第8回入選作品

応募総数23,858首の中から選ばれた入選作品をここに発表します。たくさんのご応募ありがとうございました。

学校全体で「現代学生百人一首」に取り組まれ、多数の優れた応募作品がある学校に贈呈します「学校特別賞」は下記の5校に決定いたしました。

・北海道   函館ラ・サール高等学校

・神奈川県 東横学園大倉山高等学校

・埼玉県   県立坂戸西高等学校

・神奈川県 神奈川大学附属高等学校

・大分県    県立中津南高等学校


▼入選作品(作品は都道府県別に北から並んでいます。学校名・学年・作者は発表時の情報です。)

ノーベル賞いつもは無縁の母の手に厚い大江の本がありけり

北海道 函館ラ・サール高等学校 2年

藤崎 友裕


太陽が照りつける中トラクターに乗って父さん牧草を刈る

北海道 北海道稚内高等学校 1年

尾森 早苗


父さんの留守の間はレジを打ち一日僕が店長となる

北海道 稚内市立抜海中学校 3年

荒川 聡浩


牛追いを終えると一頭足りなくて暗い牧場で探し続けた

北海道 稚内市立抜海中学校 1年

尾森 尚貴


少しずつあなたとの壁こわれてくもうすぐ全部こわしてみせる

北海道 北海道女子短期大学 1年

樋口 牧子


秋空にイカ干し作りのカーテンが潮風に揺れ香り漂う

青森県 光星学院高等学校 3年

鈴木 玲奈


就職の願い叶わず霜柱ザクザクと荒く踏みつぶし行く

青森県 光星学院高等学校 3年

本夛 晃士


二年目についに手にしたユニホーム重みを感じ新たにスタート

岩手県 盛岡女子高等学校 2年

小川 美和


パソコンのマウスずらして動かして押して選んだ紅葉の色

宮城県 県立西多賀養護学校高等部 1年

赤間 政志


放課後の見まわり終えて鍵盤を叩けばシ♭(フラツト)廊下を伝う

山形県 県立鶴岡南高等学校通信制 3年

奥山 いほこ


背骨伸ばす手術に勝てよ頑張れよあとの仕事は私がやるわ

山形県 県立ゆきわり養護学校高等部 3年

南 亜希子


実験の解剖終えて寝ころべる下宿の窓に燃ゆる夕焼け

群馬県 群馬大学 4年

竹内 一郎


厳しかった部活動を引退し母さんまでも気が抜けている

埼玉県 県立浦和東高等学校 3年

中山 貴晴


やさしいねいつも言われてうれしいが本当はそんな性格じゃない

埼玉県 県立越生高等学校 1年

金子 由香利


ワープロに向かえば不思議と湧く勇気君に言えない言葉も打てる

埼玉県 県立坂戸高等学校 3年

嵜山 浩代


部活動続けてよかった三年間敵には負けたが自分に勝った

埼玉県 県立坂戸西高等学校 3年

金原 裕樹


話すこと見つからなくて探してるラジオの曲が間(ま)をつなげてる

埼玉県 県立玉川工業高等学校 3年

新井 優俊


川原の秋の真昼の明るさに輝く羽は白さぎの群

埼玉県 県立玉川工業高等学校 3年

山上 修一


自転車を磨くたんびに思ひ出す今亡き祖父の元気な顔を

埼玉県 県立与野高等学校 1年

中澤 里美


家々が土砂に埋まっている姿この世と思えぬ島原の街

埼玉県 県立寄居高等学校 2年

楳沢 力


くずおれて母さん探すわめき声聞こえてきそう原爆写真

埼玉県 県立寄居高等学校 2年

中沢 亜紀


大きめのブレザーを着たこの姿見せたかったが母はもういぬ

埼玉県 県立寄居高等学校 1年

中沢 尚也


父はまだ若い若いと言うけれど祖父に似てくる髪のはえぎわ

埼玉県 県立和光高等学校 1年

伊藤 まり子


デジタルな僕の気持ちを一瞬でアナログ処理する素直な瞳

千葉県 県立佐原高等学校 2年

池田 浩和


いつもより重いふとんのぬくもりに母のまごころ伝わる初冬

千葉県 県立佐原高等学校 2年

土屋 諭子


マニュアルのままの社会を抜け出せず自分の夢を探せずにいる

千葉県 県立佐原高等学校 2年

西山 徹


どくどくと脈打つ試験の緊張感支えきれるかシャーペンの芯

千葉県 県立千葉大宮高等学校 2年

斉藤 陽克


熟るる実は風にゆられてさながらに落ちんばかりぞ庭の柿の木

千葉県 県立成田北高等学校 1年

平山 裕美


立待の果てまで続く空と海潮風は僕を鉄幹にする

千葉県 県立成田国際高等学校 2年

竹詰 祥則


解放感焦りへバトンタッチする風邪で休んで今日は四日目

千葉県 千葉市立花見川第二中学校 2年

