これは私の一週間の模型製作スケジュールです。(黄色が模型製作、青が写真撮影)普通のサラリーマンですから平日はほとんど模型なんて作れません。帰宅すればもう目が限界ですし…。ポイントは朝一番、30分でもいいから作業をすることです。模型工作は接着やパテ盛りなど、しっかり乾燥させておく時間が必要で、こいった工作を毎日少しずつこなしておきます。細かいデカール張り込みやマスキングなどを少しずつこなしておくのも良いでしょう。そして週末にまとめて塗装などを行います。これなら複数のキットや同じ色の機体など平行して多くのキットを完成に持ち込めます。趣味とはいえ、生産管理は重要ですよ。また、わたしの場合、画像が最終的な作品ですから、模型完成は作品作りの最初のステップなんです。そんな気持ちが模型完成を促しているとも言えますね。
もちろん、万事このスケジュール通りにはいきません。深残日もあれば、早朝から重要会議の準備もあったりもします。週末も家族の行事や、ただひたすら寝ていたい週末もあります。肝心の写真撮影も週末に天気が悪ければパーになります。まあ、そこは趣味ですから気楽にやってます。週末に出先できれいな夕焼けに出会ったりすると、早く帰って写真を撮りたい気持ちになったりしますね。黙ってますけど。
ある日の週末の光景です。練習機ばかり一気に作ってますね。このように同じテーマの機体を比較しつつ製作するのも楽しいですよ。また、同じ色の機体ばかり一度に塗装することもありますし、パテの整形ばかりする週末もあります。スケジュール管理というかプラモデルの生産管理をしながら、週末に向けて毎朝少しずつ作業をこなします。多いときは月に5機以上、年に80個ぐらいのキットを完成させた年もあります。
私の模型はその目的が写真に撮る事である為、いくつか特徴があります。経験的に写真映りが良いと思われる塗装仕上がりと、それに極力写真に写らない部分の工作は避けるということですね。工作ではキャノピー周辺と機首回りに重点を置きます。これは写真に写った場合の視点の中心であり、その模型の主役であるためです、反対に下面側、尾翼に時間のかかる工作を施しても、ほとんど映ることはなく、逆に作品として視点をぼやかしてしまう事になると思います。これは塗装においても同様で、視点の集まる部分には、より微妙な表現を盛り込み、周辺に行くに従って表現を抑えていきます。これらは一枚の絵画を描くことと同じで、画面のすべてに同じような表現をのせていくと、どこを見ていいかわからず、視点が定まりません。私の作品の場合、空気感が伝わらないのです。完成しても汚し塗装ばかりが目立つ場合も同じ理由で失敗です。例えば一つの模型に100の手間がかかるとすると、その7割をあるエリアに集中させ、残りの30%を全体のバランスを取るために使います。満遍なく手間をかけると、模型全体としてはせっかくの作業が薄まってしまい、魅力が薄まってしまいます。例えばコクピット内部はガラス越しにまず見えることはほとんどありませんし、翼下面はほとんどの場合日陰です。これらは最も目立つ機首からコックピット、尾翼にかけてのラインや光の映り込みを引き立てるための脇役に徹してもらわなければなりません。表現したい部位により、それぞれ役目があるのです。
ただし、もれなく翼の後端は徹底的に薄く作ります。極力合わせ面を削り込みますが、それが出来ない場合はどんなに綺麗で精密なモールドが施されていても表面は削ってしまいます。場合によっては後端部をカットし、プラ板で作り直します。ここに不要な厚みがあると、いかにも模型を写真に撮りました、みたいな仕上がりになってしまうんです。クリアパーツも重要で、厚みがありすぎると大きく実感を損ねてしまいます。その場合作り直すこともありますね。またその胴体との接合部(実機では開閉/可動部)の精度感もとても重要です。わたしは購入したキットの最初に確認するのがこのクリアパーツで、場合によりキットの組み立て工程を考えなければなりません。
プロペラ機の場合、写真撮影のためには回転可動の工作は欠かせません。目標はため息でも回るくらいにしておきます。こうすれば、屋外の撮影では自然の風でも勝手に回りますし、扇風機を使うこともあります。ジェット機と違い、簡単に写真に動きが出て躍動感のある写真になります。
こちらは5年以上前のプロペラ回転軸の工作。ゴツいし工作も大げさ。
図は最近の回転軸の工作。(写真はタミヤの1:72飛燕)軸に使うのは0.5ミリのステンレス線と真鍮パイプです。軸の固定には固着するまで時間のかかるエポキシ系の粘土状のパテを使います。0.5ミリのステンレス線は表面が滑らかなのと、強度が高いこと、直径が0.5ミリと細いのは極力軸の表面積を減らして、回転の抵抗を抑えるためです。そして接着にエポキシ粘土パテを使うのは組んだ後の調整をするため。やはりどうしても軸と軸受けは回転面に対して垂直と中心を一発で出すのは難しく、どうしても滑らかに回りません。そこで一度完全に組んだあと微調整が必要になります。瞬間接着剤だとこの調整が出来ませんし、緩い接着剤だと調整が維持できないで固着してしまうことがあります。特にこの写真のように胴体とプロペラスピナーの合わせ面が大きい場合、入念な合わせ作業が必要になります。(でもタミヤの様な精度の高い製品の場合、大抵はピタっと決まりますよ)仕上げにグラファイト系の潤滑剤を合わせ面や軸に塗布します。これ、ただの鉛筆の芯の粉です。良く回ります。
