本ホームページの紹介内容は、北海道大学 創成研究機構同位体顕微鏡システムをご利用・またはご利用を検討頂いてる皆様へ向けた内容となります。
上記以外で所有の同一装置(仕様が同一であっても)において、本マニュアルの内容に沿って操作やエラー解決などを行った場合の結果についての保証、および起因して生じたトラブルについての責任は負いかねますこと、ご承知おきください。
初版作成:上杉 2023年10月31日
装置外観
装置概要
1 :ソースカバー
2 :ソースヘッド(スパッタ or カーボンスレッド)
3 :シャッター
4 :チャンバー
5 :サンプルステージ
6 :タッチパネル式スクリーン
7 :高さ調節可能な脚
8 :チャンバードア
9 :USBポート
10 :電源スイッチ
11 :電源ケーブル差込口
12 :アルゴンガス導入口
13 :窒素ガス導入口
メイン画面
1 :スパッタリング
2 :電子ビーム蒸着
3 :グロー放電
4 :フリーズフラクチャー、フリーズエッチング
5 :搬送システム
6 :個々のプロセスをシーケンスとして結合
7 :真空系、真空度、温度
1,液体窒素:本装置では液体窒素(LN2)を使用します。
10Lなどのデュワー:創成研究機構の規定で7リットル分まで充填出来ますが、これを2本程度準備しておくと安心です。
(処理する試料数により、もう少し追加で必要になる場合があります)
(*)液体窒素の充填は、使用者が行ってきてください。
(*)一番近い充填場所は、創成研究機構の01-301-1室です。
(*)使用者側で液体窒素の充填作業を出来る人がいない場合(学外からの場合など)は、ご相談下さい。
(*)10Lなどのデュワーをお持ちでない人はご相談下さい。IIL所有のデュワーをお貸しできる場合があります。
(同位体顕微鏡が稼働中で、全部使用中の場合があります。その際はご容赦ください)
1,液体窒素を小分けする際に使う卓上ポッドの類
2,アルゴンボンベ
装置は常時通電状態で、チャンバー内は真空状態になっている(Pump、または、Standby)。
もし、電源が入っていない場合は、装置裏面の電源ボタンを押して電源を入れる。
電源ケーブルが外れていれば、これも接続する。
ACE600は、常温下でもクライオ下でも使用できます。
クライオ下で処理する際は、装置本体を液体窒素で冷却する必要があります。また、VCMなどと試料を受け渡す(搬送)する際は、トランスファーも冷却する必要があります。
以下、冷却する手順も含み記述しますが、常温で処理する際はこの箇所は飛ばして下さい。
(*)参考まで、クライオ下で『のみ』必要となる作業内容に関しては、💧マークを付けています。
💧装置本体右横の液体窒素タンクの蓋を開け、その中に液体窒素を入れる。
💧メイン画面左下の場所に、液体窒素タンク内のLN2量が表示されている。
タンク内が黄色表示の時はLN2が十分ではなく、青色になるまで入れる。
但し、青色表示でもLN2が不十分な場合もあるのでこまめに補充すること。
LN2が不十分な場合は温度が下がらない
💧装置の温度設定を行い、冷却を開始する。
メインメニューの設定を選択すると、温度コントロール画面が表示される。
💧Temparatureに設定温度を入力し、チェックボタンを押すと冷却が開始される。
💧ACE600は-160℃までしか冷やせません。
それ以下の温度に下げることはできないので、試料温度には注意してください。
💧シャトル上部の液体窒素タンクの蓋(下図赤丸)を開け、その中に液体窒素を入れる。
メイン画面から「Transfer」画面に入る。
シャトル内の液体窒素量が増えるにつれて、灰色→黄色→青と変わっていく。
青になるまで液体窒素を入れる。
💧シャトル内に入れられる液体窒素の量は100ml程度と多くありません。
入れる際は溢れない様に注意して下さい。
容量が小さい為、(a) 冷えるのに時間がかかり、(b) 比較的早く液体窒素が無くなります。
(a) 冷却は早めに行っておいたり、(b) こまめに上図右の画面をチェックして、液体窒素をこまめに補充して下さい。
本体、および、シャトルの液体窒素による冷却手順の説明はここまでです。
以下は、常温・クライオ、共通の操作説明です。
(*)冷却の記述が出てくる箇所は、クライオ下での操作の時限定です。
以下の説明は、Auスパッタ時の手順です。
カーボン蒸着は、EM ACE600 カーボンロッドコーティング やLeicaの説明書などを参照して作業して下さい。
Arボンベが閉まっている場合は、ボンベの頭のバルブを反時計回りに1回転ほど回して開ける。
