組織の不安を払拭し、テキスト生成AIの安全で効果的なビジネス活用を導く「導入・運用ガイドライン」
本ガイドラインは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)産業サイバーセキュリティセンターの中核人材育成プログラム(第7期生)によって、2024年7月に策定されたものです。
急速に普及が進む生成AIは、企業の生産性向上や市場競争力の維持に不可欠なツールとなりつつあります。しかし、その一方で多くの組織が「漠然とした不安感」を抱き、導入に踏み切れない、あるいは運用に懸念を持っているのが実情です。
本書は、組織の担当者が抱くこれらの不安を払拭し、安全で効果的なテキスト生成AIの導入と運用を促進することを目的として作成されました。
1. 本ガイドラインの特徴
既存の汎用的なAIフレームワーク(NIST AI RMFやISO/IEC 42001など)とは異なり、本書は「テキスト生成AI」および「セキュリティリスク」に特化している点が大きな特徴です。特に、近年ビジネス利用が拡大しているRAG(検索拡張生成)に伴う特有のリスクと対策**についても詳しく解説しています。
2. 対象となる読者
組織において、生成AIの導入・運用・管理を主導する以下の担当者を想定しています。
導入担当者:構想策定、要件定義、システム構築を牽引する方。
運用担当者:ガイドライン策定やユーザ教育、継続的な評価を担う方。
セキュリティ担当者:リスクアセスメントの実施や多層防御の構築を行う方。
3. 本書が提供する主要なコンテンツ
本書は、単なる知識の提供に留まらず、実務に即した具体的なプロセスを提示しています。
PDCAサイクルによる導入プロセス:スモールスタートを意識した「構想策定」から「改善」までの6つのフェーズを定義しています。
実践的なリスク管理:インシデント事例の紹介、OWASP Top 10 for LLMに基づいたリスク特定、および多層防御(入口・内部・出口対策)の考え方を詳述しています。
組織ヒアリングに基づく実態分析:日本国内の企業へのヒアリングを通じ、実際に直面している課題や解決策を公開しています。
国内外の動向と法規制:米国、欧州、日本の最新の法規制や開発動向を整理し、将来的な展望をまとめています。
4. 活用のメリット
本書を活用することで、組織は「何が危険で、どう対策すべきか」を具体的に定義できるようになります。これにより、ユーザが生成AIを「単なる道具」として鵜呑みにするのではなく、批判的な検証を行いながら正しく使いこなす文化(AI活用文化)を醸成することが可能となります。
生成AIの導入は、一度構築して終わりの「箱作り」ではありません。「新しい土地を開拓し、インフラを整備しながら住民を教育していく街づくり」のようなプロセスです。本書は、その街が安全で豊かに発展し続けるための「設計図」および「防犯マニュアル」として、皆様の組織を強力にバックアップします。