学生の体験記

常葉大学外国語学部

(1) 小柳直人:2019年度後期、台湾銘伝大学

2019年9月24日-2020年3月27日

( 常葉大学外国語学習支援センターのブログの記事(写真あり)から転載。)


台湾留学報告書 10月

(写真入りのオリジナル記事はこちら → https://www.tokoha-u.ac.jp/blog/flssc-b/20191023/ )

台湾に来て感じた勉強不足

9月24日(火)に台湾へ着いてから、今日でちょうど3週間です。本報告では今日までの3週間の流れ(手続きなど)、授業、寮生活、気が付いたことの4点について書きましょう。

1つ目は、3週間の流れについてです。空港に到着して入国した後、まず、携帯電話のプリペイドSIMカードを購入しました。6ヶ月間インターネット無制限でNT$3,800 (13,000円ほど) でした。とても安く驚きました。翌日は、入寮手続きがあり、NT$2000のデポジットを払いました。寮の部屋には机とベッドが一緒になったものがあるだけなので、寝具や食器などを自分で揃えなければなりません。9/27(金)にオリエンテーションがあり、その場で寮費と授業料を支払いました。オリエンテーションでは、ビザの延長やクラスの編成についての説明がありました。次の週の9/30(月)から授業が始まり、今に至ります。

2つ目に授業についてです。私は初級のクラスに入りました。そのクラスには、日本人と韓国人の学生しかいません。もう少しグローバルなクラスを想像していました。しかし、漢字を書けるという共通の長所があるため、授業は会話と文法が中心で行われ、他の初級クラスよりも早く進んでいます。当初は簡体字から繁体字に慣れることや、台湾特有の中国語(自転車:自行车が腳踏車であったり、トマト:西紅柿が番茄であったり)のあることに苦労したものの、徐々に先生の話す中国語が聞き取れるようになってきました。とはいえ、やはり日本での勉強不足を、特に会話やリスニングの面で痛感しています。

3つ目に寮生活についてです。私たちの部屋は5人部屋で、現在は私を含め4人の学生が生活しています。もう一人の常葉大生の他に、インド人学生とベトナム人学生と同室です。ほとんど一人きりの時間はなく、その日に授業で学んだ内容や自国の話題などで会話が絶えません。現在はまだ英語でコミュニケーションをとっており、いずれは中国語でコミュニケーションをとっていきたいです。寮では料理が禁止であり、キッチンもないので、基本的には外食です。台湾は外食でも日本ほど高くないので、問題はありません。ただし、栄養の偏りには注意しなければならないでしょう。

最後に台湾で3週間生活してみて気付いたことを書きます。まず、気付いたことは、日本のものが本当に多いことです。食べ物、生活用品、レストランなどで日本製や日本産のものを見ない日はありません。また、個人的な興味で言えば、レンタサイクル(Youbike)の利用率の高さに驚きました。日本でレンタサイクルと言えば、観光地を回るための手段としての利用が一般的です。しかし、台湾では通学や通勤、買い物など普段の交通手段として利用されています。この利用率の高さは何に起因するのか。引き続き調べていきたいと思います。

総じて、まだまだ英語に頼りながらの生活ではありますが、中国語が話せるように努力する次第です。また、自分の興味関心に基づき、様々な場所に足を運びます。

台湾留学報告書 11月 (小柳)

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軽声が無い!?

留学開始から、1か月半が経とうとしています。本報告では、授業や訪問地で気が付いたことを3点書きましょう。

1つ目は、授業中に気が付いたことです。まず、授業の状況を述べましょう。授業はまもなくレベル1の教科書を終え、レベル2の教科書に移ろうというところです。現在は「把構文」を学んでおり、今なお留学前に常葉大学で学んだことの復習となっています。しかし、自らの会話力が乏しく、留学前に習得しきれなかった点や新たに学ぶ点も多くあるため、現在の授業は私にとって適切だと感じます。また、ようやく繁体字にも慣れ、簡体字との書き間違えも少なくなり、さらに、先生の話す言葉(ティーチャー・トーク)であれば問題なく聞き取れるようになってきました。

そのような中、授業や宿題を通じて1つの違和感を持ちました。声調を正しく発音し、記述しているにもかかわらず、先生から訂正されることがあったのです。気になって先生に尋ねてみたところ、台湾の中国語には軽声が極端に少ないということが分かりました。例えば「物」を意味する「東西(dongxi)」は第一声と軽声の組み合わせのはずです。しかし、台湾の中国語では「西」という音が軽声にはならず、元々の声調である第一声で発音するのです。その他にも「心地がいい」を意味する「舒服(shufu)」や、「大丈夫ですよ」という意味の「沒關係(meiguanxi)」なども、それぞれの文字に元々の備わる声調のとおりで発音します。新しく学ぶ単語であれば問題ないものの、以前に学んだもので軽声だと記憶している単語には、注意が必要になります。

