第29回入選作品

応募総数56,972首の中から選ばれた入選作品をここに発表します。たくさんのご応募ありがとうございました。

なお、学校全体で「現代学生百人一首」に取り組まれ、多数の優れた応募作品がある学校に贈呈します「学校特別賞」は下記の5校に決定いたしました。

・青森県  青森県立八戸工業高等学校

・東京都  東京都立片倉高等学校

・東京都  東京都立鷺宮高等学校

・長崎県  佐世保市立清水中学校

・アメリカ 慶應義塾ニューヨーク学院(高等部)


▼第29回 「現代学生百人一首」の特徴

〇戦後70年

太平洋戦争終戦から70年を迎えた2015年。戦争を体験したことの無い若い世代が、70年前の戦争から何を学ぼうとしているのか、戦争と平和をどのように捉えているかが読み取れる結果となりました。

〇選挙年齢の引き下げ

選挙年齢が18歳に引き下げられ、高校3年生にも選挙権が与えられることになりました。選挙において若者自身が「選択」することへの責任感、そして不安な気持ちを反映した作品が数多く寄せられました。

〇時事・社会問題

頻発するテロや、東京五輪を巡る議論に対して、若者ならではの視点でどのように捉えられているか読み取れる結果となりました。

〇世界で活躍する日本人

ノーベル医学・生理学賞、ノーベル物理学賞受賞者やラグビー・テニスなどスポーツ界の日本代表選手、世界における日本人の活躍を喜ぶ作品が数多く寄せられました。

〇天災

阪神淡路大震災から20年を迎えた2015年は、鬼怒川の氾濫、東日本の豪雨災害、ネパールの大地震など大規模な天災に見舞われました。被害を受けた方に寄り添う気持ちや復興に向けた希望などの心情が、数多くの作品に反映されていました。


▼入選作品(作品は都道府県別に北から並んでいます。学校名・学年・作者は発表時の情報です。)


今年から相棒となった自転車の錆びた音には兄の面影

北海道 北海道札幌厚別高等学校 1年

吉野 萌美


「おかえり」とシチューの匂い母の声ふと考える巣立つその日を

北海道 北海道登別明日中等教育学校 3年

安田 萌恵


その笑顔本物なのか偽物か向けられるたび考えてみる

北海道 帯広北高等学校 2年

大友 里那


内定が決まった兄の笑顔見て寂しさ隠し共に喜ぶ

青森県 青森県立八戸工業高等学校 2年

小泉 俊喜


八人の思いをのせたロボットがその手を伸ばす夢を掴みに

青森県 青森県立八戸工業高等学校 3年

荒瀬 将文


作業服使いはじめて三年目いい思い出が着るたび浮かぶ

青森県 青森県立八戸工業高等学校 3年

安ヶ平 隆介


震災の記憶を持たぬ人たちと同じ道行く小さな違和感

岩手県 岩手県立盛岡第二高等学校 2年

佐藤 楓


通学路寝ぐせが揺れるそよ風にノンフィクションの「今日」が始まる

秋田県 秋田県立能代高等学校 2年

佐藤 瑞穂


両親に進路聞かれて黙り込む聞かぬふりして空を眺める

山形県 山形市立金井中学校 2年

阿部 蒔史


「んだ」「んね」「け」それで通じる山形弁会話になるとまるで呪文だ

山形県 山形県立北村山高等学校 2年

大場 美鈴


祖父の背を洗い流すと申し出る言葉のいらない男の会話

山形県 山形県立酒田光陵高等学校 3年

斎藤 叶


性格とピッコロの音共通点みんなと合わないチューニングのB♭(ベー)

