第32回入選作品
応募総数57,446首の中から選ばれた入選作品をここに発表します。たくさんのご応募ありがとうございました。
学校全体で「現代学生百人一首」に取り組まれ、多数の優れた応募作品がある学校に贈呈する「学校特別賞」は以下の5校に決定いたしました。
・千葉県 千葉県立千葉西高等学校
・東京都 東京学芸大学附属高等学校
・東京都 武蔵野市立第四中学校
・神奈川県 横浜市立金沢中学校
・新潟県 新潟県立長岡農業高等学校
▼第32回 東洋大学「現代学生百人一首」の特徴
【時事・社会問題】
地震や台風など天災の多かった2018年。また、AI(人工知能)の進歩を、身近なところからも感じられる1年でした。今回も社会の動きを学生ならではの視点や気持ちで、真剣に、時にユーモアを交えて詠んだ作品が集まりました。
【携帯電話・SNS】
スマートフォンやSNSを日常的に使いこなす若者たちですが、一方で、それらに対する疑問や不安、アナログなコミュニケーションへの想いを詠んだ作品も多く見られました。
【進路・未来】
未来に対するかすかな不安、あるいは確かな手ごたえ。まだ社会に出る前の学生ならではの揺れ動く気持ちを詠んだ作品が今年も多く寄せられました。
▼入選作品(作品は都道府県別に北から並んでいます。学校名・学年・作者は発表時の情報です。)
船に乗り海へ出ていく祖父の顔私が一番大好きな顔
北海道美唄聖華高等学校 3年
上野 綾?
災害時夜中に飛び出す父の背がたくましいようで悲しいようで
北海道美唄聖華高等学校 3年
越後屋 勇成
溶接で火花を散らす鉄を見て幻想的だと感じる実習
青森県立八戸工業高等学校 2年
田畑 裕斗
授業中膨らむカーテン人さらう大きなあくび運よく隠れ
岩手県立花北青雲高等学校 2年
照井 結奈
すぐそこに君がいるのに喋れない心がうるさい破裂しそうだ
岩手県立盛岡南高等学校 2年
菅原 凪
「お前」って君はいっつも呼ぶけれど私の名前そんなに嫌い?
秋田県立秋田西高等学校 1年
岩谷 ゆい
簡単なアイライナーの引き方を八十一の祖母に教える
秋田大学 4年
加藤 菜々
そこに来てなぜ曲がるのだ台風よまるで子供の寄り道のように
山形県立酒田光陵高等学校 3年
阿彦 達也
「地元出る。」決意を伝えたその時の涙溢れた母の表情
山形県立酒田光陵高等学校 3年
佐藤 優花
飛行場父の顔見てついほろりごまかしたくてあくびを一つ
山形県立酒田西高等学校定時制 3年
田村 麻実
夕凪が風鈴さえも止めるのに時間はとまらぬぼくらの青春
鹿嶋市立平井中学校 2年
梅﨑 沙彩
まだ見えぬ私はどこだと夢探し空に透かした白紙の希望
宇都宮海星女子学院高等学校 2年
砂川 実結
大地揺れ山から岩が滑り落ち一瞬にして消えゆく暮らし
コロンビアインターナショナルスクール 2年
神田 蓉
大嫌い何度も思った帰り道でも君以外とはケンカはしない
埼玉県立川越女子高等学校 1年
原 彩佳
日本史の教科書載ってるあの人もゲームの中では私の恋人
埼玉県立越谷西高等学校 3年
小太刀 玲奈
コンクール運命決まる12分私たちの音ホールへ響け
埼玉県立越谷南高等学校 2年
尾崎 一美
無くそうと言えば言うほど隠れてく心にキズを負った人々
埼玉県立坂戸西高等学校 2年
日野 萌々香
古文より難しいのはJK語おいていかれた高校生なり
