本ホームページの紹介内容は、北海道大学 創成研究機構
同位体顕微鏡システムをご利用・またはご利用を検討頂いてる皆様へ向けた内容となります。
上記以外で所有の同一装置(仕様が同一であっても)において、本マニュアルの内容に沿って操作やエラー解決などを行った場合の結果についての保証、および起因して生じたトラブルについての責任は負いかねますこと、ご承知おきください。
Leica EM VCMクライオワークステーション 内で、凍結割断及び研磨を実施する作業手順
初版作成:塩野 2023年11月10日
装置利用にあたって(注意事項)
この装置では液体窒素(LN2)を使用します。液体窒素の取り扱いについて今一度理解し、怪我や事故が起こらないよう安全第一で作業を行ってください。
1:EMクライオソー本体
2:電源アダプタ
3:EM VCMまたはEM VCT500への導入用ワークステーション
4:調整ツール
5:VCTクライオサンプルホルダー(垂直位置)
6:HPF試料キャリア用ホルダー(平行位置)
1:マイクロメートルネジ(横方向の動きとサンプルの突き出し)
2:マイクロメートルネジ(高さと送りの調整)
3:鋸機構用ロック
4:モーターのオン/オフ
5:速度設定(RPM)
6:クライオソー固定ネジ
7:安全カバー
① ワークステーションの変更
EM VCM内のワークステーションを、標準のもの(上図左)からクライオソー用のもの(上図右)に変更する。クライオソー用ステーションにはVCTクライオサンプルホルダー(垂直位置)を予め設置する。図中の赤矢印の六角ネジで取り外し・固定を行う。
②試料ホルダの準備
試料ホルダ・ピン・ホルダ用ドライバを準備する。ピンはホルダに刺しておく。
③事前準備
作業前にワークステーションの照明を点
灯させる。
試料ホルダにピンをセットしてから、垂
直位置用の箇所に固定する。
ホルダを固定する際、ピンは奥側に刺す
ようにする。
ホルダ手前が、固定個所と高さがそろう
程度の位置に固定する(赤丸)。
(ホルダ奥側は高くなり、平行にならない)
④クライオソーの固定
ブレード用の赤いカバーを外してから、クライオソーを固定する。上図のように、ワー
クステーションの黒い外枠にクライオソーを固定する。その際、試料にブレードが当た
らないように確認しながら固定する。
クライオソーの固定は、上右図のクライオソー固定ネジで行う。固定されていない場合
は、上右図の青矢印方向にクライオソーを移動することが出来る。
※ブレードを降ろした状態(降ろし方は下記参照)で、最端(画像では下側)に固定す
るとクライオソーが段差にひっかかる。この段差の手前で固定する。
⑤ブレードの固定
図内赤矢印はクライオソーのブレードの固定ねじである。
ネジが上図左の状態の場合、ロックがされていて、ブレードは上がっている。
その場合、ブレードの固定箇所(黒い部分)を手で支えて、上図右のようにネジを回し(青矢印方向)、手動でブレードを降ろす。(*)ネジを回すと、ブレードは勢いよく下がるので注意する)
最初にクライオソーをセットする際、位置が奥過ぎると、ワーキングプラットフォーム(*下記)にブレードがぶつかるので注意する。
ブレードが試料に当たりそうな場合は、ブレードを降ろす前に、⑥図内に記載の「マイクロメートルネジ(横)」で、試料をブレードから遠ざける。
⑥ゼロ点の調整
縦方向と横方向のマイクロメートルネジを用いて、ゼロ点(ブレードがピンに当たる手前)を設定する。
設定したら、刃をホルダから横方向に充分に遠くして、ホルダを取り出す.この際、縦方向は触らない。
※ブレードがピンに接触しても、ブレードが一定量しなるため、マイクロメートルの数値は動く。ゼロ点は目視で判断する。
縦方向:ブレードを固定するネジが、試料ホルダに干渉しない位置
横方向:ピンにブレードが接触する手前→上記で、ブレードがピンに当たったら、少し戻し、そこをゼロ位置とする。
上記を満たしたらABS/INCボタンを押して、INCを選択する。ゼロ位置が設定される。
⚠️ブレードの上げ下げ
左図赤枠:ブレードが降りている状態(加工できる)
左図青枠:ブレードが上にある状態(加工できない)
⑦装置の立ち上げ・作業準備