山形県 山形県立酒田光陵高等学校 3年

佐藤 なつ美


海岸で一人静かに釣りをするもう見られない地元の夕日

山形県 山形県立酒田光陵高等学校 3年

保坂 陸斗


教科書をあと何ページめくったら本当の平和はおとずれるのか

山形県 山形県立米沢興譲館高等学校 2年

渋谷 拓


なあセミよ古文の課題手伝えよキミも法師の端くれならば

福島県 福島県立磐城桜が丘高等学校 3年

星野 裕司


震災時分けが分からず泣いていた今は違うぞ役に立つ時

福島県 福島県立平工業高等学校 1年

矢吹 由伸


夏の日に満洲生まれの祖父に聞く戦後の日本と平和の尊さ

茨城県 東洋大学附属牛久中学校 1年

岡田 花音


今朝もまた「宿題やった?」と母の声母にあわせてインコが真似る

茨城県 東洋大学附属牛久中学校 1年

白坂 莉夏子


バッグからいつも出てくる単語帳付箋が消えて自信がついた

茨城県 東洋大学附属牛久高等学校 3年

長谷川 拓


なにげない言葉一つにトゲはえていじめと気付かぬ言葉の怖さ

埼玉県 深谷市立岡部中学校 2年

甲原 佑真


諦めて丸めて捨てた過去の夢皺を伸ばせばまだ叶うはず

埼玉県 埼玉県立朝霞高等学校 1年

芳村 颯太郎


トルコテロ姉の帰りを心配す携帯持つ手気づけば滑る

埼玉県 埼玉県立朝霞高等学校 2年

辰口 紗帆


来年は与えられてる選挙権進路選択も出来ぬ私に

埼玉県 埼玉県立桶川高等学校 2年

大室 花香


ホームラン汗が涙に変わってく土に染みこむ夏の思い出

埼玉県 埼玉県立川越総合高等学校 3年

田口 愛梨


直前の緊張こらえ深呼吸ノックで始まる面接本番

埼玉県 埼玉県立坂戸西高等学校 3年

齊藤 温子


辛い時慰めてくれた楽器達今では時々机を叩く

埼玉県 埼玉県立坂戸西高等学校 3年

平野 詩織


消えてゆく地元の名残り秩父弁「せやあねぇよ」は祖母のぬくもり

埼玉県 埼玉県立松山女子高等学校 3年

関根 奈央


無意識につけてしまったクーラーに夏は終わりと言われてるよう

埼玉県 慶應義塾志木高等学校 1年

鈴木 悠斗


初めての三枚おろし魚から溢れ出す血に感じる「命」

千葉県 千葉市立打瀬中学校 2年

松田 詩乃


本読めば時間がどんどんすぎていく不思議な力が私を連れさる

千葉県 流山市立東部中学校 3年

大石 桃子


五輪選手超人類と思っていた次に出るのは自分の世代

千葉県 芝浦工業大学柏中学校 3年

宇川 綾香


クラス替え階段上っている僕が抱えているのは荷物と緊張

千葉県 昭和学院秀英中学校 2年

鈴木 恵杜


地下深く埋れし薬徴生物根を張り咲いたノーベル賞

千葉県 千葉県立木更津高等学校 2年

吉富 さくら


尾木ママがテレビで言ってた反抗期あなたのことねと母がつぶやく

千葉県 西武台千葉高等学校 1年

坂田 瑠美


二日間連続受賞ノーベル賞努力が実った奇跡の瞬間

千葉県 千葉商科大学付属高等学校 1年

萩原 翔平


砂時計上から下へ落ちていき目で見て思う時間の重さ

千葉県 千葉商科大学付属高等学校 3年

山口 慶子


生い先が短いからと甘やかす祖父の財布にうつむく私

千葉県 東京学館船橋高等学校 2年

岩瀬 瑠里


朝焼けの空を見上げてペンを持つ児らの寝息のすこやかなるに

千葉県 香取郡市医師会附属 佐原准看護学校 1年

髙木 里美


朝露のダイヤモンドを散りばめた野を踏みしめて夏のデッサン

東京都 大田区立雪谷中学校 1年

紺野 安純


公民で勉強している選挙権三年後には人ごとじゃない

東京都 墨田区立両国中学校 3年

清水 知徳


刀鍛冶京都に生きる姿見た炎を味方に刀を作る

東京都 東大和市立第四中学校 3年

小俣 幹豊


声持たぬ友との会話手と顔で大きく表現心つながる

東京都 東大和市立第四中学校 3年

永﨑 千遥


盆休みお墓参りで思い出す祖父母とかわした最後の言葉

東京都 日野市立日野第一中学校 2年

佛生 有里奈


助け合いなぐさめ合って支え合う人ってそういう生き物だから

東京都 鴎友学園女子中学校 2年

岩﨑 有莉沙


昼下がり私のやる気を吸い取って入道雲はぐんぐん伸びる

東京都 学習院女子中等科 3年

