曲の指定テンポ モデラート
調性 ヘ長調
拍子 4分の3拍子
小節数 16小節
演奏順 1~8小節第1、第2括弧つき 9~16小節リピート
全体演奏小節数 32小節
演奏時間 ♩=112 約48秒
解説
2部形式になっています。前半は主にレガートの練習、後半はリズミックなスタッカートの練習が取り込んであります。
右手のなめらかな下行1-4の指の閉じ方になめらかさが必要ですし、手を閉じたり開いたりする要領でひくとよいと思います。
3の指から2の指へ8分音符は滑り込んだようにならないように落ち着いて次の4分音符に指換えをして弾きましょう。しっかりと4分休符はとることです。コツとしては、左手の和音をよく聞くことであわてないようになると思います。
左手の和音は Ⅰ から II6 と響きの違いにをよく聴くことが大切です。Pなので、あまり弱く弾くと聞こえなくなるのでほどよい響きの音がほしいですから、mPぐらいが丁度良いと思います。
3小節目右手の音階で指くぐりがでてきます。このとき左手は属7の和音であるので、その響きを聞きながら右手の音階を弾きます。
ここではブルクミュラーは、音階のテクニックをしっかりとマスターして欲しいように感じられます。
★音階の練習について
ここで、音階の練習について考えてみたいと思います。
今まで、親指くぐりをして3つの音を連続して弾いていた程度でしたが、ドからドまでとしっかりとオクターブの音階を弾く経験は初めての経験かもしれません。スムーズにきれいに弾くために、まず手首の高さに気をつけなければなりません。
それは親指が中指の下を左右に動かすための空間が必要になってくるからです。
また、上行型の場合、中指の下をくぐった後に親指を打鍵した後に直ちに、手の形をニュートラルポジション(自然な形)にしたた方が響きの均一化
が図れます。ですから、手首の高さに注意が必要になってきます。
また、指の運動のみで初めはなかなかうまく弾けません。どうしても、親指を中指の後ろまで折り曲げて弾くことが難しいようです。
ですから、肘を大きくあげて弾いて少し外に回すような感じで弾いてしまうことがよくあります。
そして、この肘を大きなアクションで弾くとどういう事になるか・・それは親指を打鍵したときの音がものすごく強くなったり、中指で弾いた音が不安定になり、響きが抜けたり、不自然な音の強弱が付くことです。
こうならないようにするには
1 最初は手を広げて、親指を小指の付け根まで折り曲げの練習をする。
2 鍵盤を使って描くぐりの場所で指を1・2・3・1・3・2・1と前後に繰り返し弾く。
3 次に同じ場所で3・1・2・3・2・3と前後に繰り返し弾く。
4 上記の部分を付点のリズム、逆付点のリズム、スタッカートで弾く。
5 まだ指がおぼつかないようであれば2・3をもう少し短くした、部分的なところだけに絞って3・1・3と3・1・2を繰り返し弾く。
また後で出てくる下行型の部分でも同じ事の練習をする。
13小節目右手部分の後半の1(ド)・4(シ)の指使い部分が特に肘を使いたくなる場所です。ここは1番(親指)から4番(薬指)なので大変に手を縮めないといけませんから難しい所です。よって特に3・2・1・4・3と前後に繰り返し練習する事で手首のしなやかさ作ります。
指くぐりの時には手首に力を入れないで、手首を左右に動かせるようにできると上手に弾ける様です。
手首の回転運動などを普段からして柔らかくしておくことが近道です。
以上の要領で練習することにより、音階はなめらかに弾けるようになると思います。また左手も同じように練習することで、後々苦労しないで弾けるようになると思います。
4小節目の和音の変化(三つ目の和音)には十分耳を傾けて左に対する右手はクレッシェンドになるように、促しているきっかけ音と考えられます。
このように、左手の変化にも注意を払う事を忘れないで欲しいと思います。
5・6小節の右手の音型は流れるような右手が続く中でそれを押しとどめるかのような音型が出てきます。
7小節目の右手の2音間の音型は手首の下げ上げで弾くことで、アクセントもつけやすくなります。5番の指の音に向かうときは若干、間をとって弾くことで音楽に落ち着きをもたらします。
8小節めの左手のドシドシソはまた助走をつけるかのような感じがしますので、本当にそのように弾くとよいでしょう。気負ってあわてないことです。
シ♭とソのあいだを少しもったいぶって弾くことで気負いを防ぐことができます。
第2括弧のところでは、右手が次の音楽の助走を作っています。ここは第1括弧と違い音が停滞(跳躍がない)しています。このような音が続くときはだいたいが、次のフレーズは躍動感を持った飛び跳ねる感じのメロディーがくることが多いようです。ですからここの部分はなるべく静かに指を鍵盤からあまり離さずに弾くようにすると対比の感じがだせます。
9小節目からの右手のスタッカートは指をはじくような弾き方をしましょう。はじくと同時に手首も少しはねた感じになると思います。そのときに指の変換をします。ソの4分音符はしかりと手首のリアクションをして響きにのびが出るように。
左手は指の動きだけで静かに響きの移り変わりが分かるように弾けると良いと思います。
14小節目の右手の部分は下行を伴ったスタッカートですが、音が重くなりやすい部分です。意識してスタッカートの音を打鍵した後、手首をすぐにあげるようにして弾きましょう。後は一気呵成に最後のファまで駆け上ってください。ここの音階も前に練習した方法で繰り返し練習することを忘れないことでず。
16小節目の終止部分ですが、ここの8分休符の時間は少し長めにとるようにすると、最後のフォルテの和音がしっかり出せます。休符の間にポジションの準備をすることです。和音はつかみ取るように手首のリアクションをしっかり使ってください。そうすることで音の広がりが出ます。
優雅な感じもするこの曲は、あわてないでしっかりと弾きたいものです。レガートとスタッカートの使い方が大変おもしろいものですが、跳んだり、はねたりする軽やかさがこの曲では巧く作用しているようです。しかしその部分に入る前の16分音符のうねるような動きと、音階がこの練習曲のメインといってよいでしょう。前半と後半の音楽の使い分けがこの曲の難しさでもあります。
テンポは♩=112となっていますが♩=96ぐらいの方が厳かな感じが出しやすいかと思います。モデラートと指示してあるぐらいですから。