2つ目は、淡水へ自転車で出かけた際に気が付いたことです。まず、前回にも報告しましたように、レンタサイクルの普及が凄まじいです。前回報告したYoubikeの貸し出しだけでなく、サイクリングロードが整備されている場所や観光地では、スポーツバイク、2人乗り、4人乗りの自転車なども貸し出されています。前回は、自転車が通学、通勤、買い物などの場面で利用されていると書きました。今回、家族(多人数)での利用やレジャー目的での利用もあることが分かりました。

3つ目は、先日、南港展覧館(台北南港エキシビションセンター)で開催された台北國際旅展というイベントに訪れた際に気が付いたことです。そのイベントでは、旅行会社、航空会社、行政機関の観光課などが参加し、旅行の販売や観光地のPRを行います。そこで気が付いたのは、圧倒的な日本人気です。基本的に他国は1国につき1ブースなのに対し、日本は都道府県や時には市町村といった単位でそれぞれ1ブースを占めていたのです。旅行展全体の約3分の1のブースが日本に関係しているようでした。我が静岡県のブースもあり、盛り上がっていました。日本や静岡県のどういった点が台湾人(外国人)にとって魅力的なのか、逆に日本や静岡県はどういった点をアピールしているのか。今までとは違う視点から日本や静岡を見る良い機会となりました。

引き続き中国語の力、特に会話力を伸ばし、さらに台湾への理解を深めていきます。

台湾留学報告書 12月 (小柳)

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台湾での授業の「優點和缺點」(良い点と悪い点)

留学開始から2か月以上が経ち、もうすぐ秋学期が終わりという頃です。常葉大学における台湾長期留学は、銘傳大学の華語訓練センターの秋学期(9月末~12月中旬)と冬学期(12月末~3月末)の2学期の間授業を受けることで成立します。今回は、はじめに台湾での授業の流れを説明します。その上で、自分なりに常葉大学の授業と比較し、台湾の授業の良い点と悪い点について書きましょう。

はじめに、1課ごとの授業の流れを説明します。授業は曜日によって多少の差異はあるものの、基本的に1日3時間の授業が月曜日から金曜日まであります。授業の進度は基本的に1課を1週間というペースで進みます。ただし、前回の報告でも書いたように、私のクラスは漢字の読み書きに問題のない学生で構成されているため、1週間に2課分進むこともあります。

授業はテキストに沿って進み、1課ごとに4~6項目の文法と20~30個程度の単語とを学びます。

<1課ごとの授業の流れ>

(0)予習

  • その課の単語と本文に目を通し、わからない部分を確認しておきます。

(1)はじめに単語を学ぶ

  • 単語を一つずつ発音します。
  • 特に難しい単語については、先生がその単語を用い、学生に質問する形で使い方を学習します。
  • その後、2~3人のグループに分かれて単語カードを用い、学習した単語を使って質問文を作り、互いに質問することで定着を図ります。

(2)続いて文法を学ぶ

  • 文法は先生の作製したプリントやスライドに沿って学習します。
  • スライドでは写真やイラストを使い、その文法をどのように使うのか学びます。
  • プリントでは例文と問題がありそれらを用いて学習します。
  • 最後に本文を確認します。教科書を見ずにリスニングをし、先生があらかじめ用意していた本文の内容についての質問に答えます。

以上が、1課ごとの基本的な流れになります。また、2~4課ごとにプレゼンテーションやテストがあります。プレゼンテーションでは指定されたテーマに即し、学んだ文法を使って発表します。テストの内容はリスニングや文法に加え、先生との会話もあります。

ここからは常葉大学の中国語の授業と比較しながら、台湾での授業の良い点と悪い点について書きます。まず良い点についてです。当然のことながら、授業は全て中国語で進みます。わからない単語について先生に質問すると、先生はその単語を中国語で説明します。つまり、英語や日本語を使う機会はほとんどありません。そのおかげで、リスニング能力の向上を実感できます。また同時に、学生は質問も中国語で行うため、学んだ単語や文法をその場で実践できます。ここには、中国語を中国語で学ぶという直接法の持つ大きなメリットがあります。授業が終わって学校の外にでても中国語を練習する場がいくらでもあるというのは、言うまでもありません。また、銘傳大学では会話の授業と文法の授業というように分けられておらず、私はこれを良い点だと感じます。確かに会話と文法を分けた方が混乱せずに学習できるという学生もいるでしょう。しかし、言語を学習することにおいて一番の近道は、実際に書く、話す、つまり実際に使ってみることです。そのため文法にせよ単語にせよ、学習したことをその場で実践でき、使い方が間違っていれば指摘を受けられる環境は、良い点であると考えています。

