藤崎八籏宮秋の例大祭

藤崎八籏宮秋の例大祭

前稿で藤崎八籏宮を取り上げた際,肥後国誌や熊本藩年表稿等を調べて,はじめて八籏宮の歴史を知った.時の為政者が深く関わりを持っていたことを改めて知ることができた.特に加藤清正以前に隈本を治めた武将の動向を知るのに藤崎宮文書は大いに役に立った.

藤崎宮の祭礼については肥後国誌に以下の記載がある.

藤崎宮祭礼の次第

正月 九日 射去祭 正月十一日 蔵開

二月 臨時祭 三月十五日 藤祭

四月 三日 蒙古退治祭 五月 五日 御田植

六月廿九日 菅祓祭 八月十五日 放生会

九月 九日 流鏑馬 十一月九日 初卯神祭

十一月十五日 若宮祭 十二月 丑ノ祭

放生会については以下のとおりである.句読点は適当に付け加えた.

例年8月15日,放生会祭礼に横手村祇園宮の祠官光永氏勅使代を勤む.期日随兵百人,槍五十本,神馬数匹,笠鉾等美を盡し,段山へ神興行幸神官祓神楽音楽を奏し,社僧経を誦む.国君の御名代,御家老,御備頭組共に御桟敷に伺候し能式見物,御料理御菓子を賜る.其外砲長組の軽率を卒ひて非常を糺し警衞厳重記するに辺あらす壮観耳目を驚す

藤崎八籏宮例大祭のクライマックスである随兵行列は9月20日に行われ,今年は65団体が参加した.

それに先立って9月18日には,神幸行列を盛り上げる飾り馬を清める儀式である飾馬飾卸が行われた.神馬飾卸の後,奉納団体の飾馬飾卸があった.

随兵行列の時は飾馬,ラッパ等の鳴り物の後に大勢の勢子が続くが,飾馬飾卸は世話人だけである.人馬が神前でお祓いをうけた後,本殿前を一周して当宮を後にする.藤崎宮の周囲にはトラックが待機していて,借り物の馬を大事に運び去っていった.

9月20日は一日中掛け声と鳴り物が響きわたり,近所のコンビニでは疲れきった祭参加者が一服している姿を夜遅くまで見かけた.

「随兵寒合」のとおり,祭を境に朝晩は涼しくなってきたが,昼間はまだ暑さが続いている.

飾馬飾卸の様子

1 「済々黌飾馬奉納団 絆」の飾馬

2 ポニーが続く

3 勢子の指揮者

4 太鼓などの鳴り物

5 奉納行列では太鼓の後ろに大勢の勢子が続く

お祓い後に境内を一周

鞍上の飾りは男女の「陽陰」を意味する.

蹴られないようにシャッターチャンスを待つ写真班

参考資料

藤崎八旛宮例大祭日程

期日 祭典行事

9月13日(日)

総代清祓

第1日祭

獅子飾卸 【新町獅子保存会】(熊本市無形民俗文化財指定)

大神楽奉納 【肥後大神楽会】

奉納神輿飾卸

町鉾飾卸

14日(月)

第2日祭

奉納献茶祭 【肥後古流 的々社】

15日(火)

献 幣 祭 【例祭】

18日(金)

神馬飾卸

奉納団体 飾馬飾卸

19日(土)

宮遷式(本殿から御神輿へ)

随兵三役清祓い

日本舞踊奉納(藤間楨珠社中)

奉納挿花

20日(日)

随兵行列【飾馬】 奉納65団体

本宮御発輦

御旅所御着輦(新町御旅所)

御能 奉納【喜多流 金春流 能楽師】

御旅所御発輦

本宮御還幸

奉納挿花(境内)

21日(月)敬老の日

宮遷式(御神輿から本殿へ)

奉賽祭