斉藤 喬享


山頂の下に広がる雲海を赤く染めゆく朝のおとずれ

東京都 暁星高等学校 2年

助村 隼也


受験時を一緒に過ごしたこのペンは使えなくてもふでばこの中

東京都 聖徳学園高等学校 1年

尾崎 聖龍


「待ってました!」「待っていたとはありがてえ」孝夫復帰の初春歌舞伎

東京都 星美学園高等学校 2年

石田 桐子


ものいわず彼はあなたのとりこだわサッカーボールが私のライバル

東京都 東京農業大学第一高等学校 3年

小西 華子


天と地を分ける一線ひかり満ちかもめのゆれる港を歩く

東京都 東京農業大学第一高等学校 2年

松田 恵造


箱根路でたった二段の階段が邪魔をしている車椅子の旅

東京都 都立村山養護学校高等部 2年

藤田 勝秋


一葉も通える安藤坂に立ち夕陽仰げば新宿ビル群

東京都 明治学院高等学校 3年

木村 美春


渇水のダムは地肌を現して今よみがえる廃村の跡

東京都 明星高等学校 3年

阿部川 修


国の為家族の為に散れる祖父遺骨は遥か比島に眠る

東京都 明星高等学校 3年

淡島 将


夏殷周秦漢魏呉蜀晋隋唐宋元明清中国王朝

東京都 明星高等学校 2年

細井 信吾


敵、味方、すべてを包む魂を持って接するマンデラ議長

東京都 目白学園高等学校 3年

恵下 朋


力つき死んでゆく子にルワンダの夕日大きく心が痛む

東京都 京北中学校 1年

藤野 礼


夏の夜に豊作祈りみなで持つ稲穂のようにゆれる竿灯

東京都 京北中学校 1年

山上 俊樹


将来は、目的は、など聞かれてもまだまだわからぬ中学二年

東京都 玉川聖学院中学校 2年

三浦 由美


友達に報告したいでもできない一足先にもらった内定

東京都 昭和女子大学短期大学 2年

小野寺 由美子


もう少し話していたくて2枚目のカード差し込む公衆電話

東京都 白梅学園短期大学 1年

松井 紫乃


ふるさとの名まえを見つけた段ボール八百屋のまえですこしほほえむ

東京都 東京大学 3年

樋渡 光憲


「来年は回復するよ」と言われつつ厳しさ増しゆく就職戦線

東京都 東洋大学 3年

枝村 至子


東京でもう半年になるけれどつい見てしまう岩手の天気

東京都 東洋大学 1年

碇川 奈々


夏の日の不意の雷雨に流されて約束いつか思い出となる

神奈川県 神奈川大学附属高等学校 2年

墨 あつ子


すれ違うたびに瞳をそらすけどそれじゃ魔法がかけられないわ

神奈川県 神奈川大学附属高等学校 2年

高井 絵美


自信持ち自ら選んだ道なのに思いたゆたう採用通知

神奈川県 高木学園女子高等学校 3年

堀江 紀子


気がつけば胸の位置まで伸びている生き急ぎゆく夏のひまわり

神奈川県 東横学園大倉山高等学校 3年

長島 愛


西日射す籔の中から蝉しぐれ今年限りの夏を生き抜く

神奈川県 東横学園大倉山高等学校 2年

佐藤 溶子


母が泣き父まで泣いたあの日から祖母の話はみんな過去形

新潟県 県立五泉高等学校 2年

梅田 峰子


手をつなぐ前の二人を追い越せずふてくされ顔ガラスに映る

新潟県 県立五泉高等学校 2年

吉井 典子


雲間より漏るる夕陽に際立ちぬ越後平野の樹々の紅葉

新潟県 県立六日町高等学校 2年

山田 愛歌


風に乗る翼は天を滑りゆく紅葉(もみじ)の森に姿映して

山梨県 日本航空高等学校 3年

佐藤 博英


窓ガラスに映る自分と目が合って孤独な夜のコーヒーを飲む

石川県 金沢女子大学附属金沢東高等学校 3年

石田 ルミ


内野家の四ケ月経た王子さまわが制服にミルクを吐きぬ

石川県 金沢女子大学附属金沢東高等学校 3年

内野 奈緒子


事故死せる友と遊んだ公園の噴水高く空を押し上ぐ

石川県 金沢女子大学附属金沢東高等学校 3年

松田 有紀


宇宙までいけるメダカがうらやましシャトルにのって宇宙(そら)の実験

静岡県 誠心高等学校 1年

森 里美


体育の集団の中にいる君を〇・一の眼が探してる

静岡県 県立浜松北高等学校 3年

岸野 友紀


山深き祖父母の家に足運びなぜか落ちつく薪で炊く風呂

静岡県 県立藤枝西高等学校 2年

岡田 清花


英雄はコースを駆けて人生も駆けぬけていった音速の男

愛知県 同朋高等学校 3年

杉山 俊也