次に悪い点です。良い点でも書きましたように、授業は全て中国語で行われます。そのため、最初は先生の話すことが全く分からず、モチベーションが落ちたり、不安を感じたりすることもあります。慣れてくれば問題ないことではあるものの、学生によっては悪い点だと感じることもあるでしょう。上述しましたように、私のクラスは漢字の読み書きに問題の無い学生で構成されています。そのため、授業は私にとって適切なペースで進んでいます。しかし、必ずしもそういったクラスに振り分けられるとは限りません。仮に読み書きについても解説するクラスに私が振り分けられた場合、私はきっと授業のペースが遅いと感じるでしょう。新しい文法を学んだり、会話の練習をしたりすることを優先したい私にとって、授業のペースが遅くなることは悪い点と言えます。また、先生は学生の主体性を重視しているように感じます。学生が授業の内容に関係がないことを質問すると、先生は授業を中断してでも質問に丁寧に答えてくれます。当然、実践的な会話の練習にはなっているとはいえ、シラバスに沿って行われる授業に慣れている日本の学生にとっては悪い点と感じることもあるでしょう。

要するに、日本での授業と台湾での授業のどちらが良くて、どちらが悪いとは、一概に言えません。ただ、台湾に来て自分の中国語の能力は一気に上がったように感じます。それは日本で、具体的には常葉大学で2年間勉強したという下地があるからだとも言えるでしょう。私は、ただ留学をしたからと言って言語の能力が飛躍的に上昇するとは考えません。留学前の日本での学習をおろそかにせず、留学後も外国語学習に対するモチベーションを保ち続けることがやはり必要なのです。

台湾留学報告書 1月 (小柳)

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台湾の自転車事情

留学開始から3か月以上が経ち、新学期が始まりました。今学期のクラスは前学期とは違い、日本人と韓国人の学生だけでなく、アメリカ、ベトナム、タイなど様々な国籍の学生で構成されています。そのため、授業中に中国語を話す機会がより増えました。さて、今回は留学の目的の一つであった、台湾の自転車事情について書きます。すなわち、「台湾の自転車を取り巻く環境」、「台湾人の生活と自転車」、「日本人が台湾でサイクリングをするにあたって注意すること」の3点について、日本あるいは静岡県と比較しながら書きましょう。

まず、台湾の自転車を取り巻く環境について書きます。日本、とりわけ静岡県と比較すると、台湾の自転車を取り巻く環境というのは非常に発達しているようです。その証拠に、主要な道路の多くには自転車用のレーンが引かれています。また、ほとんどの川沿いにはサイクリングロードが整備されています。さらに、地下鉄(MRT)の先頭車両と最後車両には、自転車をそのまま持ち込んで乗車できるスペースがあったり、台北駅に隣接するショッピング・モール(新光三越台北駅前店)の屋内にも、自転車利用者への案内掲示があったりします。一見すると、自転車所有者にばかりメリットがあるようにも思えるほどです。

これに対して、台湾はレンタサイクル(自転車貸し出しサービス)もまた非常に発展しています。以前の報告記事でも書きましたように、台北市や新北市等にはYoubikeという公共レンタサイクル・サービスがあり、そのレンタル・ステーションは各所に置かれており、移動手段として非常に便利です。台北市や新北市以外にも、台南にはT-Bike、高雄にはCbikeというように、台湾の主要な都市には基本的に公共のレンタサイクル・サービスがあると言っていいでしょう。公共サービス以外にも、スポーツバイク、2人乗り、4人乗りの自転車などを貸し出すお店がたくさんあります。加えて、台湾を1周することを「環島」といい、それを自転車で行う人のために「環島1号線」という道があり、その案内表示も各所に置かれています。その他、自転車配送サービスや自転車ショップか多くあるなど、台湾には日本や静岡県と比べて発展している点が非常に多いのです。

