第4回入選作品

応募総数 15,779首の中から選ばれた入選作品をここに発表します。たくさんのご応募ありがとうございました。

学校全体で「現代学生百人一首」に取り組まれ、多数の優れた応募作品がある学校に贈呈します「学校特別賞」は下記の5校に決定いたしました。

・千葉県 県立成田北高等学校

・山梨県 日本航空高等学校

・大阪府 樟蔭高等学校

・兵庫県 県立北条高等学校

・東京都 板橋区立板橋第五中学校


▼入選作品(作品は都道府県別に北から並んでいます。学校名・学年・作者は発表時の情報です。)

炬燵にて方程式に迷いおりあと数分で新しき年

北海道 北海道札幌稲雲高等学校 3年

石墨 一夫


「雪だ 雪!」一人が言えば窓の方みんなが見つめる初雪の午後

北海道 北海道札幌稲雲高等学校 3年

猫塚 光


真白なワタをかぶった雪虫を指でつまんで冬を感じる

北海道 北海道札幌稲雲高等学校 2年

笹島 香織


ドリブルで危険がいっぱいわかりつつカットインにて攻撃かわす

青森県 光星学院高等学校 3年

関下 真理子


春風にさそわれて歩く花巻の賢治の夢にしばしひたれり

岩手県 盛岡女子高等学校 2年

横山 直美


ビッグ・バン ブラック・ホール ホーキングと宇宙に馳せる大きなる夢

秋田県 県立秋田高等学校 3年

佐々田 朋美


雨あがり春雨庵の片隅にむらさきしきぶ色あざやかに

山形県 県立上山高等学校 3年

牧野 仁美


父と見たテレビの中の即位の礼昔にもどった平安絵巻

茨城県 県立茨城東高等学校 3年

高野 由美子


土を蹴り空に向かって高く跳ぶ記録に挑む最後の部活

茨城県 東洋大学附属牛久高等学校 3年

白根澤 貴之


あさ霧にしずまる沼辺の道を来て色あざやかな雉子に出逢いぬ

茨城県 東洋大学附属牛久高等学校 3年

寺田 貴美代


月明かり風吹きぬける川べりに一羽さみしく白鷺の立つ

栃木県 県立足利西高等学校 2年

伴 啓子


灰色のセーター借りて帰る道君の背中の広さに気付く

群馬県 新島学園高等学校 2年

儘田 若菜


秋の夜空のうなばら点々とホタルイカ舞い瞳にゆらぐ

埼玉県 県立浦和東高等学校 1年

和田 俊一


これからが大変になる冬の朝新聞しばる手がつめたくて

埼玉県 県立越生高等学校 2年

戸口 伸廣


いにしえの面影残す蔵の街を響き過ぎゆく祭の笛の音

埼玉県 県立川越南高等学校 2年

真藤 賢也


大喪の画面に見入り泣く祖母は我の知らない満州の若妻(つま)

埼玉県 県立越ヶ谷高等学校 3年

遠野 葉子


靴紐をむすんで君を待ちており君の歩幅はやけに小さい

埼玉県 城北埼玉高等学校 2年

斉藤 慶太


点滴の滴見つめる小さき祖母に「元気になって」と手をにぎりしめ

埼玉県 県立秩父高等学校 3年

野澤 典子


亡き祖父の思い出話に涙する母が娘にもどった命日

埼玉県 武蔵野音楽学園武蔵野高等学校 2年

加藤 浩子


いつのまにか母の背を抜き見おろしてせつなく思う母の白髪(はくはつ)

