曲の指定テンポ アレグロ・ノン・トロッポ 速くしかしはなはだしくなく
調性 ハ長調
拍子 4分の4拍子
小節数 30小節
演奏順 7~14小節リピート、15~30小節リピート
全体演奏小節数 54小節
演奏時間 ♩=152で約1分20秒
解説
左手の4音音列がなんと期待感を盛り上げフレーズになっている事でしょうか!
「さあ何かが始まるよ!」といった感じがよく出ている4度上行形。そして6度下がってミ・ファ・ソと弾いた後に、右手の3度下降音階へ受け渡すうまい作り方です。1小節の右手の休符は、次に出てくる3度進行に入る前の緊張感が必要なのですが、左手に気をとられ意識しないかもしれません。大事なことは、2小節目の左手の全音符の響きに乗って、勢いよくクリアーな音で弾けることです。1つ1つの3度に対して指のタッチがふらつかない様にすることで、クリアーさを出せますが、そのためには指で鍵盤をつく感じのタッチで弾くと目的は達成されるでしょう。ただ、24の指の響きがどうしても薄くなりがちなるので、初めに24による連打の練習をすることを提案します。
3小節目に入り右手の終止音と、左手の開始音は同じ音量になります。左手のメロディーにちょっとした変化がみられます。この動きは、子供の声掛けの変化を表現しているのではないかな?と思われます。3拍目に6度下跳躍、5度上跳躍と大きなうねりが念を押したような、声掛けに聞こえます。4拍目は下降進行により次へ導いています。
4小節目の左手の音の導入は親指くぐりのテクニックが必要になります。ここで注意が必要なのは、肘を使って弾くのではなく、親指のみが3の指の下をくぐるのみなのです。不必要な動きが音の滑らかさを妨げることになりますから、気をつけましょう。
5小節目に入りいよいよ集まってきた子供たちのパーティーが始まる、ワクワクドキドキ感が伝わるようにしっかりした3つの音を4回、響かせたい所ですね。
4分休符についたフェルマータに次の音楽を予感してほしいと思います。響きの全韻を楽しむ余裕がほしいですね。
7小節目から最後の小節まで重音の響きがわいわいがやがやと、好き勝手に遊んでいる、パーティーの様子を現しているかのようです。
7小節目の左手の音の動きは、手を広げることを要求している進行です。特に5の指に対してスフォルツァンド指示しています。小指など弱い指での弾き方は、鍵盤に対して指を少し横にして準備して勢いよく空手チョップのように軽くつくと同時に手首のリアクションを利用します。
右手は鍵盤に用意して手首のスナップをきかせて最初の3と5の指をリアクションをする要領で3度下降を弾く。響きは少し鋭くなるかもしれないですが、子供の騒ぐ場面の表現であるので多少は良いと思いますが、どうでしょか?
しかし、音量バランス的には上の音を若干大きくするときれいな響きになって心地よい感じがします。タンタタのリズムはタンに対して深いタッチで弾けば、タタは軽いタッチで弾けます。
10小節目の右手の2・4の連打の上行型は腕が固くなりやすいので、少し手首をあげて頂上に向かって鍵盤を掃うようにしながら弾くとよいです。ブラッシングタッチと呼ばれている弾き方です。弾き方は少し難しいですが、身につけておくと表現の幅が広がりますよ。
13小節目に6度音程の重音が続きますが、子供にとって難しいかもしれません。フォルテで2小節を決然と弾ききるためには、1と5の対角線を作ったしっかり
とした手の形で弾くことが必要になります。原典版の指使いは、到底子供の手で弾ける指使いではないです。ですから、6度音程はすべて、15の指使いで弾くことが許されるのではないでしょうか。今度は、それによってレガートの響きで弾くことの難しさが出てきますが、ここでは手首を使ったレガートで弾くことで解決できると思います。少し手首をあげた状態で、手を次の鍵盤の位置まで持ってくるようにしながら順番にタッチをすることで、レガートの響きに近くなります。このような部分では、とにかく耳で聞きながら練習をすることが大事です。ここで前半が終わります。
最後の3つの4分音符(ドミド)がよく不必要にアクセントがつく演奏に出くわしますが、とにかく押さえつけた弾き方をする子供が多いようです。ここは切るように弾く感じになるので、どうしても念を入れたくなるようで、アクセントがついてしまいます。そこで、ここの部分は切るというより、3つの音を手首から抜く感じで弾くとうまく音が切れてよいかと思います。そっと指を置く感じで弾けるとよいです。
15小節からの4小節は会話を楽しんでいる情景に見えるようです。何かヒ
ソヒソ話でもしているかのようでもあります。ここでは左手の音がずれてしまう事が多いですから、まず、どちらか1つの音を弾いたままにして、片方の音
の連打をする練習をしてみることを勧めます。これを順番に弾いて次は反対の音で同じことを繰り返します。
これは、何のためにその練習をするかといえば、1つ1つの指が鍵盤に触れている感覚を、しっかり持たせるところにあります。特に54の指は保持音を
伴いながら弾くことは大変に難しい取り組みになることでしょう。またここでも根気が必要となってきます。
さてこの会話ののちに大きなクライマックスが来ます。たっぷりとした元気の良い音で弾きたいので、ここでのタッチは18小節目の重音はだんだんと重々しくして弾きましょう。
19小節目のフォルテの中でのアクセンティシモと次のピアノの中でのアクセンティシモの違いをはっきりと弾き分けたいところです。ともにリアクションのタッチを使いますが、動きの大きい、小さいで響きの弾き分けをします。大小はあるということです。この時に対応する左手のラ♭のタッチは右手に沿った大きさで弾くことで両方同じではない事を忘れないでください。
21小節からつなぎのフレーズ、アウフタクトから助走をつけるかのようにしてまた、3度上行で持って再現部へ戻る。先の牧歌でもありましたが、し
っかりと3部形式になっておりわかりやすい構造になっていることです。
最後は前半と同じように指使いが難しいので、15の指でしっかりと響かせて、決然ときっぱりと終えるように弾くことが良いかと思います。前半より幾分マルカート(はっきりと)で弾くことで、より子供たちの元気の余韻が残る感じが出るのでは無いかと思います。最後の3つの音は、前半の3つの音よりもしっかりと弾いた方が(アクセントをつけるという意味では無い)良いでしょう。
この曲の醍醐味は重音の響きと両手を使ったフォルテです。しかし頑張りすぎて音の響きが乱雑にならないようにすることも忘れないでほしいです。メロディーの滑らかさや、勢い和音の響きの余韻など、耳を傾けるといろいろな音色のパレットがあることがわかるとおもいます。特にスフォルツァンドの後のディミヌエンドは音の響きの減衰を感じながら音をつないでほしいでね。
テンポはやはりあまり速すぎてもいけないと思います。nontroppoとあるのですから。
♩=152はやはり速いと思います、143ぐらいが適当ではないでしょうか。