次に、台湾人の生活と自転車について書きます。上述しましたように、主要な都市では公共のレンタサイクル・サービスが充実しています。新北市や桃園市等では乗り始めの30分以内であれば料金が無料であったり、4時間以内の利用であれば、30分毎に10元であったりというように、価格設定が非常に良心的です。そのため、通学、通勤、買い物、ちょっとした移動などの日常的なシーンでレンタサイクルを使う人が非常に多いのです。台湾人の生活において、レンタサイクルが移動手段として不可欠なものの一つとなっているのは間違いありません。また、休日に川沿いのサイクリングロードにサイクリングへ出かけると、多くの家族連れや友達同士などでサイクリングを楽しんでいる様子をよく目にします。日本人がピクニックやハイキングに行くように、台湾人にとって自転車はレジャー・娯楽としての側面も大きいようです。

最後に、日本人が台湾でサイクリングをするにあたり、注意すべきことについて書きます。ここまで紹介したように、確かに、台湾では自転車を取り巻く環境がかなり発展しています。しかし、日本人にとっては危険な点もいくつかあります。まず、基本的な点として、台湾において車両は右側通行です。左側通行に慣れている日本人には、慣れない環境だと言えるでしょう。また、台湾はスクーターの数が非常に多く、そのためにスクーターとの接触事故も発生する可能性が高くなります。加えて、自転車が車道を走行する場合、自転車は基本的にスクーターの交通ルールに従わなければならなりません。例えば大きな交差点では二段階左折をすることになります。道路標示を見ると多くの場合、停止線を越えたところに長方形の枠が書かれています。自転車やスクーターはその枠内で信号を待つのです。スピードの遅速に基づき、往々にして枠内では進行方向に向かって前方にスクーターが、後方に自転車がそれぞれ待機します。そこで、自転車はさらに後ろから停止のために迫ってくる車に注意する必要があります。また、スクーター専用道路の存在や自転車走行禁止の場所などもあり、日本に比べて台湾の交通ルールは複雑です。私は台湾で何度かサイクリングをしてきました。とりわけ最も注意しなければならないと感じるのは、バスです。台北市や新北市では、非常に多くのバスが走っています。自転車は表示がない限り右車線の最も右側を走ります。バスもまた乗客の乗降車のために、バス停が近づくと歩道に寄って停車します。この際、自転車はバスと歩道に挟まれるようなことがあります。また、バスが停車しているために自転車がバスを追い越して走っていると、後から発進してきたバスに再び追い越され、自転車がバスの直後を走るので、自転車はバスが次のバス停での停車するの邪魔になってしまうことが多々あります。自転車はバスと一定の距離を保ちながら走るというような心掛けが必要でしょう。

今後はさらになぜ日本ではレンタサイクルやサイクリングが普及しないのか。あるいは、盛り上がりに欠けるのか。どうすれば普及するのか、あるいは盛り上がっていくのか。そういった疑問を持ちながら、台湾の自転車事情をさらに深く観察していきます。既に思い当たる答案もいくつかありますので、機会があれば研究成果を発表したいと考えています。

台湾留学報告書 2月 (小柳)

(写真入りのオリジナル記事はこちら → https://www.tokoha-u.ac.jp/blog/flssc-b/20200226b/ )

生活の中で感じる台湾と中国の確執

留学開始からおよそ4ヶ月半が経過し、残りの滞在期間を惜しく感じるようになってきました。前回の報告記事を書いて以降、台湾総統選挙が実施されたり、武漢からコロナウィルスが広がったり、新たな動向があるとともに、私自身においては台湾と他国との関係、とりわけ中国との関係について興味深い発見がいくつかありました。今回は生活の中で興味深いと感じたこと、ニュースの中で興味深いと感じたことの2点について書きましょう。

まず、生活の中で感じたことです。私が現在生活している学生寮の近くに、特に何の変哲もない小さな公園があります。尼加拉瓜公園という名前の公園です。「尼加拉瓜」という中国語は、ニカラグアという国家を意味します。公園内も台湾の一般的な公園と何ら変わりなく、ニカラグア的な要素は全くありません。アジアの国々からすれば、遠く離れている上にさほど認知度の高くないであろう国の名前がなぜ、公園に付けられているのか。一つ思い当たる答えがあり、調べてみると予想通りでした。それは、ニカラグアが中華民国(台湾)と国交を持つ数少ない国の一つであるということです。いわゆる「一つの中国」という国際社会の問題によって、中華人民共和国は、中華民国と国交を持つ国家と国交を結ばないという姿勢をとっています。そのため、世界の国々の中で、中華民国(台湾)と国交を結んでいる国家は非常に少なく、今や15か国です。友好を示すためにニカラグアの名を冠する公園を設けたのです。日本も中華民国(台湾)との正式な国交を結んでいません。そのため、私は今回留学するにあたりビザを「大使館」ではなく、「台北駐日経済文化代表処」という非政府機関で取得しました。