埼玉県立松山女子高等学校 1年
森田 七海
中東で今日も銃声鳴り響く銃を持つ子の幼い瞳
芝浦工業大学柏中学校 1年
菅谷 学毅
秋の田の稲穂は祖父のシルエット幼きあの日そこに感じる
千葉英和高等学校 2年
東 美緒
冬の日にあなたと二人歩く夜手袋してない私に気付いて
千葉県立小金高等学校 3年
大山 桃生
授業中ウトウトしている君の目は憂鬱な時間楽しくさせる
千葉県立千葉西高等学校 1年
大木 晴香
蝉時雨お墓の前で木霊する聞こえてますかひいおじいちゃん
千葉県立千葉西高等学校 1年
佐々木 萌
「あ、そう」と父のLINEの言葉にはただの相槌怒りに見えた
千葉県立千葉西高等学校 1年
府金 詩子
教科書で「バブル崩壊」見た母が「それもう歴史?ママには最近」
流山市立東部中学校 3年
平野 薫梨
空っぽのおばあちゃん家の犬小屋で夏に来るたび白い尾探す
麗澤中学校 1年
山口 義仁
白米を三合炊いて食べ尽くす祖母の作った秋刀魚の酢漬け
開智日本橋学園中学校 3年
小田 千博
静寂の虫も動けぬ朝勤行いのる声のみひびきわたってる
学習院女子中等科 2年
原 菜々子
数学を教えてもらうその代わりバッハのカノン君に聴かせる
吉祥女子高等学校 1年
森 はるか
朝起きるただそれだけではしゃぐ犬私はいつから変わったんだろう
慶應義塾中等部 1年
塚田 あこ
歩道橋そこまで高さ感じないけれど感じる「津波ここまで」
慶應義塾中等部 2年
関口 佳子
父と行く水害被災地ボランティア俺でもできた小さなちから
国士舘中学校 2年
原田 晶平
帯をしめ天井あおぎひと呼吸一本の声ぼくの初勝利
国士舘高等学校 2年
亀山 頼孟
梅雨の日の薄暗い道のそこだけに光があたったような紫陽花
十文字中学校 2年
能見 倖凪
「平成」とならずに混乱三十年次の時代こそ「平成」なるか
成城中学校 1年
福宮 友樹
AIは人間よりも仕事する将来の夢無くなっちゃうよ
星美学園中学校 1年
古市 真季
とりあえずやばいを言えば盛り上がる日本の未来心配になる
星美学園高等学校 3年
及川 詩菜
女子差別日本の闇がひょっこりはん点数だけはまともにやって!
星美学園高等学校 3年
腰越 悠
ハルジオン祖母の教えた花の名をふと思い出す日向の病室
専修大学附属高等学校 1年
冨岡 千夏
あたりまえそんな言葉はないのだと災害現場教えてくれる
玉川学園中学部 3年
西岡 英光
「せんせい」と足に抱きつく子供たちまた膨らんだ保育士の夢
貞静学園高等学校 1年
角屋 麻由音
新緑の木々の間を抜けてゆく覚えたばかりの校歌とともに
東京学芸大学附属高等学校 1年
佐藤 航
「あ、おはよう!」あなたは毎朝言ってたね今日も聞こえるよ雲の上から
東京学芸大学附属高等学校 1年
正林 環奈
「父は嫌い」友が言うたび思い出す単身赴任の父の笑顔を
東京学芸大学附属小金井中学校 2年
藤友 実緒
長崎の地面踏み締め考える死者の思いと日本の平和
東京都市大学等々力高等学校 1年
寺澤 佳眞
志望理由何度も唱えノックする心臓の音聞こえてますか
東京都立江戸川高等学校 3年
藤谷 まりも
友達に気分を合わせ猫かぶる「自分」を演じ今日も過ぎてく
東京都立大森高等学校 3年
坂本 尚斗
LGBT普通じゃないと人は言うあなたの思う普通とは何?
