第10回入選作品

応募総数35,634首の中から選ばれた入選作品をここに発表します。たくさんのご応募ありがとうございました。

学校全体で「現代学生百人一首」に取り組まれ、多数の優れた応募作品がある学校に贈呈します「学校特別賞」は下記の4校に決定いたしました。

・東京都 東京農業大学第一高等学校

・大阪府 清風中学校

・兵庫県 県立芦屋高等学校

・広島県 県立尾道東高等学校


▼入選作品(作品は都道府県別に北から並んでいます。学校名・学年・作者は発表時の情報です。)

鮭のぼる河口彩る竿の群れ川も色増す銀の腹にて

北海道 函館ラ・サール高等学校 1年

加賀谷 賢太


牛舎の戸閉め忘れたら牛達が道路をふさいでぞろぞろ歩く

北海道 稚内市立抜海中学校 1年

尾森 貴志


O157入っていると疑われ生活つらい かいわれ農家

宮城県 県立津谷高等学校 2年

小野寺 誠


ボーダレスの時代とともに増えてきたハングル文字の案内板も

宮城県 東北大学大学院 1年


静けさに信号だけが生きている始発へ急ぐ途中の街並み

福島県 県立福島女子高等学校 2年

猪俣 百合子


こもれ日の下にたたずむ詩仙堂鹿(しし)おどしのみ音響かせる

福島県 県立福島女子高等学校 2年

引地 美香


釣りあげしブラックバスの口元に針の傷跡いくつか残る

茨城県 茨城県立盲学校高等学部 1年

川澄 伸一


喧騒を逃れてひとり安堵する二輌ばかりの下り列車に

茨城県 県立下妻第一高等学校 1年

吉村 明子


命かけ祖父が守りし沖縄に昼夜かまわず米軍機とぶ

茨城県 東洋大学附属牛久高等学校 3年

新田 香織


今日もまたフォークリフトを乗り回し夕方向かう定時制へと

茨城県 県立水海道第一高等学校定時制 3年

豊田 孝宏


朝焼けのむらさき色のストリート セピア色した俺たちの影

茨城県 県立水海道第一高等学校定時制 3年

高田 誠


宅配便の底に敷きたる新聞がほのかに匂うふるさと遠し

栃木県 宇都宮大学 3年

大塚 綾子


半熟のたまごみたいな仲だからあともう少し温めようね

栃木県 県立大田原高等学校 1年

藤田 敦史


歌いつつ式の最中ぬすみ見た先生の目に涙が浮かぶ

埼玉県 県立伊奈学園総合高等学校 2年

佐藤 ひとみ


銀世界兎駆けゆく窓の外足跡続く森の中へと

埼玉県 県立浦和東高等学校 2年

上野 綾佳


渓流に岩魚(いわな)の気配感じとりそっと差し出す釣り竿まぶしい

埼玉県 県立浦和東高等学校 1年

栗原 高明


稲刈りが終わった広き田んぼ道我がもの顔でしらさぎ歩く

埼玉県 県立大宮南高等学校 1年

菊地 由美


友達と寄り道をして語り合うあけびの実る山裾の道

埼玉県 県立小川高等学校 3年

吉田 恵子


薪を割る五十をすぎた父の背を見つめるにつけ寂しさつのる

埼玉県 県立越生高等学校 1年

吉野 行理


面接中思いもよらぬ質問に顔は引きつり声うら返る

埼玉県 県立坂戸西高等学校 3年

吉野 あゆみ


「好きな人いるの?」と聞かれ「沢山」と答えながらも君だけが好き

埼玉県 秀明高等学校 1年

斉藤 岳雄


電線の皮をまたむき今日もむき目標高い電気工事士

埼玉県 県立玉川工業高等学校 2年

吉野 正美


手のまめが最強目指した想いを語るどこまで続くか僕の剣道

埼玉県 県立深谷第一高等学校 1年

塩谷 雅則


あの家にどんな暮らしがあったのか土砂に埋(うず)まる島原の街

埼玉県 県立寄居高等学校 2年

新妻 美佐


部活終え自転車一灯照らす道車も通らぬ人気(ひとけ)なき畦

埼玉県 県立寄居高等学校 1年

惣佐 真由美


わきあがる霧につつまれごうごうとただ流れ行く狩野川の音

埼玉県 県立和光高等学校 2年

小林 正伸


パソコンのマウスをクリックするだけで世界と話せるこの良き時代

埼玉県 西武学園文理中学校 3年

中山 領


友達も自分も着ている心の鎧一度外して話してみたい

千葉県 県立佐原高等学校 1年

飯塚 貴則


放課後の水澄むプールで泳いでるあなたの波がここまでとどく

千葉県 県立佐原高等学校 1年

佐々木 美幸


化学式古典文法英単語ショートしそうな頭の回路

千葉県 千葉商科大学附属高等学校 3年

木藤 力雄


