曲の指定テンポ アレグロ・モデラート 速く、ゆるやかに
調性 ハ長調
拍子 4分の4拍子
小節数 22小節
演奏順 8小節目リピート 16小節目第1第2括弧あり
全体演奏小節数 38小節
演奏時間 ♩=126 約1分20秒
解説
最初の8小節間、右手8分音符。スラー。左手全音符と8小節目に2分音符4分音符タイで結ばれた3拍。最初P、ドルチェ(やわらかく)で演奏。
5小節目にクレッシェンド(だんだん大きく)7小節手前まで、7小節目からデクレッシェンドといろいろと注意することがたくさんあります。
ここで音に対応する指のタッチに、注意をしっかり持つことを初めての曲から要求しています。
大切なことは、「どれくらい楽譜に対して集中して読み取ることが出来るか!」ということだと思います。
今後どのような曲でも初めから集中して注意深く楽譜を読むくせをつけたいものですね!
幸いにも右手が8分音符スラーに注意をはらわせるために、左手は全音符で引き伸ばされ、その響きの中で右手の8分音符4つで1つのグループをきれいに丁寧にレガートに演奏するように書かれています。
全体をレガートで美しく音をきれいに響かせるというピアノ演奏にとって1番の基礎をこの曲でしっかりとニウニつけたい狙いがあると感じます。
Pの音量でまたドルチェでレガートという、誠にきめ細やかで、指先に集中させる点で大変むずかしいところだと思います。そういうことでまず最初はレガート奏法の練習について考えてみたいと思います。
★レガート奏法の練習
① 手首につい力が入りやすいので、まず最初は鍵盤に指が触れている感覚をとにかく感じ取ることです。力が入ると指先に何があるのかがわかりにくくなります。
触れている感覚がわかると、指先だけの1点に気が引かれて行くようになれば手首には力は入っていません。人間の感覚は1点のみに集中するようになっています。
どうしても手首につい力が入ってしまう方は、ドアをノックする時を思い出してください。割と手首には力は入っていないと思います。
軽く振る感じでノックすると思います。そのような感じの手で鍵盤に指を置いてみてください。
② 指先の感覚が大事です。指は鍵盤の上におく時の形はアーチ型の手の形でタッチが望ましいと思います。例えば水を手ですくう時の手の形がよいかと思います。
③ 指先の第1関節が特に内側につぶれてしまいがちになるので特に注意が必要です。この指の形で弾きますと、音の響きがベタッとした感じに聞こえます。ですから、
初めのうちから、指の形には常に気をつけて弾くようにしましょう。両肩の上がってしまいがちになるので、普段からリラックスすることです。肩の力を抜く方法は
色々な本が出ておりますので、目を通すとよいでしょう。基本的に体操についてや、ストレッチなどの本を参考にされるとよいかと思います。
④ この曲においては、4つの音のグループを1つの塊として手首の若干の旋回運動をしつつ小指から順に指を鍵盤の上をなでるようにしてタッチをする。けっして
上からたたきつけるような弾き方をしてはいけません。
以上のようにレガート奏法の練習の際には鍵盤の感覚と指先、そして手首に力を入れないようにすることがポイントになると思います。
曲の内容について
曲の方に目を向けてみましょう。2小節目に1オクターブの跳躍が出てきますが、あわててはいけません。ブルクミュラーはその跳躍する移動の時間が音楽の呼吸法の1つとしての方法を示しているのだと考えてみてください。そのまま手の移動にかかる時間のままに演奏すれば、自然と歌っているように聞こえると思います。音と音との距離がメロディーの歌わせ方が隠されていると考えて、反対に拍子通りに突き進んだ(機械的な)演奏にならないようにしましょう。
3小節目の頭の音について2小節目の最後の音(指番号1)と3小節目の最初の音の間隔が2度しかなく、しかし指番号は、5となっており手を瞬時に縮める運動が必要になる。この手の伸縮運動がたった3小節でおこなうことは初心者にとって1番の難しい箇所となるともいます。次に出てくる親指飛び越しの指使いが出てきます。ここでよくしてしまう動きは、手首がかたいまま指をそのまま2番の指で動かそうとしまうことです。そうなると肘が異常に上がってしまいスムーズな音の運びに聞こえなくなることと同時に音の響きのバランスも悪く、弾いている姿もきれいではありません。
