曲の指定テンポ アンダンティーノ ゆっくり歩く速さより少し速く
調性 イ長調
拍子 4分の3拍子3部形式
小節数 30小節
演奏順 8小節リピート
全体演奏小節数 38小節
演奏時間 ♩=100で約1分8秒
解説
この曲は、聖母マリアに対してお祈りをする、厳粛な感じがただよう曲です。今まで経験してきた曲とは全く違い、全体的にP(小さく)の音で弾かなけれ
ばなりません。子供にとっては相当な集中力を必要とします。
この曲は教会の合唱をイメージして演奏してみましょう。また、祈りについては、たとえば、何かお願い事をするときの気持ちなど、子供がわかりやすい内
容にしていくと理解しやすくなると思います。
今までとは違い、1本の旋律になっていません。和音が綴られており、初心者には少しためらいが起こるかもしれませ
ん。
どこが旋律なのかは、和音を弾き進めてみるとすぐに判るかと思います。
では、最初の和音から見ていきましょう。はじめは、イ長調の主和音にあたるラ・ド・ミを、2小節にわたって響かせます。3小節目は5度の7の和音(属7の和音)から主和音へ4小節目は主和音から5度の和音へと(I-V7-I-V)の進行で連結されています。
これは、今までも和声進行によって書かれていたわけですが、この曲では、しっかりと和声の基本的進行がはっきりと理解できるように書かれています。
では、どのようなことについて注意しなければならないか考えてみましょう。一つには、ここの和音の響かせ方にまず注意が必要です。4つの音のバランスを考えて、1番美しく響く弾き方を探さなければいけません。闇雲に何も考えずに弾いてしまうと汚い響きになってしまいます。
響きのバランス(和音)について
一般的には1番上の音が1番強く、2番目が左手の下の音。次に中2つの音と大きさのバランスを作ります。そうするとメロディーがはっきり有ることが判ると思います。そして何回も弾くことによって、手の形や指の緊張など工夫をしていくことで、綺麗な音が出せるようになります。このコツを、身体に覚え込めせてしまえば、今後また同じような曲にであったときにも、すぐに手が対応できると思います。
4つの音(和音)の響かせ方
鍵盤から指を離さない事が第1鍵盤が戻ってくる所を押し戻すように弾いてあげるとスムーズな響きの連続が作れます。このとき手首に力が入りやすくなりますから、手首はあくまでも楽にしてキーの反動を感じ波に乗る感じで弾き続けましょう。これがレガートになります。
3小節目から4小節目へは同音反復です。音楽の流れはレガートで弾く方が良いのですが、楽譜ではレガートはまたがって付いていません。ですから、少し
気持ちを入れなおす感じで、手首をそっとキーから指先を離して丁寧に打鍵するとよいでしょう。
楽譜の最初の小節の音は、ニ長調の属7の借用和音になって少し雰囲気を変えています。ここも小節をまたぐ同音は、レガートが付いていませんが、つなげて弾く様に弾きます。ここはクレッシェンドをうまく利用して、手首の動きを少し大きめにして弾くと、良い結果が出ると思います。
左手の指番号の1,2,1の半音は丁寧に。覚えてほしい音の動きがここに出てきます。左手のソファ・ファミの半音下行進行です。この半音下行の動きがこの曲の流れの統一感をもたらしている締めくくりのフレーズです。最後の和音レ・ファラは少し緊張感を持って丁寧に弾いた方が良いです。そして、次の和音で主和音に向かいます。
ここで、前半の締めくくりになります。I-V7-Iの基本進行で落ち着きます。
ここは3声4声3声と音の数が変わりますが響き自体の音量は終わりに近づくようだんだん弱くしていきます。
ここからは、ホ長調のⅠ和音から始まります。少し明るい響きが左手に聞こえます。揺らぎがあり、少しのんびりとした穏やかさが感じられます。左手の2小節目のミの音に向かって少しだんだん大きくしていき、少しためてからアクセントの音を弾くと、音は唐突になりません。臨時記号の8分音符は丁寧に弾き始めましょう。3小節目からは右手のメロディーが前2小節に対しての応答のように聞こえたりもします。少し左手より大きく弾くと立体的になります。広がって行く感じを想像して弾いてみると良いかと思います。
ここからは短調の響きになり、また少し厳かな感じになります。また、右手の音が上昇してます。最後のフェルマータの音に向かって、2回繰り返すこ
とで、段々こころに落ち着いた気持ちをもたらします。ここにも内声においてソファ・ファミの半音進行が出てきます。ここでは異名同音で半音階を作
って、次の小節の右手の音につないでいます。
ここから、右手のメロディーは最初と同じですが、変奏された左手が、おもむろに8分音符でうごきはじめます。音の強さをやや弱くしてそろえて、なめらかに流れるよ
うに弾きましょう。(右手の和音の邪魔にならないように気をつけて)
指を鍵盤に触れている状態になるように、手首の柔らかな移動によって、それに伴って鍵盤を弾いていくとスムーズ弾けるでしょう。よく歌う様に弾きたいです。音の動きによって少し音量を膨らませたり、萎めたりするとよいでしょう。
左手の4分音符を8分音符の動きの中で、少し目立たせるように弾くことです。右手の和音とのハーモニーとのバランスにも気をつけましょう。3小節目の左
手の連打は静かに荒げないようにしましょう。ここの右手の内声の8分音符は、アクセントがついているからといってあまり大きく弾くことは控えましょう。
4小節目の部分は右手も和音を分散にした変奏になっています。どうしても慌ててしまいがちになるので、ゆったりとした気持ちを持ち続けて弾きましょう。はじめは手首を使って下げたり上げたりして弾いてみてください。弾きやすくなりましたら、なるべく手首の大きな上下運動は控えめにしていきましょう。
ここからは、8分音符が右手から左手へと移行していく場所です。右手のラドの和音は前のフレーズの締めくくりと同時に、カデンツに当たる最初の和音にもなっています。不自然にならないように考えて弾いてみてください。左手のミの連打の1つめのミは、フレーズの切れ目の音ですから、抜く感じの音で弾き、2つ目はフレーズの最初の音ですから少し強くなります。指番号によっても自然に強めの音が出せるように親指で弾くようになっています。常に静かな感じが支配をしているところですから、慎重に弾くことが求められます。
ここは、前小節から引き継ぎ左手から右手に移ったところです。左手の4分音符を伴った箇所は、右手の和音とのハーモニーをよく聞きながら弾くとよいでしょう。右手の内声を少し気にしてみてみますと左手と同時に3度の関係を保ちながら上行しています。そして,次の小節のファラに向かっていきます。この3度の響きを取り出して弾いてみましょう。
ファ・ラの右手和音のアクセントの響きから導かれるように、音楽は終結に向かいます。左手の8分音符は、とにかく暴れないように手首をしなやかにして一つ一つの音を手繰るように弾きましょう。2小節、アーメン終始です。最後の和音はPPですが、小さく弾こうと思って初心者は手首や腕に力が入ってしまいます。鍵盤に指をおいて4つの指に鍵盤が触れていることを感じて、鍵盤を下へ軽く押し込むように弾くとよいと思います。
全体的に厳かな感じがある曲です。子供にとって緊張感を持続するのが最初のうちは大変かと思います。ただ、この曲が気持ちを込めて弾けるようになった
時には、相当な集中力が付いていることでしょう。