本幡 直子


ストローが君のものだと分かっても恋の予感を飲んでみたいの

東京都 慶應義塾中等部 2年

間仁田 珠里


戦争は今年節目の七十年今も待ってる戦地の遺骨

東京都 駒込学園駒込中学校 1年

髙石 幹太


戦争をしてはいけないと訴える語り部さんの顔は必死だ

東京都 星美学園中学校 1年

倉林 祥子


漠然と立ちはだかった高い壁巨人みたいに見おろしたいぜ

東京都 東京都立片倉高等学校 3年

市倉 望


じじの死後受け入れられずめくる本しおり代わりに私の写真

東京都 東京都立片倉高等学校 3年

瀧口 結


数年後キラキラネームの祖父母増え孫に本名何と聞かれる

東京都 東京都立片倉高等学校 3年

湯浅 美魅


病院で大丈夫なのかと聞く母に家はとつけて大丈夫という

東京都 東京都立鷺宮高等学校 1年

藤田 くるみ


ネクタイをゆるめる父の金曜日明日は私がごはんをつくろう

東京都 東京都立鷺宮高等学校 1年

松沼 那奈


淡白でぶっきらぼうな言の葉は君の一つの恋愛表現

東京都 東京都立鷺宮高等学校 3年

藤田 比奈子


七十年そんなに長い月日かな忘れていくのは罪ではないか

東京都 東京都立府中高等学校 3年

岩塚 彩咲日


「あと一つ」歓声が沸く甲子園さあそろそろだ魔物が動く

東京都 東京都立府中工業高等学校 1年

岩淵 大輝


日々熱き技能試験の夏過ぎて辛かった日の充足を知る

東京都 東京都立府中工業高等学校 3年

丸山 香菜


難題に止まる右手を見てるときぼんやり思う未来の私

東京都 東京都立保谷高等学校 3年

田中 真巳子


黒板にうっすら残る日直欄あなたが書いた私の名前

東京都 京華商業高等学校 2年

宮崎 偲永


辛いから逃げたくなるけど逃げないと決めた私は今日も靴をはく

東京都 駒込学園駒込高等学校 1年

斉藤 美奈


携帯のカメラロールをスクロール時の流れの速さに気づく

東京都 星美学園高等学校 2年

藤波 ほのか


本当は待てぬ返事を「待ってます」口にするのは僕の弱さか

東京都 専修大学附属高等学校 3年

髙木 蔵治


体張る桜の戦士五郎丸世界に響いたキックのフォーム

東京都 東京農業大学第一高等学校 3年

大場 歩


落ち込んで「辛い」とぼやく僕の手を祖父が黙ってギュッと握った

東京都 東洋大学(大学院)  1年

小田切 拓


爽やかな虫の音ひびく秋の夜雲のすき間に輝く名月

神奈川県 山北町立山北中学校 2年

鈴木 惇也


いがいがのいがの中からこんにちはひきこもりからぬけだす季節

神奈川県 山北町立山北中学校 2年

長崎 優希音


ホームドア人の体は落さずも心の転落守りはしない

神奈川県 神奈川大学附属中学校 2年

神庭 芳史


休暇取りゴルフ楽しむ一方で世紀の発見世界を救う

神奈川県 慶應義塾普通部 1年

大橋 和真


山里に静かに響く踏切は今日も寂しく旅人を待つ

神奈川県 慶應義塾普通部 3年

大西 理久


スマホとは私の欲をふくらますまるで小さなブラックホール

神奈川県 捜真女学校中学部 3年

飯岡 美穂奈


大空に一人で浮かぶ雲に問う「あなたも進路に迷っているの?」

神奈川県 神奈川大学附属高等学校 1年

豊田 汐梨


日本食ホームステイで思い出す祖母のだしつゆ母の豚汁

神奈川県 鎌倉女学院高等学校 1年

山内 彩愛


折れにくい心に変えてみたくって7mmにするシャーペンノック

新潟県 東京学館新潟高等学校 1年

寺尾 航太


午前四時レスキュー派遣される父玄関ドア音私は聴いてる

新潟県 東京学館新潟高等学校 1年

山口 響


閉校の小学校のインターホンかすかに鳴って思い出を呼ぶ

新潟県 東京学館新潟高等学校 3年

本多 伶


僕が見る半月君が見る半月二つ合わせて満月にしよう

石川県 石川県立金沢錦丘高等学校 2年

若林 哲哉


浅間峰(あさまね)の肥えし大地に生え伸びる草を食わんと牛は駆け行く

長野県 長野県佐久平総合技術高等学校 1年

塩川 蓮


お小遣い貯めてようやく手に入れたヒールの高さと大人の気分

長野県 伊那西高等学校 1年

加藤 朱香


背表紙が色褪せている祖母の書を独りでなでる祖父の手のひら