東京都立大森高等学校 3年
嶋野 玖流美
滝の汗前髪ぬれてバーコード部活女子の夏の天敵
東京都立片倉高等学校 1年
沢邑 仁菜
喜びも切ない時もマジ卍いつからだろう日本語が変
東京都立蒲田高等学校 3年
須藤 檀
ここじゃない色んな角度で撮るカノジョ冷めてくワタシのご飯と気持ち
東京都立小岩高等学校 3年
谷口 零皇
十八歳二年もはやい選挙権ふと足止める駅前の声
東京都立小岩高等学校 3年
逸見 侑可
雨ふれば大地がうなる土砂崩れ飲まれゆく家立ちつくす僕
東京都立八丈高等学校 2年
中島 粋志
何にでも「平成最後」とタグ付けてそれでも変わらず流れる日常
東京都立保谷高等学校 1年
山野 花梨
目の前に私がいるのにケータイに夢中になって透明人間
東京都立美原高等学校 1年
内田 佳恵
コンビニの募金箱見て思い出しそっと戻したおやつのプリン
東京農業大学第一高等学校 2年
大谷 康介
上京後一人暮らしでする料理決まっていつも母の献立
東洋大学 1年
阿部 健太朗
おめでとうそれを言うのにどれほどの脳内会議を重ねたことか
練馬区立貫井中学校 2年
岩﨑 心紀
筆動き完成間近あざやかな紙一枚が私の世界
町田市立町田第一中学校 2年
中村 叶恵
携帯を見つめてばかりの若者よ私の祖母に席をゆずって
武蔵野市立第四中学校 2年
髙田 乃瑛
貝がらをのぞけば見える思い出の祖父母の笑顔と天草の海
武蔵野市立第四中学校 2年
中村 日名子
二歳の子助けてくれたヒーローは優しいこころの七十八歳
武蔵野市立第四中学校 2年
根岸 颯汰
ハロウィンと子供が騒ぐその奥で秋空彩る完熟の柿
神奈川大学附属中学校 1年
奥村 晴
願いこめ夢にまでみた初舞台覚悟を決めて楽器手にとる
神奈川大学附属中学校 1年
宮野 結衣
異常気象猛暑と豪雨で人々の希望と生気を吸い取ってゆく
慶應義塾普通部 1年
山口 瑛
AIは美味しい食べ物分かってもその美味しさを知ることはない
慶應義塾普通部 2年
藤田 晄伶
よく来たねみんなが集い祖母の笑みいつも変わらぬ座布団模様
中央大学附属横浜高等学校 2年
新庄 佑二郎
伝えたい言葉はいつもスタンプでどこかに消えた私の言葉
桐蔭学園高等学校 1年
?刀 菜柚
駆けぬける君の横顔眺めつつ「ファイト」とさけぶ届きますように
横浜市立岩井原中学校 2年
田邊 聖良
涼しげなホトトギス鳴く切通し今なほ残る先人の知恵
横浜市立金沢中学校 2年
西田 純平
四六時中ささいなことで怒られる中三ぼくより母反抗期
横浜市立金沢中学校 3年
水野 航
除雪車の仕事を終えた祖父の靴まだ濡れている登校する朝
東京学館新潟高等学校 1年
五十嵐 翔亜
夕食のテーブルにある母からの手紙毎日日記にはさむ
東京学館新潟高等学校 1年
磯野 瑠子
母さんと話したい事ある時は助手席座ってラジオを止める
東京学館新潟高等学校 1年
近藤 杏美
月曜は19時半の越後線1号車には君が居るから
東京学館新潟高等学校 2年
菅沼 麻沙
妹の恋の話を聞いてみる小さな口から大きな悩み
新潟県立直江津中等教育学校 2年
東條 華楓
新聞紙進路のために目を通し君を見つけたお悔やみ欄に
新潟県立長岡農業高等学校 3年
秋山 柚紗
つめたいなねむる祖父の手うごかないなみだこらえて朝だよ、おはよ
新潟県立長岡農業高等学校 3年
横山 未咲
「生茶」より「綾鷹」がいいと言う君は私のどこがいいと思うの
伊那西高等学校 2年
小島 和
スキヤキで眼鏡が曇る父の顔これが私の最後の記憶
上田西高等学校 2年
笹本 隆志
ただいまと靴を脱ぎ捨て駆け込むと目には見えない祖母のおかえり
静岡県立科学技術高等学校 3年
中西 ことみ
アルバイト笑顔で貯めた諭吉様一人二人と旅立つのですね
静岡県立下田高等学校 2年
藤沢 未羽
母の愚痴携帯ばかりいじってと操作指導で立場逆転
沼津中央高等学校 2年
西田 美優
