本ホームページの紹介内容は、北海道大学 創成研究機構 同位体顕微鏡システムをご利用・またはご利用を検討頂いてる皆様へ向けた内容となります。
上記以外で所有の同一装置(仕様が同一であっても)において、本マニュアルの内容に沿って操作やエラー解決などを行った場合の結果についての保証、および起因して生じたトラブルについての責任は負いかねますこと、ご承知おきください。
初版:2023年10月25日 田保
*本マニュアルは、同位体顕微鏡用試料の切片、平滑ブロック作製を目的としたもので、透過型電子顕微鏡用超薄切片作製については割愛します。
・片刃剃刀 (消耗品のため各自ご用意ください。)
・ガラスナイフ(消耗品のため各自ご用意ください。)
・ゴム手袋・耐切創手袋等
・ピンセット等工具
・ブロワー、エアダスター
Leica製 EM UC7 常温切片作製用ウルトラミクロトームシステム
試料ナイフエリア
ナイフブロック
セグメントアーク
トリミングブロック
試料ホルダ
(板状試料用)
試料ホルダ
(カプセル試料用)
*試料ホルダには種類があり、試料の形状によって使い分ける。(カプセル用、板状用)
*試料が大きい場合は、超音波カッター等で試料ホルダに入る大きさまで小さくする。但し超音波カッターは熱が出るので熱に弱い試料は不可。
剃刀の刃を使用した手技によるトリミングでは、トリミングブロックにセグメントアーク、試料ホルダを装着し、試料ナイフエリアにロックレバーで固定する。
ガラスナイフによるトリミングでは、ガラスナイフを装着したナイフブロックを試料ナイフエリアに固定し、試料をセグメントアークに固定する。
コントローラーパネル
メインメニューの概要
〈照明の設定〉トップライトとバックライト及び試料透過照明の光量は、ライトの点灯中に+、または-ボタンを使用して個別に調整できる。
〈戻り速度の設定〉自動切削の際、戻りストロークの速度を設定できる。
〈速度/送り〉メモリーフィールドで表示された値のうち、いずれかのフィールドにタッチすると、装置はそのフィールドに表示されている値が有効になる。
有効なメモリは赤枠で表示され、「現在値」の表示フィールドに値が表示される。
切削速度と送りの設定はつまみを回して行う。試料の速度を0.05~100 ㎜/sの範囲内で、送りを1 nm~15 μmの範囲内で設定すると、値が「現在値」の表示ラインに表示される。(「STO」ボタンを押すと5つの設定まで保存できる。)
この状態で「START」ボタンを押すと、設定した条件で電動切削が開始される。
〈試料送り総量インジケータ〉(リセット)
送り量インジケータとリセットボタン。個々の楕円マークは20 μm分の試料アーム送りの開始を意味する。最後のマークが点灯すると(残り200 μm)、試料送りが終了しつつあることを信号音と点滅表示で知らせる。送り終了時には自動リセットされるが、リセットボタンを押すことによりいつでもリセットできる。
リセットを押すと、ナイフは試料から約200 μm遠ざかるので、続けて切削を行う場合は、改めて面合わせを行う。
(*目的や試料によって方法が異なってくるので、その場合はケースに準じた方法で試料作製を行う。)
②-1. トリミングブロックにセグメントアークを装着しロックレバーで固定する。
②-2. セグメントアークに試料ホルダを装着し、アレンキーを使って固定する。
②-3. 前項で固定したトリミングブロックをナイフエリアに装着し、ロックレバーで固定する。(奥まで入れすぎないようにする。中心部くらいで固定すると試料装着しやすい。)
②-4. 試料を試料ホルダにアレンキーを使って固定する。
②-5. 顕微鏡で覗き、試料の位置を確認しながら、試料の周りを剃刀で削っていく。
試料回転つまみを90°回して次の面も同様に角をとる、という操作を四方向に繰り返し、ピラミッドのような形に整えていく。
⚠️剃刀で手を切らないよう注意!
➡️
③-1. トリミングブロックからセグメントアークを取り外し、アレンキーを使って顕微鏡側に固定する。
この時、セグメントアークの目盛のある方を上にする。下の回転つまみを回して試料を左に15°傾ける。
上の試料回転つまみを回して中心を0°に合わせておく。
また、ロックレバーを解除し、トリミングブロックを取り外す。
③-2. トリミングに使用するガラスナイフ等は、ナイフブロックに装着し、ナイフのあおり角を4°にする。この際、ナイフはストッパーまでしっかりと挿入し、固定すること。ナイフを装着したナイフブロックを試料ナイフエリアに装着し、ロックレバーで固定する。
⚠️ガラスナイフで手を切らないよう注意!
⚠️ナイフブロックを勢いよく入れて試料にぶつけないよう注意!