ボンベの頭に付いている開閉版を『閉→開』にする。
レギュレーター左側のストップバルブが開いているのを確認する。時々閉まっている事があるので、その時はボンベの頭のバルブを反時計回りに1回転ほど回して開ける。
ストップバルブに付いている開閉版が『開』であることを確認する。
(*)二次圧を調整しているレギュレーターには触らないようにすること。
クライオ環境で、ミクロトームやVCMなどから試料(ホルダー)をシャトルにセットし、ACE600へ搬送する手順。
ミクロトームやVCMからシャトルを取り外す手順はVCMのマニュアル参照。
シャトルの取り扱いにはくれぐれも注意して下さい。
シャトルを持ち運ぶ際、他の物にぶつけたり、大きな振動を与えないでください。
内部の試料が落下したり、シャトル自体を損傷する可能性があります。
ACE600のシャトル取付口にカバーが付いていたら取り外す。
→
シャトルは、右写真の赤丸で囲んだ辺りを両手でしっかりと持つ。
まず、左写真の上の所をしっかりと合わせ、そのまま下にゆっくり降ろすとカチッと音がして接続される。
正常に接続されると、シャトルが認識され、Traansfer画面のシャトルのステータスが右の様に変わる。
温度、圧力の値が表示され、「Attach」ボタンが選択できるようになれば準備完了。
「Attach」ボタンを押すと、試料搬送準備が始まる。
ShuttleとDockのアイコンのシャッターが開き、色が赤から緑に変わる。
右上に「Ready for transfer」と表示される。
→
試料(ホルダー)がシャトルに付いていて、それをACE600に導入する際は、シャトルレバーの「〇」の文字を上(LOCK 試料固定、と表記)にしたままシャトルの中に入れていく。これがずれると、試料(ホルダ)落下の原因になる。
(*)以前は、シャトルをLockする際、「S」を上にしていました。
2023年12月以降、試料がある場合は「〇」を上にする仕様になっています。
試料(ホルダー)がステージに入ることを確認する。
ステージに入りにくい場合は、シャトルを少しだけ左右に振ってやると差し込み易い。
試料(ホルダー)がステージに入ったら、シャトルのレバーを90°(手前側、奥側どちらでも良い)回し、「S」を上にする(UNLOCK 試料はずれる、と表記)。
その状態でシャトルを少し引っ張り、試料(ホルダー)がステージに残っている事を確認する。
シャトルを最後まで引っ張る(カチッという音がして、レバーが固定されたことを確認する)。
(*)以前は、シャトルをUnlockする際、「〇」を上にしていました。
2023年12月以降、シャトルだけを抜く場合は「S」を上にする仕様になっています。
チャンバー内の試料ステージが傾いている場合は、試料ステージを差し込むことができません。
その場合はメインメニューの「Menu」から、試料ステージを初期化してください。
(Menu画面からSystemに入り、Iniでイニシャライズする)
シャトルをトランスファー内に完全に戻したら、「Detatch」を選択し、トランスファーとチャンバーのシャッターを閉 める。
ShuttleとDockのアイコンのシャッターが閉まり、色が緑から赤に変わる。
→
メインメニューの「sputtering」の「Open」を選択し、スパッタ設定画面を表示する 。
レシピ名を確認する。
このレシピで良い場合は、このままで良い。
違うレシピを使用する場合は、この部分をクリックすると右写真の様に他の候補レシピが出てくるので希望の物を選択する。
レシピ設定後、膜厚だけを変える場合、赤枠の数値を+-で変えて設定する。
レシピの中身を変更する場合、最右図赤枠の部分をクリックする。
各項目を設定する。
・Src.:変更不可(固定)
・Mat.:スパッタ源のマテリアル
・Method:時間は固定。膜厚と電流は変更可能。クオーツ使用するか、Preスパッタ実行するかどうか設定。
・Tilt:-27°から+27°まで、1°間隔で変更可能。
・Method:時間は固定。膜厚と電流は変更可能。クオーツ使用するか、Preスパッタ実行するかどうか設定。
スパッタ源に傾斜があるので、Tiltの設定画面でステージを+20°にすると均一にスパッタされます。
各項目を変更したら、Saveして、初期画面であるスパッタ設定画面に戻る。
「Start」を押すと、処理が開始される。
膜厚にもよるが、処理時間は30分程度以上要する。
💧スパッタ中も液体窒素量、チャンバー温度に注意しましょう!