埼玉県 県立寄居高等学校 2年

坂本 美樹


自衛隊海外派兵と言う前にもう一度見よう平和憲法

埼玉県 県立寄居高等学校 1年

須賀 路子


冬空に白いカモメが一羽とぶあなたにとどけ切ない想い

埼玉県 県立和光高等学校 2年

相沢 真理子


窓を打つ雨の音さえリズミカル君と向き合う学食の午後

埼玉県 独協大学 1年

内田 早苗


砂時計ひっくり返して三分間逆立ちして見る不思議な世界

千葉県 県立成田北高等学校 2年

石井 充衛


道端のかやつりぐさが揺れている夏が忘れた線香花火

千葉県 県立成田北高等学校 2年

矢吹 ゆかり


教室でノートに書き取る中也の詩彼も見たのか秋の青空

千葉県 県立成田北高等学校 1年

高橋 昭憲


モネ描きし並木の緑深々と画廊の中の一つの世界

東京都 暁星高等学校 1年

加藤 伸


道場の畳ふみしめまず知りぬそう遠くない冬の訪れ

東京都 暁星高等学校 1年

熊澤 輝一


奈良に来て初めて会った阿修羅像わたし真奈ですどうぞよろしく

東京都 板橋区立板橋第五中学校 3年

伊藤 真奈


せみの声響くコートでボール追う流れる汗もぬぐう間もなく

東京都 吉祥女子中学校 2年

石亀 智子


君借りし本をその後我も読む日付のスタンプ指でなぞって

東京都 吉祥女子中学校 2年

近藤 暁子


教室に漂うバターのいい匂い家庭科大好きオムレツを焼く

東京都 六ヶ所村立千歳中学校 2

木村 美春


「食べるよ」と先に声かけ煮魚をつつく手もとを祖母が見ている

東京都 目黒区立東山中学校 3

池田 周


恋人のいない悲しさクリスマスイヴのバイトを引き受けている

東京都 東京女子大学 1年

木村 美月


幼い日胸ときめいた夏祭り過ぎて哀しい通りを帰る

東京都 東洋大学 2年

矢島 裕子


哲学のノートを開き講義中別れの言葉を考えている

東京都 二松学舎大学 1年

大木 敦子


実となりし珊瑚樹の枝手折らむと寄りたる垣に鳥の巣のあり

東京都 日本大学 2年

寺田 智昭


木犀の匂う近道ふと君に遇うかも知れぬ午後のキャンパス

東京都 武蔵大学 3年

浅田 ひろみ


出て欲しい出なくてもいい電話口好きな君だと言葉に詰まる

神奈川県 川崎市立川崎高等学校 2年

上本 道成


東塔に向きてたたずみ仰ぐ空竹笛響く飛天を想う

神奈川県 聖ヨゼフ学園高等学校 2年

久保寺 美緒


「雪降れば完璧だね」と笑う君ずっと夢見たあなたとのイヴ

神奈川県 聖ヨゼフ学園高等学校 1年

南 晶子


ギヤマンの色もあざやかビードロによみがえりくる長崎の旅

神奈川県 東横学園大倉山高等学校 3年

石田 祐香


切れ切れの君の言葉をたどる我に回送電車の風が舞い来る

神奈川県 県立横須賀大津高等学校 3年

大久保 聡子


一本の竹刀にかけるこの気持“はじめ”の合図で今さわぎ出す

神奈川県 神奈川大学附属中学校 2年

佐藤 毅雄


太陽がまぶしいけれどがまんしてきめてやるんだサービスエース

神奈川県 神奈川大学附属中学校 2年

吉岡 章子


動かない手を少しでも前に出す自分のために今乗り越える

新潟県 県立上越養護学校高等部 3年

竹内 学


夕暮れの縁側にひとり紫陽花がセピアに染まる時間を送る

富山県 県立富山女子高等学校 2年

土地 安奈


祖母の死に涙流して手を合わす母の姿が小さく見える

富山県 県立富山ろう学校高等部 1年

金井 秋彦


トラックの三千走る背後からライバル走者の足音迫る

石川県 金沢女子大学附属高等学校 2年

田辺 美紀


身体のこと寮のくらしを案じてる母は受話器をなかなか置かず

石川県 金沢女子大学附属高等学校 1年

川崎 ひろみ


寒稽古ひとり竹刀を振る君の吐く息白し道場の朝

石川県 金沢女子大学附属高等学校 1年

福田 恵子


お気に入りの花屋が店をたたむのを自転車こぐ足とめてふと見る

山梨県 県立市川高等学校 2年

小林 かおり


ポンポンと布団をたたく音響く晴れわたる日の寮の放課後

山梨県 日本航空高等学校 2年

吉野 奈緒美


一本のたすきにかけた青春が都大路の冬日かけゆく

長野県 諏訪実業高等学校 1年



濡れ縁に手だけが見える愛らしさ今年生まれた白き小犬の

岐阜県 大垣日本大学高等学校 3年

岡田 和美


涼やかに水を含みてつりしのぶ憂さ知らぬげに窓辺に揺るる

岐阜県 大垣日本大学高等学校 3年

岡田 圭司


雲の峰少し崩れてなお暑し竿だけ売りの声もけだるく

岐阜県 大垣日本大学高等学校 3年

堀田 潤


雲海を目の前にして気持ちよく大きく背伸び乗鞍の朝

岐阜県 羽島市立中島中学校 2年

太田 瑞絵


雲一色雨降りそうな秋の空父の仕事が心配になる

静岡県 県立清水西高等学校 3年

市川 記子


ぎらぎらと油ただよう焼津港錨あげる音しじまを破る

静岡県 県立藤枝北高等学校 2年

