎ入れることで、冷却開始時にチャンバー内に霜がつきずらくなる。
ワークステーションにグローブボックス等はなく、霜ができやすいので、使用しないときはカバーをかぶせる等、注意する。
装置本体を冷却する。
まず、画面右側のボタンで、液体窒素量のレベルを設定する
・High→LN2量が最も多く、ホルダー内が十分浸される状態
・Low→ホルダーが数cmほど浸る状態
・Gas→チャンバー内にLN2ガスが満たされた状態で、ホルダーは浸らない
ある程度冷却が進むと、パネル上の「Cooling」を選択できるようになる(右写真は選択できない状態)のでクリックし、冷却を開始する。
液体窒素量は作業の種類、試料によって使い分けます。
Gasの状態では十分ホルダーが冷却されない可能性があり、ホルダーを使用する作業では「Low」か「High」を使用することが多いです。
ただし、液体窒素量が多いと、トランスファーのシャトルの内部に液体窒素が入り込むことがあり、故障の原因になります。
→複数の事例で、「Low」を選択する事が多く、「Gas」はしばらく装置を使用しないで、液体窒素の消費を抑える際にも選択されます。
ボール部分に霜が付着すると、ボール部分が動かなくなる場合がある。
その場合は無理に動かさず、少しずつ動かすようにすればボールが動く。
それでも動かない場合はベイクアウトする必要があるため、霜が付かないよう注意して作業を行うこと。
(こうならないためにも、前述の通り、常温の時にボールの位置合わせを行っておくのが良い)
ワークステーション内で使用するホルダー、専用工具等の一例は右図を参照されたい。ただし、治具を長時間液体窒素に入れておくと、霜が発生するので、使用直前まで乾燥機で乾燥させておく。
治具を使用する際は、液体窒素中に入れた後に、バブリングが収まってから作業を始める。
( N2:FP -210℃、BP -195.5℃)
ワークステーション内は一定の温度で管理することができず、温度は表示されない。
シャトルを「attatch(接続)」する際は、内部がきちんと冷却され、ホルダー等がきちんと冷却されていることを確認してから行うこと。
また、シャトル内のLN2量は少なく、枯れやすいため注意する。
ワークステーションのシャトル取付口にカバーが付いていたら取り外す。
シャトルにも事前に液体窒素を入れて、十分に冷却しておく。
シャトルは、右写真の赤丸で囲んだ辺りを両手でしっかりと持つ。
左写真の上の所をしっかりと合わせ、そのまま下にゆっくり降ろす。
接続されればOK。
シャトルをワークステーションに接続した時、「Remove Manipulator !」と右上に表示されたら、装置側でシャトルが認識されていないので、もう一度シャトルを取り付けなおす。
装置側でシャトルが認識されたら、「Attach」ボタンが選択可能な状態になるので、クリックする。
「Attach」した時、右のWarningが出た場合、シャトルの冷却不足(液体窒素不足)なので、シャトルに液体窒素を補充する。
真空引きが行われた後に、画面右上に「Ready for Transfer!」が表示されたら準備完了。
シャトル内の試料ホルダをワークステーションにセットする際は、シャトルレバーの「〇」の文字を上(LOCK 試料固定、と表記)にしたままシャトルの中に入れていく。これがずれると、試料(ホルダー)落下の要因になる。
試料ホルダーをワークステーションのボール部分に入れる。
ここであまり奥まで入れすぎない様に注意する。
(*)以前は、LOCKの場合、「S」を上にしていました。
ただ、2023年12月以降、逆になり「〇」を上にする仕様になっています。
試料ホルダーをボール部分にセットしたら、シャトルのレバーを90°(手前側、奥側どちらでも良い)回し、「S」を上にする。(UNLOCK 試料はずれる、と表記)
この状態で、シャトルを少し引っ張り、試料ホルダーがボール部分に残っている事を確認する。
シャトルを最後まで引き、カチッという音がして、レバーがマグネットで固定されたことを確認する。
(*)以前は、UNLOCKの場合、「〇」を上にしていました。
2023年12月以降、逆になり「S」を上にする仕様になっています。
ここから先の作業は、試料によって異なります。
「ACE600に運搬してスパッタする」「SIMSに持って行く」など。
そのため、割愛します(終了動作はこの後に記載します)。
SIMSへ持って行く手順は、EM VCM → 同位体顕微鏡 搬送 を参照ください。
試料(ホルダー)を取りに行く時は、シャトルレバーの「S」の文字を上にしたまま、ワークステーションの中に入れていく。
シャトルがボール部分にある試料ホルダーに接触したら、シャトルのレバーを90°(手前側、奥側どちらでも良い)回し「〇」の文字を上にする。
この状態で、シャトルを少し引っ張り、試料ホルダーがシャトルと一緒に付いてきている事を確認する。
シャトルを「〇」の文字を上にしたまま、最後まで引き出す。
ここで、「〇」の文字がずれると、試料ホルダー落下の要因になる。
画面右上に「Ready for Transfer!」が表示されていることを確認する。
「Detach」ボタンをクリックする。
「Detach」が終了すると、「Attach」ボタンが選択可能になる。
=シャトルの取り外し可能状態。
シャトルを取り外す。
シャトルの先端(レバーがある側)を左手でしっかりと支える。
その状態で、写真の赤丸の所を右手で上に押し上げると、ロックが外れ、シャトルを取り外すことが出来る。
その状態で慎重にシャトルを外す。
シャトルを取り外した後は、カバーを取り付けておく。
チャンバー内にあるホルダやその部品などを取り出し、ヒーター(Leica EM CTD)を使って乾燥させる 。
・ヒーターの電源は背面右側にある
・温度設定はない
・ファンを傷つけるため、あまり背の高い物は置かない
・黄色部分に部品などが入り込まない様に注意する
💧次にBakeoutを行うが、その前に必ずアクリルカバーがチャンバー上に無いか、確認する
アクリルカバーがチャンバー上にある状態でBakeoutを行うと、アクリルカバーの破損の原因になる
「Bakeout」を行う。
画面下部にあるbakeoutボタンを選択する。
チャンバーと本体、両方を選択して「Start」ボタンを押してBakeoutを開始する。
(*)Bakeout時間はワークステーション・チャンバー内の液体窒素量で変わる。
短時間で実施した場合、液体窒素が残ることがあるため、3-4時間で設定するとよい。
ベークアウト時間表示を触ると、設定が変更できる。
ベークアウト終了後、装置背面のスイッチを切って電源をオフにして終了する。
(※)Bakeout時間が長く、作業時間に支障をきたす場合は、スタッフへご相談ください。