次にニュースの中で感じたことです。2020年1月11日に台湾で中華民国総統選挙が行われました。候補者は3名です。しかし、実質的には現職で民進党籍の蔡英文と国民党籍で高雄市長の韓国兪との2名で争われました。今回の選挙の争点となったのは、中国との関係です。蔡英文は中国の一国二制度を拒否し、中国と対立する立場を採り、韓国兪は中国と友好的な関係を持ち、台湾の経済的な発展を目指そうとする立場を採りました。選挙は香港デモの影響もあり、蔡英文が57%の得票率で圧勝しました。日本人の私からすると、首相や与党が変わったとしても自分の生活に今すぐ変化が生じるということは感じません。しかし、台湾の場合は普段の生活に影響が出るようであり、こうしたことを台湾で生活していて感じました。幸か不幸か、今回は現職であった蔡英文が続投という形になったため、大きな変化はありませんでした。しかし、もし韓国兪が当選していた場合は、私自身にも一つの大きな影響があっただろうと思っています。それは、武漢のコロナウィルスです。蔡英文が前回の選挙で総統になってから、中国からの観光客は減っています。さらに武漢のコロナウィルスがニュースになると、すぐに団体旅行の禁止や入国制限などを蔡英文は決定しています。(この対応の早さは、反中感情によるところもありそうです。)仮に、韓国兪が当選し、中国との関係強化に努めていたり、中国政府に忖度して入国制限などの対応が遅れていたりしたら、私の留学生活に大きく影響が出ていたでしょう。恐怖すら感じます。また、今回の一件で台湾はWHOに加盟できていないということも今さらながら知りました。

私はこういった経験を経て、台湾がいかに危ない状況の中、バランスを保ちながら国際社会で成立しているかということを痛感しました。また、台湾人の選挙への姿勢を知るきっかけにもなりました。今後も台湾の国際関係に注目していきます。

台湾留学報告書 3月 (小柳)

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台湾で長期留学する価値

6ヶ月間の留学生活も残すところ2週間となりました。近頃は、新型コロナウィルスや就職活動が始まったこともあり、慌ただしい日々を送っています。今回の報告記事では、6ヶ月間の留学生活を授業と生活の二つの観点から振り返りましょう。

まず、授業についてです。6ヶ月間の授業によって、自らの中国語能力はかなり上がったように感じます。初めて、授業に出たときは、先生が話していることは一切わからないという状態でした。しかし、現在は先生の話すことはほぼすべて理解できます。もちろん先生は学生の知らない語彙の使用を避けて話をしているものの、話す速度に関しては、台湾人が普段話す速度と変わりありません。また、台湾に来る前は、中国語を話そうとすると、まず頭の中で言いたいことを日本語で考え、語彙を中国語に変換し、文法に照らし合わせるというプロセスがありました。そのために、発言や返答に一定の間が生まれてしまっていました。しかし、今では、授業中の発言や普段の会話において、その間はかなり減ったように思います。比較的簡単な内容であれば、わざわざ日本語に変換する必要がないからです。さらに、難しい内容の会話であっても、直接的ではないにせよ、今までに学んだ語彙や文法を使って説明するという能力が備わってきたように感じます。当初は不安に感じていた繁体字ですが、すっかり慣れて、逆に帰国後、簡体字で学ぶことに不安を感じるほどです。

次に生活についてです。当初は初めての寮生活ということで、不安もありました。しかし、授業が終わった後も中国語を練習する機会があることや、勉強熱心なルームメイトの姿が良いプレッシャーとなり、一人で生活するよりも有意義なものになったと思います。当然、4、5人が同じ部屋で生活するわけですから、時には揉めることもありました。しかし、それすらも自分を成長させる経験となったように感じます。また、寮の外でも台湾の食文化や交通事情、さらに台湾人の国民性などに触れ、旅行で訪れただけでは絶対にわからない、住んでみてことやっとわかるということがたくさんありました。

総じて、今回の台湾留学は私にとって非常に価値のあるものとなりました。中国語に関しては、帰国後もできる限り中国語に触れる機会を作り、継続して学んでいきます。また、台湾での生活や経験などを、報告会等を通じて常葉大学へ還元していく所存です。残りの2週間思い残すことが無いように生活していきたいです。

(2) 杉山瑞貴:2019年度後期、台湾銘伝大学

2019年9月24日-2020年3月23日

( 常葉大学外国語学習支援センターのブログの記事(写真あり)から転載。)