金色のいちょうの木(こ)の葉手いっぱいかかえて空に舞い散らしたり

愛知県 光ヶ丘女子高等学校 2年

高木 麻里


妹がむくとウサギになるりんご弁当箱で跳びはねている

愛知県 光ヶ丘女子高等学校 1年

奥谷 恵


ぐつぐつと人参じゃがいも踊ってる鍋もお釜も夕焼けの中

愛知県 安城市立安城西中学校 1年

二宮 良子


野宿してついに拝んだ御来光マイナス二度の夏の乗鞍

愛知県 鈴鹿工業高等専門学校 2年

佐藤 久美子


十六の力の無さを感じつつ大人の言葉批判している

三重県 県立石薬師高等学校 1年

北川 晴久


武者振いする緊張を足裏にぐいと押さえて試合に臨む

京都府 南京都高等学校 3年

喜田 剛史


雨の日の薄墨をはく湖に漁の人なし?えりの影のみ

京都府 南京都高等学校 1年

前嶋 宏斉


夕陽みて母の背中を思い出し思わず手にしたテレホンカード

大阪府 府立芥川高等学校 2年

荒木 涼子


自信無き試験終わりぬ帰りきてヒヤシンスの白ばかりを植える

大阪府 大阪信愛女学院高等学校 2年

水野 扶美


花壇から離れて一輪咲いていたおまえも枠にはまれないのか

大阪府 府立大塚高等学校 3年

野口 博樹


今朝もまた「残念でした。」と言うように私の前に降りる遮断機

大阪府 府立四条畷高等学校 1年

太田 香苗


テスト中私の頭は洗濯機単語に公式ぐるぐるまわる

大阪府 府立四条畷高等学校 1年

西村 久美子


変わらない心にしみるバラードで不滅尾崎は天から歌う

兵庫県 県立香寺高等学校 3年

鳥越 晶子


ふりこ打法それが目覚めた瞬間にスタメン出場のちに大物

兵庫県 県立香寺高等学校 2年

尻無浜 凡子


セーターを毎晩内緒で編んでいるもうすぐ母の誕生日です

兵庫県 県立神戸商業高等学校 3年

大磯 裕紀


馬駆ける緑豊かな草千里霧のむこうにやがて消えゆく

兵庫県 県立神戸高塚高等学校 1年

勝原 滋


広島で勝っても負けても泪する熱きアジアの14日間

兵庫県 県立姫路商業高等学校 2年

保本 一光


きらきらの宝石ときには氷の破片あなたがくれる言葉の形

和歌山県 県立箕島高等学校 3年

榎本 貴美


留守電が決まりの声で語りだす元気にしてる?ちゃんと食べてる?

岡山県 ノートルダム清心女子大学 1年

伊藤 寿見子


通知表数字並べて縛らずに「∞(無限大)」だと記してほしい

山口県 県立華陵高等学校 2年

藤井 梨絵


水が土にしみこむ音をききながら祖母と畑をいじる楽しさ

徳島県 県立富岡西高等学校 2年

森岡 政子


「これでいい?」そう言いながら引きちぎり渡してくれた第2ボタンを

徳島県 県立富岡西高等学校 1年

鳴滝 亜由美


霜月の朝の寒さの薄明かり橋の真上にイワツバメ飛ぶ

徳島県 徳島文理中学校 3年

野田 亜由美


目が耳に移り変わった不自由さにどう生きるかとひとり泣く闇

高知県 県立盲学校高等部 1年

長崎 正澄


「分からない」と思った瞬間当てられるまるで心を読んでるように

福岡県 県立須恵高等学校 3年

案浦 寛子


アルバムの友と遊んだ裏山が姿をなくし建ち並ぶビル

福岡県 県立須恵高等学校 3年

今村 努


鉄筋のビルの合い間の暗がりに肩をよせあう子バトが二つ

福岡県 筑紫女学園高等学校 1年

森原 和子


姪生まれ我が家の主役入れ替わる窓辺にすわる小さな猫の背

長崎県 純心女子高等学校 3年

安藤 華子


引っ越した家懐かしみ立ち見れば見知らぬカーテン風にふくらむ

長崎県 純心女子高等学校 3年

大山 直子


祖父の声聞けなくなった居間にいて秋の家族の声はひそやか

熊本県 尚絅高等学校 2年

山本 文乃


3Kと言われながらも夢見てる行け行け未来の白衣の天使

大分県 県立大分女子高等学校 2年

小手川 佳子


フィールドの隅で挙を握りしめうつむく君に声かけられず

大分県 県立中津南高等学校 2年

奥村 綾子


雨降らずひとり水やる菜園の祖母の姿が夕陽に染まる

宮崎県 県立宮崎商業高等学校 2年

川越 実加


ワープロを打つ手としぐさイメージし二時間限りのOLになる

宮崎県 県立宮崎商業高等学校 2年

外山 知恵子


学園祭われらのクラスは星座館蛍光テープのさそりが光る

沖縄県 県立北谷高等学校 2年

仲泊 郁恵