この秋は我が家の裏山分け入って父とふたりで山芋を掘る

千葉県 県立成田北高等学校 3年

齋藤 隆文


何ひとつ変わらぬ今日が流れてる昼のキャンパス恩師の逝ける日

千葉県 淑徳大学 1年

久保木 善浩


新時代パソコン使って文字会話ぼくもやってるインターネット

東京都 京華商業高等学校 1年

山口 竜大


桜もちほお張り歩く隅田川風に吹かれて花の舞い散る

東京都 戸板女子高等学校 2年

児玉 和華子


手の平をまな板にして豆腐切る初めて作る茗荷の味噌汁

東京都 東京農業大学第一高等学校 3年

高橋 保子


指と指重なったまま二人いるこのまま化石になれたらいいのに

東京都 東京農業大学第一高等学校 1年

岩崎 志穂


草ひばりふと気がつくと山小屋の階段の下の枯草の隅

東京都 文化女子大学附属杉並高等学校 3年

杉浦 香代子


水玉のワンピース着た女の子両手広げてハトにとびこむ

東京都 文化女子大学附属杉並高等学校 2年

伊藤 ななえ


幼き日友と遊んだ場所はないビルの谷間にうもれた思い出

東京都 明星高等学校 2年

新井 絹子


病床の祖母の寝顔はいたましく冬の訪れなお気にかかる

東京都 明星高等学校 2年

井上 一樹


秋風に誘われながら歩いてるすてきな出会い秋の七草

東京都 京北中学校 3年

松村 直樹


国民に愛され続け沢山の思い出残し寅次郎逝く

東京都 京北中学校 3年

渡戸 久光


人間の理性を奪う白い粉少年達に魔の手がのびる

東京都 明星中学校 2年

三好 恒平


ひとひらの落ち葉窓から舞い込んで波形の消えたモニターひびく

東京都 新宿区医師会立看護高等専修学校 2年

高橋 まゆみ


もう一日泊まっていけよぼそっと言う単身赴任七年目の父

東京都 東洋大学短期大学 1年

菊地 由希子


帰り道人に押されたふりをしてふわりつないだ右手が熱い

東京都 跡見学園女子大学 4年

遠藤 香織


大好きなクレーの絵画を逆さにしどうにも不安な気持ちでひとり

東京都 専修大学 4年

鎌田 良恵


友達やサークル員との連絡の電子メールにあけくれる日々

東京都 東京女子大学 3年

服部 智絵


身を伏して大地にキスするランナーを世界に見せてマラソン終る

東京都 東京女子体育大学 3年

工藤 玲子


久びさに心安まる日のありて大正琴の音しばし聞きいる

東京都 東洋大学 1年

篠田 亮


一人暮らし家族の声が懐かしく消せずにたまる留守番電話

東京都 明治大学 4年

宇田川 麗


もう一度政策しっかり比較して二十歳(はたち)を実感投票日の朝

東京都 明治学院大学 2年

木村 美春


うす暗い書庫の中にもほんのりとやさしい絵になる君の横顔

東京都 国学院大学大学院 年

寺田 洋枝


ジャスミンの花を売らむと一途なるカラチの子らは眼を輝かす

東京都 東洋大学大学院 年

寺田 貴美代


愛猫が死んだその日に決意した獣医への夢今でも消えず

神奈川県 神奈川大学附属高等学校 1年

久保田 有子


前よりもやっぱり白い母の髪負担だろうか二世帯同居が

神奈川県 神奈川大学附属高等学校 1年

西沢 香奈子


携帯の電波が響く傷の下鼓動が揺れるペースメーカー

神奈川県 神奈川大学附属中学校 2年

佐藤 薫


叶うなら亡母(はは)と二人で歩きたい十七の夏十七回忌

新潟県 県立五泉高等学校 2年

小川 峰可


日曜日一人で乗ったJR今年の夏はすごく楽しい

富山県 県立高志養護学校高等部 2年

大坪 俊雄


ろうあ者のジュニアカレッジ学長が手で話してたライトを浴びて

富山県 県立富山ろう学校高等部 1年

野崎 誠


壁ごしにかすかに聞こえるCDの安室の歌をつい口ずさむ

富山県 富山大学 4年

村井 美香


暗くなり辺り静まりかえるころ諏訪の夜空に開く火の花

長野県 下諏訪向陽高等学校 1年

岩垂 加奈枝


朝鮮の人たちが掘った大本営戦争が作った悲しい傷跡

長野県 松代高等学校 3年

山本 勝彦


不景気で忍耐強くなりましたバイトするにも順番を待つ

長野県 信州大学 3年

我妻 道生


それなりに大人の会話がわかるらしい五歳の少女寡黙となりぬ

岐阜県 県立大垣工業高等学校 3年

西脇 靖欣


思い出をなるたけつめろこの中に限界値なし僕の缶詰