台湾留学報告書 10月

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留学生活の始まりと気づき

台湾に来て3週間ほどが経ち、台湾での生活にも慣れてきました。初めは6ヶ月分のSIMカードの申請や、宿舎の入居手続き、語学学校の入学手続きなどがあり、英語も中国語もわからない私はとても苦労しました。

宿舎はインド人、ベトナム人、小柳さん、私の4人部屋です。私は外国の方と生活するのが初めてであり、とても新鮮です。宿舎の場所は観光客が多い台北市ではなく、新北市にあります。そのため、外に出ると台湾人の日常生活に触れることができます。

クラスは9人の少人数クラスで、日本人と韓国人しかいません。先生がとても笑う人で、いつも先生の笑い声が教室中に響き渡っています。学校まではバスで通っています。バスはたったの15元であり、台湾の公共交通機関の安さにとても驚きました。

また、銘傳大学の学生がマンツーマンで外国人に中国語を教えるという制度があり、私も申請しました。その学生とテレビ通話で話をしたり、直接会って勉強したり、ご飯に連れて行ってもらったりしています。先日は麻辣火鍋の店に連れて行ってくれました。

観光地の台北101にも行ってみました。そこで「我是台灣人,不是中國人」という台湾独立のスローガンを掲げた旗を目にしました。かつて日本では「ソロモン諸島とキリバスが台湾と国交断絶」などというニュースを見ましたが、実際に台湾の街や観光地に出て歩いてみると、例えば台湾独立に関する意欲や意見を実際に見ることができ、とても興味深く思いました。

台湾人はおしゃべりな人が多く、私は一人で外にご飯を食べに行くと、店の人に必ず私がどこの国の人なのかを聞かれます。こうした出会いを大切にして、台湾の人々とたくさんコミュニケーションをとりたいです。どこの国の人なのかを聞かれないように、中国語の学習に励みます。

台湾留学報告書 11月 (杉山)

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台湾で学ぶ観光業

台湾に来てから1ヶ月と3週間ほどが経ちました。寮の生活も慣れ、学校の授業にも慣れてきました。学校の授業では、ほぼ毎週中国語でのプレゼンテーションがあり、少し大変です。しかし、そのおかげで少しずつ話す力がついてきたと思います。先週の授業では実際にカフェへ電話して飲み物を予約しました。実践的なことも授業で経験できます。

11/8〜11/11の期間に開催されている台北国際旅展へ、行ってみました。この旅展(旅行展)は台湾人をターゲットにしたものです。日本人である私が敢えてそこに行ってみることにより、何か得られるものがあると思い、足を運びました。そこには日本各地や台湾各地、韓国、ロシア、マレーシア、ハワイなどといった世界各地の観光地が紹介されていました。

そこで一番驚いたのが、意外にも日本の中で静岡県のコーナーのあったことです。イベントでも紹介され、「ジンガンシエン!(静岡県)」という声が響き渡ったりしていました。そのイベントに参加してみると、クイズがあり、台湾人の多くが伊豆半島や河津など静岡県について知っているようで、私はとても驚きました。つまり、静岡県は今、インバウンドにとても力を入れているということです。私自身も観光業に興味があるので、このことを知ったのは大きな収穫でした。

週末には淡水という観光地に行ってきました。淡水は綺麗な夕日や海、グルメが有名な観光地です。たくさんの店が連なっています。他にも龍山寺や朝市、さらにはLGBTフェア時の西門にも行ってきました。観光地を観察すると学ぶことがたくさんあります。

また、ある時バスの中で話しかけてきた男性と仲良くなりました。その男性はもともと観光業に従事していたようです。その人から色々な話を聞き、今後の自分の人生に活かしたいとも考えています。

引き続き、観光からも学び、中国語も上達できるように励みます。

台湾留学報告書 12月 (杉山)

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意外なところでやりたいことを見つけた

台湾に来てから3ヶ月が経とうとしています。特に直近の1ヶ月間は様々なことがあり、あっという間に過ぎました。

私は旅行が好きであり、この1ヶ月の間に台中と花蓮へ旅行に行きました。私は最近まで、将来は観光業に就きたいと思っていたため、観光業が盛んな台湾で、台湾の観光業について学んだり、実際に自分が観光してみたりしてきました。同時に、観光業に従事するという自分の将来像に対し、いつも何かしらの物足りなさを感じていました。