ACE600の液体窒素のタンク容量は小さいので、液体窒素が早くなくなります。
タンク容量表示が青色であっても、減っている可能性があるので、こまめに補充する様にして下さい。
スパッタ処理が終了すると、右のような結果が表示される。
結果を確認して問題なければ、「init」を押してステージ角度を元に戻す。
「Attach」ボタンを押すと、試料搬送準備が始まる。
ShuttleとDockのアイコンのシャッターが開き、色が赤から緑に変わる。
右上に「Ready for transfer」と表示される。
→
💧ここでも、液体窒素量、チャンバー温度に注意しましょう!
特に、シャトル内の液体窒素量が減っている事が多いので注意します。
ACE600から試料(ホルダー)を取り出す際は、シャトルレバーの「S」を上にしたまま(UNLOCK 試料はずれる、と表記)シャトルの中に入れていく。
シャトルが試料(ホルダー)に差し込まれるまで入れる。
試料ホルダーを入れた時と同様、ここでシャトルがステージに入らなかったら、シャトルを少しだけ左右に振ってやると差し込み易い。
試料(ホルダー)がステージに入ったら、シャトルのレバーを90°(手前側、奥側どちらでも良い)回し、「〇」を上にする(LOCK 試料固定、と表記)。
その状態でシャトルを少し引っ張り、試料(ホルダー)がシャトルと一緒に移動して来ている事を確認し、シャトルを最後まで引っ張る(最後、カチッという音がして、レバーが固定されたことを確認する)。
シャトルをトランスファー内部に完全に戻したら、「Detatch」を選択し、トランスファーとチャンバーのシャッターを閉 める。
ShuttleとDockのアイコンのシャッターが閉まり、色が緑から赤に変わる。
→
「Detatch」が終わったら、シャトルを取り外す。
シャトルの先端(レバーがある側)を左手でしっかりと支える。
その状態で、右写真の赤丸のところを右手で上に押し上げると、ロックが外れ、シャトルが外れる。
その状態で慎重にシャトルを外す。
シャトルを外した後は、目的の操作(VCMへの接続など)に移動する。
💧装置使用終了後、クライオで使用していた場合は、シャトル(a)、および、本体(b)をベークアウトする。
この場合、Attachは行わない。
また、クライオでなく常温で使用していた場合は、ベークアウト作業は不要である。
ステージが傾いている場合は、事前にイニシャライズして下さい。
ベークアウト時間は変更しないでください。
ベークアウト終了後、電源は切らない様にして下さい。
(装置は基本終夜通電、真空引き状態です)
💧(a) シャトルのベークアウトを行う。
・メイン画面からTransferの「Show」をクリックする。
・「Bakeout」をクリックする。
・「Start」をクリックするとベークアウトが始まる(約90分)。
💧(b) 本体のベークアウト
シャトルのベークアウト終了後、メイン画面の歯車のアイコンを押すと、右写真のベイクアウト実行画面が表示される。
ここでスタートを押すと、ベークアウトが実行される(100分)。
ベークアウト終了後、装置は電源を切らず、そのままで良い。
(基本常時通電、真空引き状態)
Arボンベの頭を閉め、ボンベの頭に付いている開閉版を『開→閉』にする。
レギュレーター左側のストップバルブの開閉はどちらでも良い。
(開閉版はその時の状態に合わせて変えること)
<毎回行う作業>
VENTボタンを押して、装置を大気開放する。正面ドア(ハンドルのロックを外すと、赤矢印方向に開けることができる)を開けて、ドアガラス内壁と、Oリングをエタノールで清掃する。装置内壁は配線に注意しながら清掃する。
<照明が暗くなったら実施する作業>
照明ランプの交換の前に、下記ランプのカバーガラスの状態確認と、交換を実施する。
VENTボタンを押して、装置を大気開放する。正面ドアを開けて、装置内壁のカバーを、突起部分(青矢印)を掴んで取り出す。取り出
す際に装置内の配線に注意する。上部にカバーガラス(赤矢印)が設置されているので、新品に交換する。
※このカバーガラスは、ランプをスパッタ源による汚れから守るために設置されている。汚染されると、装置内に照明が届きずらくな
る。取り付けを忘れると、ランプにスパッタ成分が付着してしまうため、必ず取り付ける。
カバーガラスは極薄のため、取り扱い時は破損や怪我に注意する。カバーガラスはエタノールで清掃することで再利用可能であるが、基
本的に新品に交換する。中古カバーガラスも清掃後、保管するため、廃棄しないこと。