岐阜県 県立岐山高等学校 2年

藤田 盛久


長良川の河口の堰は鮎の敵必死になって登っているよ

岐阜県 岐阜第一高等学校 1年

竹村 公作


便箋にやさしい思い書き連ねちょっとお洒落に紅葉を入れる

愛知県 安城市立安城西中学校 3年

立木 亜樹


嫌な事風呂場でぜぇーんぶ泡にして一気に流す鈴虫の夜

愛知県 安城市立安城西中学校 2年

秋元 綾香


朝に降る雨が予定を狂わせて映画館へとこの部屋変わる

京都府 立命館大学大学院 年

岩谷 昌樹


髪切ればみんなこう言うもしかして失恋したん そんなんちがう

大阪府 関西創価中学校 1年

井辺 良子


戦争の悲惨さ乗り越え生きてきた祖父の姿が大きく見える

大阪府 清風中学校 2年

岡本 亮太


市の大会府の大会と盛り上がりビデオの僕はなかなかやるな

大阪府 清風中学校 2年

勝山 功平


ポケベルにルーズソックス デオドラント“三種の神器”私は持たず

兵庫県 県立明石高等学校 1年

山下 奈美


父さんのボールは速く感じたが今は遅いと思うさみしさ

兵庫県 県立芦屋高等学校 1年

木原 和樹


こちらより隣のチョークがよくひびく仮設校舎の後ろの席は

兵庫県 県立芦屋高等学校 1年

土井 崇雄


二年坂で母の好みの一筆箋土産にふくめて道下りゆく

兵庫県 県立須磨友が丘高等学校 2年

松井 愛


林道を滑り降りゆく休憩のたびごとに見る雪のアルプス

兵庫県 県立鳴尾高等学校 3年

西山 貴士


「強いよね」そんな言葉を言われるがたまには弱い所も見せたい

兵庫県 県立姫路商業高等学校 1年

平山 紗依


ブラボーときこえた時の気持ちよさ続けてよかった吹奏楽部

兵庫県 県立姫路飾西高等学校 1年

村岡 かおり


まだ見える仮設の中の洗濯物この目にじっと焼きつけておく

兵庫県 甲陽学院中学校 3年

有延 梓


やっぱりうまい全然ちがうと父の言う単身赴任から帰った日の夜

兵庫県 甲陽学院中学校 3年

神田 直之


梅雨(つゆ)の朝カタツムリのるアジサイに集まる子供のカサの花々

広島県 英数学館高等学校 1年

岡田 英嗣


「あなただれ?」あなたにとって昔からかわいい孫で生きてきたのに

広島県 県立尾道東高等学校 2年

向井 祥子


大好きなあなたにそっと届けたいミモザの花とあふれる想いを

広島県 県立尾道東高等学校 2年

藤田 貴子


かざみどり一目見たくて訪れた神戸の町にまだ残る傷

広島県 県立尾道東高等学校 2年

藤間 亜矢子


愛犬に試合に負けた話すると私の涙をペロペロなめる

広島県 福山暁の星女子中学校 2年

白川 順子


遠近感なくなるような草千里馬も小さい牛も小さい

広島県 東広島市立豊栄中学校 2年

梶原 晶


海岸で必死に家(や)捜しやどかりの見つけた家はソースのキャップ

山口県 宇部女子高等学校 2年

吉岡 淳子


放課後の楽しい時間友達のみんなと囲むプリントクラブ

山口県 県立下関第一高等学校 2年

林 千春


新聞の言葉が胸に突き刺さるエイズ患者の命の叫び

香川県 飯山高等学校 3年

内海 裕子


カヌーこぐ春の四万十父母(ふぼ)残しいつかこの地を離れゆくのか

高知県 高知学芸高等学校 2年

安岡 彩子


母と祖母二人が七草摘んでいる二人の背中はどこか似ている

高知県 県立高知小津高等学校 3年

濱田 佳奈


試験日に弁当の下ホッカイロ母の応援無駄にしないぞ

福岡県 北九州市立戸畑商業高等学校 3年

藤原 和代


肩落とし丸めた父の背中には暗闇に迫るリストラの影

福岡県 北九州市立戸畑商業高等学校 3年

森田 悠子


こんなにもあなたに手紙書いたのかボールペン内のインクの残り

大分県 県立石垣原養護学校高等部 3年

川野 陽子


戦争の話をするまで死ねないと祖父がいうので私は聞かない

宮崎県 県立宮崎大宮高等学校 3年

江夏 祥子


目前に広がる青い海までもヘリポートへと変わりゆくのか

沖縄県 県立知念高等学校 3年

與那嶺 敦子


軍用機今日も飛び立つ嘉手納基地爆音聞くたび怒りが沸(たぎ)る

沖縄県 県立北谷高等学校 3年

名城 綾乃


汗だくの部員の顔が悔しそう許してしまった逆転ゴール

沖縄県 県立北谷高等学校 3年

与儀 有紀乃