VCM装置背面の電源を入れて、装置が立ち上がるのを待つ。上図チャンバー(図内赤矢印)に液体窒素を充填する。
⑧作業準備
液晶画面の液体窒素量表示(上図右上)が黄色→青に変わるまで充填する。
⚠️液体窒素の充填
ワークステーション
「cooling」前にワークステーションが浸る程度の液体窒素を直接入れることで、ワークステーションに霜が発生しずらくなる。
液体窒素量の設定:「Low」で作業することが多い。
⚠️サンプリング
扱うサンプルによって工夫して行う.液体のサンプリングの一例を紹介する。
①ホルダに刺したピンにサンプルを滴下する。ピペットや爪楊枝などを用いる。
②ホルダを液体窒素中で冷却する。ピン(サンプル)は液体窒素に付けない。サンプルの色が変化すると、凍った合図である。
透明→白 艶→艶が消える など
③凍らせた試料の高さがどの位であるか、大まかに記憶しておく。金属定規等で、測ってもいい。(詳細下記)
固形物を研磨したい場合は、対象と液体を一緒に凍らせると良い。ただし、ピンは5mm程度の円形であるため、その頂点に載るものとする。大きすぎると、研磨中に外れたり、刃が当たらない(届かない)。
⚠️凍らせた試料の高さについて
凍らせた試料の高さ(右図の青矢印部分)が仮に3㎜であったとする。
先に設定したゼロ点から3㎜の距離までブレードを移動すると、試料にブレードが当たることになる。
マイクロメートルを試料に近づけていく際の目安になる。
また、削りだした後、どの位試料を削るかの指標にもなる。
電源ケーブルをコンセントに差し、端子の赤点とクライオソーの赤点部分(青丸で囲った所)を合わせて接続する。
すると、自動で電源が入り、回転数が表示される(下写真)。
(*)この電源ケーブルは一度断線している。抜き差しは慎重に行うこと。
⑩作業準備
サンプリングしたホルダを、垂直位置に固定する。
上図のようにホルダ手前が、銀色の固定箇所と高さがそろう程度の位置に固定するといい。
※一番下までホルダを降ろすと、ピンについている試料にブレードが当たらない。
⑪速度設定
-または+ボタンでモーター速度を設定する。数値が大きいほど速度が上昇する。
最初は低速(500程度)で少しずつブレードを試料に当てると、試料がピンから外れにくい。
調製量:500~1000
⑫位置調整
ブレードを下に降ろし、Mボタンを2秒以上押して、モータスイッチをオンにする。
横方向のマイクロメートルネジを調整して、試料にブレードを近づけていく。
サンプルに近づいたら、少しずつマイクロメートルネジを調整する。
⑬研磨
サンプルにブレードが当たると、接触音が鳴るので、そのまましばらく置き、音が落ち着いたら、更にブレードを近づけていき、目標箇所まで研磨する。
モーター速度、ブレードへの試料の当て方など、試料によって最適値が異なるため、検討しながら条件を決定してください。
練習サンプルなどで、事前に確認を行うことをお勧めします。
①ブレードの移動
マイクロメートルネジを用いて、サンプルをブレードから遠ざける。最初にX方向に遠ざけてから、ブレードを持ち上げて固定する。
⚠️最初にY方向にブレードを動かすと、試料に傷が入る。
②クライオソーの取り外し
クライオソー固定ネジを緩めて、クライオソーを取り外す。ブレード近辺は冷却されているため霜が発生するので、ドライヤーなどで乾燥させてから片づける。
④ベークアウト
ワークステーション内の治具を、乾燥機で乾かす。その後、「1.cooling」ボタンを押す。冷却が停止されたら、「2. Bakeout」を開始する。
⑤ベークアウト
赤枠内にベークアウト終了までの時間が表示される。残っている液体窒素量によって、数時間要する。
※Bakeout時間が長く、作業時間に支障をきたす場合は、スタッフへご相談ください。
⑥ベークアウト終了
ワークステーション内の液体窒素が枯れたら、ステーション内のユニットを取り外し、乾燥機上で乾燥させる。
・ブレード中央の六角ネジとワッシャーを取り外して、古いブレードを取り外す。
・新しいブレードを取り付けて、六角ネジとワッシャーを取り付ける。ワッシャーは内径が大きい側がブレード側に向くように固定する。