しかしある日、一人の日本語を話すことのできる台湾人の方と知り合いになります。その人と、働くということについて話す機会があり、その人の考え方に共感しました。すると、彼は私を自身の会社の会議に招きます。会議は全て中国語であり、私は半分くらいしか内容を理解できませんでした。しかし、台湾の人々と意見を交換することもできました。

彼の仕事はネットワークビジネスでした。私はネットワークビジネスには興味が湧かなかったものの、その会議中に流れていた映像になぜか心が惹かれました。言葉はわからないのに伝わるものがあり、映像の力を感じました。自分で動画を撮って制作することができれば、映像を通して様々なことを世間に伝えることができます。さらに、以前からやりたかった観光業にも携わることができ、旅行の素晴らしさを伝えることができます。例えば、日本の良いところと、台湾の良いところを伝えることもできるのです。会社の会議に参加したことがきっかけになり、自分がやりたいことを見つけたのです。まさか台湾で会社の会議を見学するとは思わなかったので、とても貴重な経験となりました。

このたびの経験を通して、多くの人と触れ合って会話することの大切さを学びました。様々な世代の人と話すと、自分が知らなかったことを知ることができます。引き続き中国語の勉強や動画制作の勉強に取り組み、自分の知らない知識を得ることに励みます。そして、いつか台湾の魅力をまとめた動画を作り、機会があったら披露したいと願っています。

台湾留学報告書 1月 (杉山)

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台湾とフィリピンの違い

台湾来てもう少しで4ヶ月になります。新しい学期が始まり、ルームメイトやクラスメイトが変わるなど、少し環境に変化はありました。充実した留学生活を送っています。先日は、フィリピンへ旅行に行きました。そこで、フィリピンに行って気づいた台湾とフィリピンの違いについて、話題を4点に分けて報告します。

1つ目は、宗教の違いです。台湾では街中に多くの寺廟が見られ、多くの人がそこに行き、お祈りをしています。対して、フィリピンでは多くの人がキリスト教を信仰しており、街には多くのカトリック教会が見られます。フィリピンはかつてスペインが300年余り統治しており(1571年-1898年)、その文化が影響していることも実際に感じました。

2つ目は、チップの文化です。私にとってチップの文化は初めての体験でした。台湾にはチップの文化はありません。フィリピンにおいてチップは、食事した時、タクシーに乗った時、ガイドをしてもらった時、ホテルに泊まった時に渡します。感謝の気持ちを伝える方法としては良い方法だと思いました。しかし、初めてチップを体験した私は、実のところ少し面倒臭い文化だと感じました。

フィリピンのお札には、20、50、100、200、500、1000ペソ札があります。ATMでお金を引き出すと、1000ペソ札で出てくることがほとんどです。フィリピンにはお店がお釣りのための少額紙幣を準備しておく習慣がないようで、店先でよくお釣りがないと言われ、私は小額紙幣を頻繁に使ってしまいます。すると、私の手元には1000ペソ札だけが残るのです。しかし、チップの金額は、大体20〜50ペソが相場です。少額紙幣がないから、チップのために友達に借りることすらあります。

3つ目は、観光客の移動手段の違いです。台湾では、観光客の移動手段はタクシー、地下鉄、新幹線、列車、バスなどが主流です。フィリピン、とりわけ観光地のセブ島ではトライシクル、タクシー、ジプニー、バスが主流です。そもそもセブ島やボホール島のタクシーは、大体がメーターを使わないので、観光客は結構なお金を取られてしまいます。そこで、私たちはUberに似たGrab ( https://www.grab.com/sg/ ) というアプリを使い、一般人が経営しているタクシーを呼んで移動しました。このアプリを使うと距離に基づき価格が決まるので、とても安全にかつ節約して目的地へたどり着けます。

4つ目は食文化の違いです。フィリピンの食文化は、東南アジアの様々な国の料理が混在しています。さらにスペインやアメリカや中国などの料理も融合しています。肉料理、海鮮料理、チャーハンなどが主な食べ物です。また、セブ島では、多くの韓国料理店が進出していました。台湾もまた様々な国の店が並んでいるものの、韓国料理店はフィリピンに圧倒的に多く感じました。韓国にとってフィリピンは物価が安く、ビザが取りやすいため、韓国人観光客がかなり多く、韓国料理店も増えたのでしょう。

以上を踏まえ、この旅行を通しては分かったのは、二つの地域は歴史的背景により、異なる文化が形成され、人々は異なる生活を送るということです。つまり、ある国家の文化を知るためには、歴史的背景を知ることが重要になります。外国人とコミュニケーションを取る際、歴史的背景を知っていると外国人と深く話すことができるのだと、フィリピンを経由して台湾で暮らしながら感じました。

