曲の指定テンポ アレグロ・ヴィヴァーチェ 快活に速く
調性 ハ長調
拍子 8分の6拍子
小節数 55小節
演奏順 中間リピート
全体演奏小節数 64小節
演奏時間 ♩=132 約55秒
ロンド形式 ABACA
いきなり、狩りの始まりを思わせるような勇ましい特徴のあるリズムで(角笛の合図と思われる)、左手の和音で奏でられます。そうですね、今、人間が生きていくために昔(今も?)行ってきた行動の一片をこの音楽は教えているのではないでしょうか? 今の日常生活では考えられない情景ですね。子供たちには、この曲を勉強するにあたってなぜ狩りをするのかという事を考えるいい機会になると良いですね。こういう生活があった歴史の中から、音楽は生まれてきているという事も忘れないでほしいと思います。
狩りの情景を音で繰り広げるこの音楽は、中間部においては、狙われる動物たちの悲しみの訴えも聞こえるような音楽になっています。この音による対比は、人間が狩りによって得られる明日の活力源を得る喜びと、動物たちの命が失われる悲しみを表現できると良いと思います。
ここのフェルマータは、「さあいよいよ狩りが始まるぞ!」という緊張感を表していると思います。ですからこの和音を弾くときには息を少し止めて、思い切って斜め前に突き出すようにして弾いてみてください。
次に入ります。いよいよ狩りが始まった感じがしますね。右手の連打が獲物を追い立ている感じ、もしくは、獲物がいる森の中へずんずんと進んでいく感じを表現しているように見えますね。このテーマを2回繰り返し次の部分に入ります。
左手は、2つめの和音(ホルン5度)ソ•レがこれから何回か出てきます。 この響きが狩りの角笛の象徴だと思っても良いのかもしれません。 右手は、スタッカートの跳躍でソ•ソ•ソが何度も繰り返されます。慣れてく ると、どうしても調子づいて乱雑、乱暴になりやすいので気をつけたいところ です。右手の5番(小指)のタッチ、1、2番の音質について少し考えてみましよ ぅ。この3つの音の連続は、いろいろな表情をつけることが出来る可能性を含んで いると思います。試みに、まず、淡々と少し小さい音で弾いてみてください。このときは左の和 音の動きがよく聞こえてくると思います。今度は、小指の音に少しアクセントをつけてみて弾いてみるとどうなるか?今 度は少しウキウキした躍動感が感じられると思います。次は1番の指の音のみに少しアクセントをつけてみるとどうなるでしようか? また、左手の動きに応じてテンポを揺らしてみるとどうなるでしようか? このようにして、いろいろと弾き方を変えて、音の表情を考えてみるとどれが自分に合っているか?好きか?また、弾きやすいか?どのように聞こえるの か?
といったことがわかってくると思います。もちろんふさわしくない表情もあり ます。
また、4小節目の下行型のスタッカートは指のスタッカートで軽やかに。し かし、薄い響きにならない程度で弾きます。
そのためには、指の支えをしっかりして指を活発に動かします。そしてだんだ ん小さくなるに従って動きを遅くしていきます。そうすることで、音はだんだ んと弱くなります。(テンポは遅くしない)
左手の和音の響きは、確固たる気持と朗々と堂々した響きを出す感じで。そ れには、鍵盤を弾く指の面積を広くしてあげると良いです。少し鍵盤をえぐり 取る感じの指にすることで、指の腹を使うことが出来ます。同じような弾き方 でアクセントもアクセンテイシモもタッチしてみてください。あまり鋭くなく、 太い響きの音が出せると良いと思います。何回も引くことで自分のイメージに 合う音を探しましょう。指使いですが、最初の5番,2番は届かないようであ れば、5番,1番でも良いかと思います。
丁度復縦線の前の部分ですが、しっかりと締めの感じを持って弾くことが大事です。次のPの部分では左手ファ♯ソの連続が続きますが全て同じというわけではありません。工夫が必要になります。同じようにすると音楽が単調になってしまうからです。そのためには、右手の3度の和音進行について響きが、どのように変化しているのかをよく見ていくことです。そして、ウン・ポコ・アジタート(少し急き込んで)と表情記号がついている事に目を向けると、せわしない感じを音によって表現する必要があると考えられます。ですからよく右手の音の兼ね合いを考えて、よく響きを聞きながら左手を弾きたいものです。また、左手のソシレシソの強弱は抑揚をしっかりつけることです。
下記は2回目の部分ですが、音は最後の部分が違うだけです。表情がクレッシェンドがついていますから1回目より少し大きくなります。
イ短調で弾かれるドレンテ(悲しく)は、動物側にたった部分と考えても良いかと思います。全体に悲しい雰囲気がただよっています。その感情を音で表すにはどのように弾くと効果的か考えてみましょう。全体は左手の伴奏の弾き方と、右手のタッチの仕方で表情がつくと思います。左手は、3つの音を指のおなかでタッチするように弾きながら、手首の旋回をしながらモルトレガートで弾きます。右手は左手と同じように指の腹でタッチしますが、一つ一つの音を丁寧に、鍵盤をなでるように弾くとよいと思います。細かく音の動きに関して見ていくと、最初の右手ミラと2回目のミラは、最初は少し落ち込んだ感情で、2回目は上ヘラになりますから訴える感じで少しオーバーに大きくしても良いかもしれません。
小指のタッチに気をつける。
前半部分は、付点4分音符の動きですから丁寧に1つ1つタッチすることです。後半の8分音符の1オクターブに渡って進行する、下行は丁寧にひそやかな感じが出せるように弾けるとよいかもしれません。
最後2小節は少しあきらめの感じを持って弾くことがここの部分を締めくくるには良いかな?と思います。それぞれ感じ方は違いますから、いろんな事を想像して弾いてみましょう。ただ気をつけたいことは、テンポがここの部分だけ、あまり遅くなってしまわないように弾くことだと思います。最後の上行形は失った命が天へ舞い上がっていくかのようにも感じますね。
次はまた狩りの様子の音楽が再現されます。
最後のAの部分です。ここでは、上記の上の段最後の小節が、前半の同じ部分と左手が違いがある、と言うことに目を向けることです。前半は左手の部分がミドからドへなっていますが、後半はミドがタイになって音の長さも違います。
前半部分
最後は、フォルテ・メゾフォルテという様に、だんだんと小さくなり家にたどり着いたという感じがわかります。ある版では強弱は無く最後のPPとラレンタンドのみで、2回目のソソソの部分にペルデンドシ(だんだんと遅く弱く)と書いてあります。表現としては消えていくようにですから。同じ雰囲気になると思います。
視覚的にわかりやすいのは上記の楽譜に書いてある方法かも知れません。ここでの、左手の和音のタッチは、あくまで軽やかさを失わず、だんだんと遠くにいってしまうような感じで弾くことだと思います。
この曲は、全体は明るく勇ましい感じのする曲です。が、だんだん弾いてくるに従って、それだけでは無い、という事が分かると思います。ですからあくまでも、あまり速すぎないテンポが良いかと思います。1小節を2拍ととらえて弾くことになりますが、1拍あたり1126ぐらいでまず弾いてみると良いかも知れません。そこから、自分の感じている情景や、感覚や想いを踏まえてテンポを見つけていくことだと思います。