曲の指定テンポ アレグロ・スケルツァンド 速く、ゆかいに
調性 イ短調
拍子 4分の2拍子
小節数 31小節
演奏順 リピートあり2回目のリピート部分に第1括弧、第2括弧あり。第2括弧より5小節のコーダ
全体演奏小節数 55小節
演奏時間 ♩=152で約46秒
解説 (主に弾き方について)
この曲の題名「アラベスク」とは何を表現しているのでしょうか?ネット添削で調べるとこうあります。「アラビア風に 」と「唐草模様」と言われます。模様が入り組んで細かい複雑な様々な音で技巧的にあらわそうとする1つの作曲法です。昔の西洋人はアラビヤや東洋とかに、何かとりつかれた感があったようで、神秘的な何かを感じていたのでしょう。ロマン派の作曲家は特にその傾向が強いようです。アラベスクという表題の作品を探すののもよい勉強になると思いますので、是非探してみてください。
最初2小節は左手のみの和音奏。この和音の意味をどう感じて演奏するかで、この曲の方向性が決定されると思います。4分音符にスタッカートです。音の長さは厳密には8分音符と同じ長さになります。短すぎる演奏がたまに見受けられますが、あくまでも長さは注意したいものです。2拍子なので同じ音量ではなく、一拍目に若干のアクセントをつけて弾きましょう。小刻みよく響くといいですね。
Pという音の大きさの指示になっていますから、手の形に気をつけましょう。あくまでもアーチ型の手の形を崩さないように。その手の形で注意する点は、親指と小指の対角線が出来るような形にすると、安定したしっかりとした響きを出すのに好ましいと思います。
また手首は、しなやかさを持って弾けないといけませんが、このアーチ型の手の形を作ると、どうしても手首が硬くなりがちです。ですから、和音を弾く時には手首に反動を利用します。弾いた瞬間に少しだけ手首を上げるように弾くことで、手首の力が抜けます。その練習をゆっくり繰り返してその感覚を身につけて参りましょう。その手首の反動の感じ方の練習は、まず鍵盤に触ってからそのまま鍵盤を押し込みます。それから手首を下げてジャンプするように手首を上げてみてください。そのときに指先に圧力がかかることが感じられるとよいです。その感覚を忘れないようにして、ゆっくり繰り返して弾いてみてください。その弾き方がなじんできたら、だんだんとテンポを上げて弾いてみましょう。和音の連打はこの弾き方が基本になりますので、このときに感覚だけでも身につけられるとよいかと思います。
また、9小節まで和音の伴奏に乗ってメロディーを奏でますから、和音は正確なテンポと安定したしっかりとした響きでもって弾きたいものです。
3小節目からleggiero(かるく)とあることから、淡々とした軽やかな音で聞こえるように、軽く指を動かす感じで右手は弾きたいですね。16分音符は前曲の素直な心での16分音符とは違い、明らかにテンポが速いです。キビキビとした響きでここでは弾くことが求められていますので、今までと同じ弾き方では弾けないでしょう。速くきれいに粒のそろった16分音符を弾くためにどうしたらよいでしょうか?
速度が速い16分音符は初心者にとって大変難しいです。まず一番に音が安定しない音の粒が転んだように聞こえてしまうこと。そのようにならないようにどのような練習で音の粒をそろえるかを考えてみましょう。
まず指だけで弾くのではなく手首の回転運動を利用して、音の重心を移動させるように音を弾いてみましょう。最初の右手「ラシドシラ」を1回の手首の左回りの回転運動に乗せて弾いてみて下さい。最初はゆっくりとそして段々とテンポを速くして。一本一本の指に手の重みが移動する感覚が感じ取れればよいかと思います。もちろん音の動きをスムースにするための付点・逆付点のリズムやスタッカートでの練習は欠かせません。後からでてくる左手の「ソラシラソ・ラシドレミ」は特に何回も繰り返しの練習が必須です。
11小節目から左手の16分音符。ほとんどの学習は音の粒をそろえることが大変難しいところだと思います。自分のどの指が動かしにくいか?まず隣り合わせの音を交互に弾いてみます。動かしにくいか?スムースに弾けるか? 「ソシラソ」がスムースになるように2音間を交互に繰り返し、それが出来たら3音間の繰り返し練習、次に4音間を繰り返し練習をしましょう。とにかく弾けるまで根気よく練習しましょう。
11小節目からの右手は大きくたっぷりとした、しっかり響きのある音が欲しいので、鍵盤を深く探り取るような感じで指を動かしてたっぷりと弾いてください。
7小節目の8分休符によって作られた、アウフタクトのリズムは歯切れよく緊張感を持った感じが欲しいですね。では、この緊張感を出すためには、どのように弾いたらよいか考えてみましょう。1つ考えられるのは、左手の和音を弾くときに気持ちで「ウンッ!」と言った後に右手を弾くように練習してみるとよいかと思います。音の動きを感じることが大事ですね。その時、右手の音、「ミ」はスタッカートですが、アクセントはなく次につなげる感じで。8小節目のアクセントの役割は勢いを一瞬止めて楽節の収束を作り出しています。ここの部分(7小節目から10小節目)がスケルツァンドの部分をよく表現しているところですね。そしてここのアクセントは響きを豊かな感じを出せるとよいです。おおらかな感じといったらよいでしょうか?!。
第1カッコのスフォルツァンドとディミヌエンド、原典版にはあります。そのほかの楽譜では、スフォルツァンドだけ、スフォルツァンドと左手にアクセントがついています。これから学んでいくに従ってこのようなことがよくあります。基本は原典版を基に弾くことがよいですね。ちなみに、ここでの参考楽譜はスフォルツァンドと左手にアクセントになっています。
15小節目の高い「ラ」の音は、前の小節の「ラ」から手御大きく広げながら素早く小指を深く打鍵して弾くことで「ラ」が効果的な音になります。17,8小節の表現はいろいろと考えられます。ともに8分音符で深いタッチで音を出したいわけですが、唐突的に遅くすると不自然に聞こえます。dim.e poco rall とあるので、まずは少し小さくしながら、そしてゆっくりと弾きましょう。ここの部分の響きの移り変わりが何かエキゾチックな雰囲気がでてる気がしますね。左手の#の響きと次の右手の#の響きの移り変わりを味わうように弾いてください。
19小節目から最初のテーマが出てきます。23小節目から前半と違いPとdolceとあり、落ち着いた響きがもとめられた感じがします。1カッコと2カッコでは、ハッキリとした違いが感じられます。1カッコは繰り返しで、2カッコは終結へ。右手の音が上行して行き、高揚感が高まり勢いがあります。
30小節目のrisolutoo(決然と), fとありますので、両手16分音符、31小節目2分音符の和音は前準備の手のポジションの型の練習を、そしてしっかりして音の響きを作る練習をしてきっかりと決めましょう。
テンポについてですが、原本は1拍152とありますが、子供にとってはむずかしいと思います。軽快感が損なわれない程度にまでテンポを遅くしてもよいかと思います。138くらいでも和音の響きの軽快さは出せると思います。あくまでも愉快な感じがでればよいかと思います。