台湾留学報告書 2月 (杉山)

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台湾と日本の新年の違い

留学生活も残り1ヶ月半となりました。台湾人や他の留学生とも中国語で会話できるようになり、ますます留学生活を楽しく過ごしています。しかし、残り少ない留学生活に少し焦りも感じ始めました。ちょうど2020年1月25日に旧正月を台湾で迎えました。この風習は現在の日本ではほとんど経験できません。そこで今回は、台湾の旧正月について報告します。

台湾では、いわゆる新年が2回あります。それは、1月1日と1月末から2月の初旬にかけてです。1月末から2月初旬にかけての新年を、旧正月あるいは春節と言います。この春節は太陰暦における正月であり、華人が長年続けている伝統です。

春節の時期に、人々は何をするのか。まずは年越しをする前に、大掃除や年越し用品を買います。年越しの数日前になると、台北では迪化街という場所に行くと多くの人で賑わっています。ここでは食べ物や飾り物などがたくさん売っており、台北に住む人々はそれを目当てに集まります。私も実際に行ってみたところ、人の多さにびっくりしました。そして、多くの人は春節の時期に家族と過ごすため、街は閑散とした雰囲気になります。春節の時期は商店がほとんど閉まってしまうので、春節には近くのスーパーに人が殺到します。私たち常葉大学からの留学生はそれを知らなかったため、春節に営業中の商店を探すのに苦労しました。また、最も有名なのは、爆竹、花火です。春節には色々な場所で爆竹や花火を鳴らします。言い伝えによると、昔、「年」という名前の鬼がいて、人間を喰うために旧正月に村々をかき乱していた。人々は、その鬼が鞭を打つ音に弱いということを知り、わざと騒音を立てて鬼を村から追い出すようにした。これが爆竹を鳴らす由来なのだそうです。

私は台湾で春節を経験したことにより、華人の文化に深く触れることができました。我々と違う文化に触れることで、彼らの考え方を理解することへ近づけるでしょう。留学生活も残り少なくなり、就活活動の準備も始めました。これまでより生活が忙しくなってきました。充実した留学生活が送れるようにがんばります。

台湾留学報告書 3月 (杉山)

(写真入りのオリジナル記事はこちら → https://www.tokoha-u.ac.jp/blog/flssc-b/20200324/ )

台湾のコロナウイルス対策


とうとう留学生活最後の報告書となりました。今、世界でコロナウイルスが騒がれています。台湾はコロナウイルス対策の先導を切り、数々の強力な防疫対策を実施してきました。そこで今回は、台湾で生活して気づいたコロナウイルス対策について、4つの場面から紹介しましょう。

1. 学校の休校

コロナウイルスの感染が広がり始めると、政府から学校の休校を命じられ、台湾の学校が休校になりました。私が通っている語学学校は休校にならなかったものの、マスクを着用しての授業参加が求められました。

2. マスク事情

どの国でも発生したように、2月初めには国民によるマスクの買い占めが始まり、マスクの購入が困難となりました。しかし、政府の政策によってマスクの購入が実名制となり、購入は7日間に1人あたり2枚までと規定されました。近くの薬局で購入できるとはいえ、とても長い行列に並ぶ必要があります。また、台湾人は予防意識が非常に高く、公共の場ではほとんどの人がマスクをしています。逆にマスクをつけていないと、奇異な目で見られることもあります。私もバスでマスクを着用していない時に、運転手や他の乗客に注意されたことがあります。

3. 体温計とアルコール消毒

百貨店や学校などの建物の中に入るには、体温測定とアルコール消毒が必要です。入口には警備員が立っており、体温測定をしなければ中には入れません。宿舎では、毎日体温を測るように求められています。

4. 隔離生活

この3月から多くの学生が韓国からやってきます。韓国では新学期が3月から始まるためです。感染症危険度レベルが高い韓国から来た学生は、中華民国政府の指示により、隔離施設で14日間を過ごし、ウイルスへの感染がない場合、ようやく学校の寮に住めて学校にも行けます。隔離生活全般、つまり隔離施設の用意、空港から隔離施設への送迎、食事の運搬を、学校が対応するそうです。

台湾がここまで感染者を抑えることができたのは、政府の対応のおかげであり、それ以上に国民の意識の高さのおかげでしょう。コロナウイルスの蔓延をきっかけに貴重な体験をしています。振り返ると、この6ヶ月間にとても充実した留学生活を送ることができました。この経験を帰国後の生活に活かしていきます。