長野県 伊那西高等学校 2年

小椋 環


人受けを気にしてばかりいる私「つまらないよ」と母の一言

長野県 伊那西高等学校 3年

遠山 愛実


冬が好き雪の匂いもオリオン座も「寒い」と言って繋がれる手も

長野県 上田西高等学校 1年

小宮山 芙


間違いを修正テープで直すよう上辺に過ぎぬ貴方の謝罪

長野県 上田西高等学校 3年

望月 柚莉


冬服に袖をとおせばひしひしと近づく入試肌で感じる

愛知県 光ヶ丘女子高等学校 3年

山本 朝水


大晦日寂しい寮で思い出す母の手料理幸せの味

愛知県 愛知淑徳大学留学生別科 -年

茹 臻君


「またきてね」言ってもらったあのコトバ神戸と東北絶えない絆

兵庫県 神戸市立葺合高等学校 2年

橘 優佳


あの父が初めてくれたおこづかい「また来るわな」のひとことそえて

奈良県 天理教校学園高等学校 1年

佐波 貴恵


艇友と夢に向かってオール漕ぎ今日も川面がキラキラ光る

岡山県 岡山県立岡山東商業高等学校 3年

柿本 衿菜


伝えたい原爆の持つ恐しさ祖父に代わって次の世代へ

広島県 広島市立舟入高等学校 1年

江草 清花


瞳閉じ両手合わせて御霊らの声を聞いてる八月六日

広島県 広島市立舟入高等学校 1年

保本 祐希


ものづくりひとつひとつの工程に思いを込めて機械を動かす

広島県 広島県立宮島工業高等学校 3年

中野 竜嘉


また一つ小さくなった祖母の背に長生きしてねとつぶやいてみる

広島県 広島県立広島工業高等学校  3年

野坂 慎太郎


我が祖父の起床時刻は朝の四時寝起きのよさはあさがおのよう

広島県 広島県立総合技術高等学校 2年

山持 康太


拭く洗う一つ一つにありがとうそのひと言で頑張れるんだ

広島県 広島市医師会看護専門学校医療高等課程 2年

西森 萌


人事部の声にうなずきメモを取る同級生がまるで別人

徳島県 阿南工業高等専門学校 5年

坂部 義将


友情の裏に秘めたるエゴイズム開けてはならぬパンドラの箱

佐賀県 佐賀県立鹿島高等学校 1年

松浦 慶次郎


一本のシャトルが床に落ちるまでみんなは息を忘れていたよ

長崎県 佐世保市立清水中学校  2年

德田 瑞季


「こんにちは」返ってきたのは「こんばんは」日の短さを感じた帰り

長崎県 佐世保市立清水中学校 2年

中尾 優花


今はもう消しゴムのカスでしかない罫線上に散らばる「好きです。」

沖縄県 沖縄県立八重山商工高等学校 2年

鷲尾 玖美


川氾濫稲穂倒れて水の中画面の中の故郷を憂う

アメリカ合衆国ニューヨーク州 慶應義塾ニューヨーク学院(高等部) 9年 (中学校3年)

新保 結希


ぎこちない英語訛のコンニチハふわっとこころあったかくなる

アメリカ合衆国ニューヨーク州 慶應義塾ニューヨーク学院(高等部) 11年(高校2年)

川島 加湖



【小学生の部】


こわがるな明日はきっととってやる白いボールを体の前

宮城県 加美町立宮崎小学校 5年

小松 浩也


火の玉が龍のごとく舞い上がり花になるときみながどめく

埼玉県 コロンビアインターナショナルスクール 6年

鈴木 孝昌


発表会黒と白とのけんばんに手を置いたならもうもどれない

千葉県 山武市立睦岡小学校 6年

齊藤 光里


強敵の速くて重いあのシュートそれでもぼくはゴールをまもる

千葉県 山武市立睦岡小学校 6年

鈴木 悠介


大会に出られないことわかった夜ベランダに出てほしをながめた

千葉県 市川市立大野小学校 4年

神尾 康介


落ちた葉をていねいに拾うはかまいり祖母と話すよ守ってください

大阪府 堺市立新浅香山小学校 5年

金平 和佳奈


花ふきんチクチクぬってもようでるみんなの個性花ふきんにある

大阪府 堺市立新浅香山小学校 5年

横見 陽菜


だんじりで走りまくって汗まみれおれも見せたぜ男だましい

大阪府 堺市立深井西小学校 6年

大野 栞音


感動を音とリズムでまきおこすみんな心を一つに合わす

大阪府 堺市立深井西小学校 6年

河本 紅奈


庭に出てさると戦うおばあちゃんおそわれないでね心配だから

長崎県 大村市立放虎原小学校 6年

安藤 結唯