パラシュートへの誤解その13-1

回転翼機のモーター&プロペラが通常運転で駆動していても失速・墜落は発生する 

PJ

緊急パラシュートの説明をするにあたり航空機翼の流体論、失速原因に触れると怪訝そうな表情をされることがあります。
それはパラシュートの知識を学ぶ意志はあっても、時系列的にそれを必要とするのは墜落危機が現実のものとして発生した後からのことなのに航空機の理論は余談ではないのか!?という誤った固定観念を持たれているからに起因します。

プロペラが回転しなくなった時以外の墜落発生は無いと盲信されてしまっているとそういう誤解も出てきそうですが、実際は回転翼機、固定翼機ともにモーター&プロペラが通常運転していても墜落危機は起こりえます。
翼の流体論の知識を得ないままにドローン事業を行うと大きな代償を支払うことになります。

それを知識として身に付けることが墜落を未然に防ぎ、パラシュートの駆動に至らせないための重要な安全体制と言えます。
パラシュートの知識のなかで最も重要なことは 「パラシュートを必要とする事態になる前の微細な予兆を捉えて対処し、事前回避すること」に尽きます。

日本ハング&パラグライディング連盟ではパラグライダーとモーターを動力プロペラ付きのモーターパラグライダーの愛好者が約6000名登録されています。
翼部分は同じパラグライダーでありながら2022年度の事故統計では会員中1/10の人数に満たない500名前後のモーターパラグライダーでの死亡事故がパラグライダーの死亡事故と同じ件数です。
つまりに人数比率で比較すると動力付きのほうの死亡事故がパラグライダーの10倍もあります。
しかもその原因の中にエンジン&プロペラが故障したことに起因するものは1件も存在しません。

それがどういうことを意味するのか単的に説明することは難しいですが、プロペラさえ回り続けていれば事故は発生しないという理論は崩れるということです。

13-2へ続く