ケータイをもつまえ交わした文通の貴方の書いた字愛しく思う
京都産業大学附属高等学校 1年
森川 千咲
聞かせてよ君の心の苦しみを今日も一つ机がガラリ
大阪市立勝山中学校 2年
斉藤 華奈
教室で百人一首を学びつつまだ見ぬ恋を想ふ五月雨
四天王寺高等学校 2年
岡田 直子
思い出の花に包まれ寝る祖母のいつにもましてやすらかな顔
関西学院中学部 2年
長浜 由佳
過ぎ去った台風がまだ生きている被害がますます拡大してる
神戸市立科学技術高等学校 2年
上村 風汰
いざ決心テスト報告LINEにて既読になれど母、返事なし
東洋大学附属姫路高等学校 1年
池下 凌生
「あいつうざい」悪口ツイート見るたびに私のことかと悩んでしまう
西宮市立西宮東高等学校 1年
油谷 佳苗
祖母の手にシワが増えたと感じた夜そっと自ら洗い物をする
広島県立広島工業高等学校 2年
三好 大和
いつの日か我が身に起こる老いること我が身のように清拭やさし
広島市医師会看護専門学校医療高等課程 2年
伊藤 智美
三十路過ぎ化粧禁止で学びます今日は誰にも会いませんように
広島市医師会看護専門学校医療高等課程 2年
植梶 香織
海浜に無数に開いたかにの穴帰っていくよみな足早に
山口県立豊北高等学校 2年
小笠原 弘舜
テレビ観て異常気象に文句言うボクらの暮らしが原因なのに
徳島県立城東高等学校 2年
由岐中 夢大
「もう寝よう。」その一言が送れずに気付けば今夜も日付が変わる。
香川県立多度津高等学校 2年
山下 優貴
ありがとうLINEではなく電話する母から届いた荷物眺めて
早稲田佐賀高等学校 1年
大田 洋輔
川の中すけた水中光差し小魚たちが光っているよ
佐世保市立祇園中学校 1年
原 幸生
学問の神様という道真に来年のためしっかり拝む
佐世保市立清水中学校 3年
御厨 憲人
夏休み異国の地での女子会で世界共通恋愛話
慶應義塾ニューヨーク学院(高等部) 12年
米田 彩花
【小学生の部】
かまきりの小さなかまの手をのばしつかみたいのは空と友の手
福島大学附属小学校 4年
木村 恩生
発表会シャープとフラットよく見なきゃ一小節で全てが決まる
印旛郡栄町立安食台小学校 5年
島根 花歩
飛び出るよ苦労の火花鉄工所キラキラ光る銀の鉄から
印旛郡栄町立安食台小学校 6年
仁部 晴斗
サツマイモうまく育って引っぱると兄弟いっぱい家族みたいだ
堺市立新浅香山小学校 5年
新井 将
一音に想いをのせて音楽会広いホールに声ひびかせる
堺市立新浅香山小学校 5年
飯沼 優月
すみっこで忘れられてた雪だるま白い息はき君と見ていた
堺市立新浅香山小学校 5年
土志田 みくり
だんじりはひきがうまいなあせだくで見れば見るほどはくりょくがある
堺市立新浅香山小学校 5年
日浦 里南
兄ちゃんといっつもけんかすごすぎて毎日毎日ねこもびっくり
堺市立深井西小学校 2年
佐藤 戴斗
おじいちゃんいつもやさしくしてくれたもっとみんなですごしたかった
大村市立三城小学校 6年
吉岡 美南
私達今年最後の運動会大きくおどるぞ川棚エイサー
東彼杵郡川棚町立川棚小学校 6年
長谷 真心
日本語学校・外語学校で学ぶ学生の優秀作品
【日本語学校・外語学校で学ぶ学生の優秀作品】
君からの不在着信私には今の時間がとても寂しい
双葉外語学校 1年
朴 智苑
くうこうでだきしめながらないていたいつかあえるとやくそくをする
双葉外語学校 2年
呉 尚?
冬になる雪山の上すべりたいことりのようにはねがうまれる
双葉外語学校 2年
李 ?妍
空高く丸く大きな梨たちを手に狩る重さ夏の思い出
双葉外語学校 2年
LE THI HA
松の下待っているのはおばあさん喜ぶ私涙零した
国書日本語学校 2年
王 有成
軒下で雨宿りして君といるこの瞬間止まってほしい
国書日本語学校 2年
岳 美汐
雨上がりアジサイが咲く花びらで落ちた雫が夏歌である
国書日本語学校 2年
曹 偉