曲の指定テンポ アレグレット 普通の速さで
調性 ハ長調
拍子 4分の2拍子
小節数 30小節
演奏順 序奏付きリピートあり第1括弧第2括弧
全体演奏小節数 45小節
演奏時間 ♩=138で約42秒
解説
セキレイは、水辺にすむスズメ目の鳥で、ニワクナギ、ニワクナブリ、イシタタキ、ニワタタキ、イワタタキ、イシクナギ、カワラスズメ、オシエドリ、トツギオシエドリ、ツツナワセドリといろいろな名前を持っている。長い尾を上下に振る習性があることから(ただしイワミセキレイは左右に振る)、イシタタキなどの和名はその様子に由来する。と図鑑には書いてあります。いろいろと書きつづりましたが、意外にほとんどの学習者は、せきれいという鳥を知らないという事実があります。まず、どのような鳥なのかを知ることがこの曲を弾く手立てになると思います。また曲の表現は、この小鳥の動きを示していると想像すれば、弾きやすいと思われるので参考にしてみてください。こういったことにも関心を持って取り組むことで音楽表現の幅も広がると思います。
序奏の6小節、Pでleggiero(レジェーロ、軽く)と表情記号があります。その表現が左右の手で雌鳥と雄鳥が空から降りてくるといった感じを表しているうにもみえます。実際のセキレイが飛ぶ感じが、この音符の動きによって表されているように感じます。セキレイが飛ぶ感じをよく想像して弾くと良いでしう。
ドミソの分散和音で、軽やかに弾けるといいですね。
まず和音で弾いてポジションの確認をしてから、分散和音で弾くことはもちろんですが、指使いをちゃんと守って弾くことです。手首の高さを少し高めにして、鍵盤をはじくようにして弾くのがコツです。また、少し勢いをつけて、アクセントをつけ小指をタッチし親指に向かうと、弾きやすいです。
3小節目からの和音は、両手の半音下降進行をよく聞いて弾くことです。右手はファ井から10にレまで、左手はラから2つめのソまで、落ち着いたとこ
ろが4分音符でフォルツァート、テヌートスタッカートでしっかりと印象強い音の響きになってます。
音楽的内容は、セキレイが空から舞い降りて、いったん地上に着地するような感じもします。ここで役者はそろったという事でしょうか?
ここは、雌のセキレイがさえずっているように感じます。また、ここでは改めてleggieroと記入されていますから、気持を入れ替えて弾くようにしたいところです。
右手の連打は1拍目の裏拍の音がはじめの音になりますが、この音に若干のアクセントが付いた方が弾きやすいです。が、音楽的には裏拍に当たるので弱く弾きます。そして2拍目の音符に気持ちアクセントがあると、音楽が前へ流れます。リズミカルにアクセントをつけずに弾くと、音楽が重くなり小鳥の羽ばたく感じがなくなってしまいます。2回目は前よりは少し大きくします。もっと高く空へ羽ばたく感じです。また、左手の和音ですが、内声の動きを感じ取ってください。ゆっくり音を長めに弾いてみることで、響きの移り変わりのを味わうことも大事です。3小節目は落ち着く感じでだんだんと降りてきます。半音の動きに耳を傾けます。4小節目にて主和音に落ち着きます。音量も音高の上下で変化しています。最後の4分音符はしっかりのばします。
ここも次へ落ち着く経過部分とでも言いましょうか。あくまでも、軽やかに弾くことです。左手の4分音符はスタッカートがついていないことに注意が必要です。8分音符と同じように弾いて調子づいて、スタッカートに成りやすいところです。
ここは、左手に変化が出てきてます。ドッペルドミナントでもって色をつけている場所です。ファ♯・ファミの動きに耳を傾けたいものです。最後のドの音はよく見て狙って弾くようにします。しかし、大きくならないようにタッチし軽くスカッタートで弾きます。
最後のドの指番号は何にするかもよく考えないと行けません。単純に小指で弾くのか?薬指なのか?どうでしょうか?よく考えたいですね。
ここからは左手がメロディーとなり、雄のセキレイがさえずっているかのようです。少しもの悲しい響きがする部分です。3小節目のアクセントは、1オクターブ上になりますから、少し時間をかけて上からタッチしてみると良い響きが得られます。力任せに弾かずに自然な落下で弾くことです。
また、3度の音が、微妙にずれるときがあります。特に指の連打のときに、ズレてしまうことが多いです。これは、一つには、手首に力が入り打鍵した鍵盤をあげられずに、次の音の打鍵するときに、気がついたように後になって指が上がり打鍵することから起こるようです。ですから常に力任せに押さえずに、手の重みで置く感じで打鍵し、すぐに2つめの和音を弾く事出来る状態にしておくことです。もう一つ考えられるのは、指がまだしっかりしていないときに起こる現象の場合です。これは一つ一つの指が独立できるまで、また、意識を持つことが出来るようになるとだんだんとスムーズに出来ることだと思います。
2音又は3音にまたがるスラーについて
この曲では、細かいスラーがよく出てきます。スラーは滑らかに演奏するという意味で理解されていますが、いつも学習者が陥ることは、スラーの最後の
音に対する注意のなさです。何も言わないでそのまま弾かせると、アクセントがついてしまう演奏が圧倒的に多いようです。ですから、いつも最後の音に対して注意深く不必要なアクセントが付かないように、スッーと抜くように弾かせたいものです。ここでも、自分の弾いている音を良く聞きながら弾くという集中力と耳が必要となります。
ここは、両手が平行して上昇していくところです。セキレイが空へ飛び立つ感じがします。勢いをつけて弾いていきますが、3小節目がミスタッチを犯しやすい場所です。fで弾きますが、右手は、1オクターブ跳躍ですから、鍵盤を小指で良く狙って弾きます。
また、左手のソの音を、指番号を決めておかないと間違えます。そのままの状態で5番で打鍵すれば間違えません。1カッコの最後の左手の跳躍は前半と同じです。どの指を使って弾くとこの部分にあった、音になるでしょうか? 自分が感じるイメージが出せる指を使いましょう。
2カッコよりは、雌鳥と雄鳥が飛び交え、さえずりながら、戯れている感じを表しているかのようで、楽しく曲は終わります。ここは連打のタッチが重くなら無いように、指の交換を右手は手を右の方へずらしながら連打し、左手は1・2・1の指交換を手首の前後運動を利用して、連打すればうまく弾けます。
最後の和音は、しっかりとした響きで弾きましょう。あくまでも明るい感じで弾けると良いでしょうが、左手の部分のメロディーに少しかげりがあるところに、何を感じるかを自分で思うことが大切なのでは無いでしょうか?
何が起こったのでしょうか? ほんのつかの間の出来事のように感じられます。
音楽は音の陰陽で表情が出ますので、変化があるところに目を向け、響きの違いを感じ、よく考え、何を言わんとしているかを自分なりの意見と感情を持つことが、音楽でもって、自己表現につながってくることだと思います。