この図は基本構造で、キットにより工作は変わります。特に胴体側は胴体接着前にこれを組み込むのは難しく、プラ板に一度この構造を作ってから差し込んだり、胴体合わせ後に機首を切断したりします。液冷エンジンのプラモデルのプロペラをきれいに回すのは意外と難しいですね。空冷はキットのエンジンが別構造で後から組み込みやすく、スピナーと本体に十分なクリアランスがあるのでとても簡単。試してみてください。
ちなみに4発機などは同時に回って見えることが難しい場合があるので、モーターを組み込んだこともあります。まあ最初はうまく行ったんですがそのうち撮影のため吊るしていた糸に絡まったり、撮影中プロペラに触ってしまったり、もうすぐ壊れてしまいました。(作品でB-29の写真が少ないのはそのため)プラスチックのプロペラは細いですからね…。今は多発機の場合でもよく回るように工作するだけに止めて、あとはいい風を待つことにしてます。それで十分。あっ工場用扇風機も持ってます。ホームセンターですごく安い!強力ですが…すごくうるさいです。
古いキットの場合、キャノピー部品の出来には困る事が多々あります。私の場合は塩ビ板からのバキュームでそれに対処します。東急ハンズで手に入れた掃除機の口に装着する細かい穴の開いた箱を使ってます。型を作って箱の上に置き、コンロで熱した塩ビ板を載せます。型は必要な大きさより下方に延長して、整形後カットで調整します。そうしないと切り出した端末に不要な丸みがついてしまいます。型の素材は写真は人工木材ですが、パテの塊でも積層プラ板でも構いません。瞬間接着剤で仕上げるのもいいですね。出来るだけムクの素材でつるつるに仕上げて下さい。厚塗りのサフェーサーや塗料で表面を仕上げてはいけません。熱で溶けます…。ああ、良く乾かしたはずなのに。
このフォッカーD,21キットはクリアパーツの黄ばみとくすみがひどかった… 。私の道具ではバキュームによる整形はコツを掴むのが難しく、(コツがあるのかもわからない)成功率は3割ぐらい。はじめから10個ぐらい作るつもりで準備します。
キャノピーついでに…模型飛行機、特に古い時代のキャノピーの工作で大変なのが窓枠をどうするかだと思います。私の場合地道にマスキングするか、一番多いのが、薄いシートを使うというのがあります。ハセガワトライツールのジュラルミンフィニッシュに機体と同じ塗装を施し、細く切って使います。このシート、金属蒸着が施されているので光の隠匿性が高く、屋外の撮影でも透けて見えることはありません。(塗装は少し透ける場合がある) 難点は枠同士の隅角にアールが付いている場合は再現が難しいことと,接着面は糊の下がピカピカの蒸着面なのでキャノピーに貼ると内側からははメッキみたいに見えます。しかし光をほとんど透過しないので、屋外では真っ黒に見え、撮影で問題になったことはありません。なによりシャープで細いラインは塗装には真似が出来ません。
先日電動工具を買ったので紹介します。
プロクソンのディスクサンダー。これで翼の後端を薄くするのにカッターでキィーキィー言わせなくて済むようになりました。縦横30センチ強ぐらいでとても小型、机のサイドに置けますよ。プラスチックにはやや強力すぎかも知れませんね。余計なところも削ってしまいます。長さを揃えたい時やとにかく平面を作りたい時など、単純な仕事向きですね。
うちの猫がまだ子猫の頃の写真。猫の横にあるのが、こちらもプロクソンのリューター。削り、穴あけ、磨きとあらゆる場面で役に立ちます。私はこれがないと模型は作れません。
私の電動工具はこれにエアブラシがあるだけ。ディスクサンダーはほとんど使ってないので、このリューターがほとんどすべてです。
さて工作が終われば塗装です。私の場合、工作の最後にサフェーサーを使います。これはプラスチックとパテ、瞬着など異素材が表面に混在する場合は必須ですね、またヤスリ/粗いペーパーのキズ埋めの意味もあります。反対に良キットの場合、表面は荒れてませんからサフェーサーは使わず、そのまま塗装に入ります。とにかく塗装は薄い方が仕上げが綺麗だと思いますし、塗膜の厚い作品はどうしても写真映りが悪いのです。厚い塗膜はその印象が写真に写りこんでしまい、スケール感が出ません。「模型を写真に撮った」感じになってしまうのです。そんなわけで私の塗装はかなり薄いです。気にならなければプラスチックの地色が透けて見えていることもあります。
さて、現在の所、私がよく行う塗装のプロセスを紹介します。イメージはP-51ですが、シルバー塗装のプロセスではありません。一般的なソリッドカラーのプロセスなのでそのそのつもりで見てください。
さあ、塗装のスタートです。
まず、エアブラシでの大まかな立体感の強調させるため、側面、下面に薄くブラックを吹きます。
次にパネルラインを強調させるためやはりブラックで描き込みます。前の工程と合わせて真っ黒にならないように気を付けて下さい。
これでブラックの塗装は終わりです。塗料は艶消し塗料は使わない方がよいでしょう。粒子が粗く、後から重ねる色が影響を受けいつまでも跡が残ってしまいます。そのため艶あり塗料を、それもかなり薄く溶いた塗料を使います。ここまでの作業時間は1:72キットで5分~10分、やりすぎないように。
今度はホワイトで立体感の強調させます。黒で行った作業を塗りつぶさないように。
つぎに各パネルラインを目立させるためにパネルごとの中心から周囲に目掛けて白を吹きます。これで下地塗装は終了です。
最後に機体塗装色を施します。ここまでの作業をすべて塗りつぶさない様、慎重に重ねていきます。
その他の塗り分け、汚しも加えて完成です。この塗装法は墨入れは必要ないと思います。
とにかく一つ一つの工程を6割程度で終わらせて、次の工程と合わせて相乗効果を生むように作業を進めるのがコツです。やりすぎないで!