EM VCM
搬送中の試料落下
搬送中の試料落下
初版作成:上杉 2023年11月20日
本ホームページの紹介内容は、北海道大学 創成研究機構同位体顕微鏡システムをご利用・またはご利用を検討頂いてる皆様へ向けた内容となります。
上記以外で所有の同一装置(仕様が同一であっても)において、本マニュアルの内容に沿って操作やエラー解決などを行った場合の結果についての保証、および起因して生じたトラブルについての責任は負いかねますこと、ご承知おきください。
・トラブル発生時:2023年8月8日(火)
・試料:バルク試料
・状況
クライオスタットにて試料切断。
ACE600でAuスパッタを行い、試料ホルダーをクライオワークステーションVCM(以下、VCM)へ搬送。
シャトルをVCMに接続(Attach)。
シャトルを真空引きしている時に大きな異音が発生。
その衝撃で、試料ホルダーがシャトル内に落下。
・対処
シャトルを常圧に戻し、試料ホルダーを回収。
・再現性
その後、何度か同じ操作を行ったが、再び異音が発生し、試料ホルダーの落下が見られた。
・ベント用のN2ガスの供給不足
ベント用のN2ガスの供給が足りず、完全に大気解放される前にゲートが開くことによって異音が発生し、その際の空気の流れもしくは振動で試料が脱落したと思われる。
トラブル発生時のN2供給の状態を確認すると、
・①のガスインバルブはOPEN
・レギュレーターで圧がかけられ、②の圧力計も適正値を示していた。
・③のバルブもOPEN
であった。
この中では、③のバルブの開度が不足であった可能性が高い。
上記③のバルブの開度を変えてシャトルをAttachし、異音の発生有無を確認。
1,N2バルブ開度1回転:2回Attachを行い、異音が発生。音も大きい。
2,N2バルブ開度3回転:2回Attachを行い、異音が発生。音は小さくなる。
→トラブル発生時は、この位の開度で使用していた。
3,N2バルブ開度5回転:2回Attachを行い、異音の発生なし。
4,N2バルブ開度9.5回転+α:5回Attachを行い、異音の発生なし。
異音発生にバルブの開度依存があることが確認された。
上記より、③のバルブの開度が少ないと異音が発生することが判明したので、以下の対策を実施。
③のバルブ開度を『ほぼ全開の』9.5回転+αにする、
(その時のバルブの位置は右写真参照)
ほぼ全開と言うのは、バルブは9.5回転+αがMAXの開度であるが、完全に全開で開けるとバルブが固くなり、開いているのか閉まっているのか、次の使用者が分からなくなる。
そこで、今は全開地点から少しだけ戻して、バルブが開いているのを分かりやすくしている。
他、現場に右写真の様な表示も掲示。