*45°の角度で削り取るため、ナイフを左に30°、試料を15°傾ける。
③-3. ガラスナイフを試料に近づける。
試料を下に下げた状態で(ハンドホイールの目盛が7くらい)、ナイフブロックのロックレバーを解除し、横から見ながらゆっくりとナ
イフブロックを試料に近づけ、ある程度近づけたらロックレバーで固定する。
ガラスナイフを試料に近づけすぎると、試料が破損、あるいはガラスナイフが欠けてしまう恐れがあるので注意する。
コントロールパネルのW/Eダイアル→ガラスナイフの東西方向の粗動及びボタンによるジョグコントロール
N/Sダイアル →南北方向の粗動
STEPボタン →南北方向のジョグコントロール及び連続移動(ボタン長押し)
STEPサイズは画面上の「Approach step」の+/-ボタンを押して設定。
③-4.顕微鏡でナイフの先端にピントを合わせ、W/Eダイアルでガラスナイフの横方向の位置を調整する。
*ガラスナイフは右より左の方が加工精度が良いので左側の刃のきれいな場所を使うと良い。
次に、顕微鏡でナイフと試料の位置を確認しながら、N/Sダイアルを使って少しずつナイフを試料に近づけていく。
ある程度近づいたら、「Approach step」を1~2 μmに設定し、「STEP」ボタンを押して試料に近づけながら、ハンドホイールを回して切っていく。
削りかすは随時ブロアーかエアダスターで除去する。
③-5. 切れ端が大きな一面で切れて、鏡面状にきれいになってきたら、ガラスナイフの位置を下げ、試料の回転つまみを90°回転し、次の面も同様にトリミングする。
先ほどと同様にナイフ位置を調整した後、ナイフを試料に近づけてふちを切っていく。すべての面に関してこの操作を行っていく。
最終的な試料面の面積は一辺の長さが1 mm以下となるようにする。
ハンドホイールの位置を確認してください。
ハンドホイールの目盛のない位置でSTEPボタンを押すとこのエラーが出ます。
ハンドホイールの目盛のある位置でボタン操作をするようにして下さい。
×
○
ナイフ位置がこれ以上前に行けません。
ナイフを下げて「FCマウント」を押して初期位置に戻してください。
ナイフ位置がこれ以上後ろに行けません。
ナイフブロックのロックレバーを解除し、ナイフブロックを試料にぶつけないよう気を付けながら近づけてください。
④-1. 4側面のトリミングが出来たら、N/Sダイアルを使ってナイフ位置を下げた後、ロックレバーを解除して、更にナイフブロックの位置を下げる。
ナイフブロック、試料の角度を0°にする。
④-2. W/Eダイアルでナイフを中央の位置に合わせ、先ほどと同様に、ナイフの先端を試料に近づけ、ハンドホイールを回して表面を荒く削っていく(切片の厚み1 μm以下)。
表面がある程度きれいになったら、ナイフブロックを下げて、切片作製用のガラスナイフ、又はダイヤモンドナイフに交換する。
⑤-1. 顕微鏡の倍率を上げて、先ほどと同様にナイフの先端をぎりぎり(試料面と刃先の間約2 mmまで)まで近づける。ナイフを粗動送りで近づけ試料ブロックをゆっくりと上下させナイフを試料手前0.1mmぐらいまで近づける。このくらいまで近づくと試料面に黒いナイフの影が映るようになる。この影を見ながら面合わせを行う。
*ライトを下からのみにすると、刃先で反射した光により、ナイフと試料面間隔に対応した明るい光の帯が試料表面上に映し出される。
*この試料に映る明るい帯が長方形になるように、試料とナイフの角度を調整する。
*また、試料ブロックを上下に動かした際、この明るい帯の幅が同一であれば試料面の全面に渡って刃先との間隔が一定であることを示している。
○ ガラスナイフ刃先と試料表面の間が一定
刃先と試料が全面に渡って一定な間隔だと刃先の影が長方形になり、試料を上下させてもその幅は変化しない。
× ガラスナイフ刃先と試料面の間が左右で異なる時
刃先と試料面が平行でないと、刃先の影が長方形にならない。平行になるようにナイフと試料の角度を調整する。
⑤-2. 切片自動作製の設定
コントロールパネルの設定を切片作製用に変更する。切片の厚みは1 μm以下、切るスピードが出来るだけゆっくりの方がきれいな切片が得られる。
ハンドホイールを回して、試料をナイフの少し上の位置にし、「START」ボタンを押す。
ハンドホイールを回し、試料をナイフの少し下の位置にし、「END」ボタンを押す。
⑤-3. 「START」ボタンを押すと自動切削が開始される。
*切片が白く濁っていないか確認する。白く濁っていたら、刃がダメになっている可能性がある。
⑤-4. 切り出された切片は、多少カールしながらナイフエッジに付着するので、これらをスライドグラス上に落とした水滴の上にまつ毛プローブ等を使って落とし回収する。切片は水滴に入ると伸展することが多い。
① 操作が終了したら、N/Sダイアルを使ってナイフ位置を下げた後、ロックレバーを解除してナイフブロックの位置を下げる。
② ガラスナイフ又はダイヤモンドナイフを取り外す。
③ セグメントアークを取り外し、試料ホルダ、試料を取り外す。
④ ミクロトームに付着した削りかすをエアダスタで飛ばした後、実験台上、周囲の床などのごみを掃除して廃棄する。
⑤ パネル右上のカウンターの数値(切削回数、切削厚)をゼロ(CLEAR)にする。
⑥ コントロールパネルの「FC MOUNT」を押して初期位置に戻し、MENU画面から
「Power Off」ボタンを押し、電源を切る。