大石 智紀


おはようと声かけ笑う友達を心にとめて今日の一日

愛知県 光ヶ丘女子高等学校 1年

水野 奈々絵


緑色おふろの中にうかぶ柚子つかれをいやすほのかなかおり

愛知県 蒲郡市立蒲郡中学校 2年

野田 幾子


高卒で何が悪いと言いながら心の片隅まだ迷ってる

三重県 県立桑名西高等学校 3年

伊藤 亜希子


野分過ぎ光る七色虹色の薄雲透かす金色の月

三重県 セントヨゼフ女子学園高等学校 2年

渡辺 雅子


投げ終えて勝った瞬間思い出す死んだ父さんのあの一言を

京都府 府立乙訓高等学校 2年

伊藤 幸洋


春浅し就職きまりて遠く去る君と聞きおり「贈る言葉」を

京都府 京都成安女子高等学校 2年

奥田 清美


晩秋の道にたたずむ道祖神ほほえむ前を通りすぎゆく

京都府 京都成安女子高等学校 2年

中島 真由美


韓国の旅より帰りいち早く一つもぎたる庭の富有柿

京都府 南京都高等学校 2年

谷 憲幸


馬酔木見て思い出語る母の瞳(め)は私の知らぬ一人の少女

大阪府 大阪信愛女学院高等学校 2年

山善 君代


御巣鷹の峰からのぞむ茜雲亡き人々の瞳(め)にも映るか

大阪府 樟蔭高等学校 2年

田中 弘美


朝もやのかかる上野のキオスクの駅弁売りのさわやかな声

兵庫県 県立芦屋高等学校 2年

高山 浩一


ぷちぷちに実を太らせたねこじゃらし色も黄にあせ秋風の吹く

兵庫県 県立香寺高等学校 3年

羽岡 三恵


コトコトとおなべのふたが動いてる今日の夕食私の手作り

兵庫県 県立香寺高等学校 2年

河岡 博子


山すその岩肌つたう湧き水のたまりに浮かぶ萩の花びら

兵庫県 県立香寺高等学校 1年

古隈 正広


雨の朝さびしく曇る窓ガラスゆうべの夢の続きのように

兵庫県 県立西脇高等学校 1年

岡本 幸美


大根の白さ目にしむ冬じたく母の手赤く師走ま近し

兵庫県 県立西脇高等学校 1年

中根 伸也


我が父の単身赴任二度目なり留守宅守る母を気づかう

兵庫県 県立北条高等学校 1年

宇仁 千尋


こ・き・く・くる ラップで覚える活用形思い出すため歌うも一度

兵庫県 県立北条高等学校 1年

内藤 宏明


ふと見ると時計はすでに三時前夜ふかしさせた推理小説

兵庫県 県立北条高等学校 1年

松本 恵里


正倉院大きくかまえるさくの向こう静かにつつむ遠い日の風

兵庫県 県立夢野台高等学校 1年

井上 ゆかり


楽しみはトランペットを吹きながら調子よい音感じとる時

兵庫県 県立吉川高等学校 1年

戸田 めぐみ


黙々と便器を磨く罰そうじ自分の心洗われてゆく

広島県 県立津山東高等学校 2年

増原 陽子


海外の友と通じるエアメール辞書を片手に一人楽しむ

広島県 県立大門高等学校 3年

樋口 美香


君の声にギター弾く手を合わせたらオレンジの風二人に吹いた

広島県 県立広島商業高等学校 3年

北倉 のぞ美


たそがれの港に母を待ちおればともしび明かく船の入り来る

広島県 福山暁の星女子高等学校 1年

宇根 知香


夜が明けて成長したるおじぎ草一枚一枚葉を開きおり

広島県 福山暁の星女子高等学校 1年

尾高 あいさ


夜の更けて一人勉強する部屋に柿の落ちたる音に響く

広島県 福山暁の星女子高等学校 1年

藤井 理恵


虫食いの外葉だけれどみずみずしさ内に秘めたる無農薬レタス

山口県 県立田部高等学校 3年

朝見 和宏


朝御飯テレビ見ながら食べているドイツ統一今日だったんだ

山口県 県立田部高等学校 3年

知加良 あゆみ


れんげ田をるんるんスキップ五月晴れすこしハイジの気分になれる

山口県 県立田部高等学校 3年

真砂 知代


夕暮れの肌にさしこむ寒風がぼくの背中をうしろから押す

香川県 尽誠学園高等学校 1年

浜田 慎也


突然に校庭の隅が香り出すキンモクセイに初めて気づく

高知県 高知学芸高等学校 2年

西森 多佳


ポケットにつめ込んだ夢ひとつずつ取り出してみて空に飛ばそう

福岡県 県立須恵高等学校 3年

森 英樹


朝焼けに淡く色づく野に立てば額にかかる髪の冷たさ

福岡県 筑紫女学園高等学校 3年

宮崎 恭子


氷のごとわれの心の痛むなり先々のこと深く案じて

福岡県 県立福岡盲学校中学部 2年

脇水 哲郎


こぶしあげ一人時間差決めた君コートを走る姿輝く

熊本県 八代白百合学園高等学校 3年

田方 香織


ポツポツと摘み残したるさくらんぼ小鳥のためにと父のやさしさ

大分県 県立中津南高等学校 1年

小野 敦子


うたた寝よりさむれば祖父のはんてんがかけられている中間考査

大分県 県立中津南高等学校 1年

園 大志


緊迫した空気の中で先輩は一射的中弓引きしぼる

大分県 県立中津南高等学校 1年

森山 浩子


機織りの匠の手よりこまやかな宮古上布の紡ぎ出で来る

沖縄県 県立宮古高等学校 3年

佐久本 美穂