下記の写真のように親指を人差し指の下に持って行くようにして2の指を使うのがよりスムーズに弾けるこつとなるでしょう。
手首の高さは人差し指が親指が自由に動けるくらいの空間を作るとよいかと思います。
8小節までに右手に注意すべき点は最後の4分音符の音の出し方だと思います。親指をいきなり落とす乱暴な弾き方はいけません。鍵盤に親指を準備したのちに丁寧に響かせる気持ちでタッチすることがよいと思います。鍵盤に対して力任せに打鍵すると強い音はしますが、実際は詰まった感じの響きになってします。俗に言うちかなりの音です。コンサートホールなど広い空間で音を出すとよくその響きの違いがハッキリわかります。むしろここの部分は強い音は求められていませんので、反対に少し弱い音のほうが相応しいのかもしれません。
次に左手の和音(ドミソ、ドファラ、ドミソ)全音符の音の出し方です。ここはあくまで1つ1つの和音の響きの変化に注意をはらいながら、よく響く音でタッチすることが大事になってきます。手を鍵盤に準備したのち、鍵盤を下に軽く打つ感じの打鍵する動作をしながら、その反動で手首が上に上がるように弾くことできれいな音を響かせることが出来ます。
9小節目からは、左右が対称になり同じ音程間隔で外から内へ向かう5→1の指へ向かいます。弱い指から弾き始めることによって音の表現(強弱)がしやすいこと(自然に弱い指から強い指へと打鍵することで、だんだん強く弾くことが容易なこと)が理解出来ると思います。
5の指、すなわち小指のタッチについて、ここの箇所はよい訓練になると思います。練習としては、小指をタッチした後直ちに手首のリアクション(反動)、手首が下から上へと跳ね上がる感じの動き。(もちろん指は鍵盤から離れない)その手首が上がったポジションから親指に向かって徐々に手首を下げながら指を同時に弾き、親指のところで元の手首の位置に(ニュートラル)くる。これを2回繰り返す。このときの手首の運動を旋回運動と呼びこの動きをよく覚えておくとよいでしょう。
また、初めて左手が8分音符を奏でますが、ここも、右手と同じように手首の旋回運動を利用したタッチで弾くことでギクシャク感はなくなるでしょう。
ただ後半4つの音はニュートラル(自然)の位置で指だけで弾くことになります。親指のここでの弾き方は鍵盤から指を大きく離さないことです。
この2小節ひとかたまりのフレーズを、2回繰り返すことによって奏者は次に来るであろうか?と期待すると思います。「同じことを2回言われることには、きっとだいじなことがあるかも!?」と思うものです。案の定この曲において一番のクライマックスが次の13・14小節目に登場します。
13小節目で気をつけたいのが2分音符の保持と左右の音のバランスです。右手の部分は5と4の指に少なからず緊張をするかもしれませんが、あくまでその場所に指を置くという感覚が大事です。先の奏法のように手首のリアクションした手のまま小指は支えるようにして指を置くだけでよいと思います。そしてフラット・シャープの音の響きに耳を傾けて欲しいと思います。いかにも心の中にちいさな叫びがここにはあるのでは? どんな叫びなのかは弾く人によるので、色々考えて欲しいですね。感じる心が必要になってくると思います。
この右手の内声の8分音符は、小指が保持されているので、ハッキリとした指を動かすことは、雰囲気を壊してしまう、ですから指だけの運動で十分ですし、また、それが相応しい響きになると思います。
次にこの緊張から解き放たれるのが、14小節目の音たちです。ここはスフォルツァンドの記号がついていますが、雄大な感じが欲しいし安定した和音の響きに包まれる感じが出せるとよいと思います。しかし、あまり開放感に満ちて強く弾きすぎないこと。あくまでPのフレーズ野中で起きたこととして捉えて欲しいです。
そのあと1括弧を繰り返した後に2括弧の部分に入るといよいよこの曲の終わりがちかずいてきたことがわかります。同型反復のフレーズを繰り返しながら、音の響きをだんだんと弱めながら、消えるような感じで持ってこの曲を閉じます。最後の響きは手首の運動は少なく和音はそっと丁寧に鍵盤に指を置くように弾くことです。
最後の響きは丁寧なタッチで鍵盤をいたわる感じで弾くとよいでしょう。
岐阜県瑞穂市ヒロピアノスクール