Tomoki HIROSE's
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オドリバエ屋見習いのウェブサイト
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オドリバエを研究している廣瀬朋輝 (修士2年生) です。
拠点 locality: 札幌 Sapporo, 北海道 Hokkaido, 日本 Japan
研究対象 subject: オドリバエ (ハエ目オドリバエ科などの昆虫) Empididae and other familly of Empidoidea
興味のある分野 interested in: 形態を中心に分類~系統~機能形態~行動生態 (予定) Functional morphology, Taxonomy, Phylogeny and Behaivior Ecology.
Thank you for visiting my homepage!
I'm a master student researching the morphology and taxonomy of Empididae at Systematic Entomology lab., Hokkaido University.
論文が出版されました!
Hirose Tomoki, Yoshizawa Kazunori, 2024. Discovery of a novel ejaculation mechanism in danceflies (Diptera: Empididae), with implications for genital elongation. Sci Nat 111, 48 (2024). https://doi.org/10.1007/s00114-024-01938-0.
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オドリバエの射精ポンプの骨格的構造に3タイプがあることを発見し、現在までに分かっていた系統関係と構造の類似性からポンプの進化を考察しました。結果、直線的にポンプするタイプから、関節を支点にテコによってポンプするタイプが進化したことが分かりました。
ポンプは射精管の一部が膨らんだ「膨大部 sac」と、その中身を圧縮する骨化部である「射精内甲 apodeme」からできています。膨大部にくっついている射精内甲を筋肉が引っ張ることで、内甲が膨大部に押し込まれ、膨大部の中身が押し出されます。
短角亜目直縫群の多くのグループ (オドリバエより前に分岐したグループ) では、棒状の内甲が膨大部にゆるくくっついていて内甲が膨大部を出入りして、注射器などのような直線的なピストン運動によって精液を排出します。オドリバエ科では、内甲と膨大部がよりしっかりとくっついており、若干キチン化しています。Rhamphomyia の一部と Hilara で共通して見られたのは、ピストン運動を維持したポンプである一方で、内甲は膨大部を出入りせず、キチン化が弱い膨大部自体がつぶれることで精液を排出します。Rhamphomyia 亜属では、キチン化が弱い膨大部自体がつぶれることで精液を排出しますが、内甲の根元の腹方で膨大部が硬化しており、ここを軸に内甲が背方に回転します。筋肉相から、筋力によって精液を排出し、膨大部の弾性によって内甲の位置を元に戻すと考えられました。Calorhamphomyia 亜属で見られたのは、内甲の根元の腹方で膨大部との間に明瞭な関節があり、ここを軸に軽い力で内向が回転します。筋肉相から、筋肉によって精液を排出し、また別の筋肉によって内向の位置を元に戻すと考えられました。この内甲を戻す筋肉は、他オドリバエにも存在している相同な筋肉の動き方が変わることでこの機能を果たしていると考えられました。