第37回入選作品

応募総数63,606首の中から選ばれた入選作品をここに発表します。たくさんのご応募ありがとうございました。

学校全体で「現代学生百人一首」に取り組まれ、多数の優れた作品を応募いただいた学校に贈呈する「学校特別賞」は以下の5校に決定いたしました。

・千葉県千葉英和高等学校

・神奈川県慶應義塾普通部

・神奈川県法政大学第二中学校

・新潟県東京学館新潟高等学校

・京都府京都西山高等学校


▼第37回 応募作品を振り返って

コロナ「5類」移行により 、 開放感ある「日常」が戻る

2023年はコロナ感染症が5類に移行したことで、生活様式がもとに戻ってきた開放感・喜びと戸惑い・不安が多く詠まれました。マスクを外した友人をまるで初対面のように感じたことや、マスクを外す気恥ずかしさなどが詠まれた歌からは、日常的な必需品だったマスクを外すことへの抵抗感が見受けられました。いずれも実体験に基づく心の動きや描写などいきいきと充実した生活を表現した歌が多く、家族や友人と過ごす夏休みなど、ようやく当たり前の日常を楽しむ様子が見られました 。

世相では、昨年同様「推し」への思いや活動を詠む歌が多く、「推し」という単語も多用されました 。今年も女子学生に流行の髪型との関係で「前髪」を気にする歌が多く詠まれていました 。また、新語・流行語にノミネートされた 「AI」や「ChatGPT」などのワードも使われ、 あっという間に身近になっている様子がうかがえました 。「増税」「物価高」「インフレ」などは自分達の生活に近いお小遣いや買い物に関連して詠まれていました 。「LGBTQ」を直接詠んでる歌は少なかったものの、「多様性」について思索する歌は詠まれていました。 スマホやSNSなど日々ネットに依存していること、それにあらがう気持ちを詠む歌もみられました。


▼入選作品(作品は都道府県別に北から並んでいます。学校名・学年・作者は発表時の情報です。)

体育はみんな好きだと言われてる嫌いな人は皆じゃないのか

北海道池田高等学校3年

山崎 雄大


暑すぎたサウナのような体育館アラート出ても行う部活

八戸工業大学第二高等学校2年

佐々木 日菜


白球のゆくえ見守るスタンドの想いをのせた真夏の音色

専修大学北上高等学校2年

下野 遥香


喧嘩ってつまんないからドアノブにマリーゴールド掛けて帰るね

仙台市立仙台高等学校2年

佐藤 文菜


天才もAIももう足りていてそれでも私は美術を学ぶ

東北生活文化大学4年

甲斐 菜月


おれの夏夏祭りとかあるけれどお金ないのでほやバイトする

宮城県石巻商業高等学校2年

阿部 龍誠


将来の日本農業担うため何ができるか考えた夏

宮城県大河原産業高等学校1年

佐藤 綾音


沈黙も笑いに変わる帰り道二人の影がますます伸びる

秋田県立能代松陽高等学校2年

布田 沙月


入学し最初に聞かれた看護師像今ならもっとはっきり言える

山形県立山辺高等学校1年

菊地 結花


災害に負けじと進む人々は風にも負けぬ向日葵のよう

いわき秀英中学校3年

畑川 菜々絵


福島の処理水放出安全性安心感とはまた違うよね

福島県立会津学鳳高等学校1年

リン 恵夢


YとN指が配置を覚えてる検定に向け押すエンターキー

福島県立清陵情報高等学校1年

田部遼


ねえ母さんあなたはいつも休みなし少し私も頼りにしてよ

茨城県立鉾田第一高等学校1年

青木 康高


ナスオクラゴーヤにキュウリわさわさと祖母の畑は夏のお祭り

東洋大学附属牛久中学校1年

石山 穂里


気まずくて二、三言目で茶をすする三年ぶりの祖母との会話

宇都宮大学共同教育学部附属中学校2年

貴正 美優


40過ぎ推し活始めた母の恋そっと見守る父推しワタシ

春日部市立春日部南中学校1年

新川 結子


まわりとはちがうことこそ価値がある百の雑音一人の自分

埼玉県立越谷南高等学校2年

相樂 晃太郎


駅近のたまに通うあのカフェがある日静かに閉店作業

埼玉県立草加東高等学校3年

渡邊 心有希


クラスTちょっぴりダサいデザインを着こなせるのはきっと今だけ

埼玉県立松山女子高等学校2年

大野 瑠子


「またね」って引っ越す友が言っていた普通のようで遠い約束

狭山市立狭山台中学校2年

福井 千陽


天国で応援しててねお義母(かあ)さん必ず叶える看護師の夢

佐原准看護学校1年

石橋 美賀子


「もういいよ」家を飛び出すなぜだろう無くても不満な親のやさしさ

芝浦工業大学柏中学校3年

中尾 凌


物価高土日も仕事に向かう父母それ見て私は机に向かう

千葉英和高等学校2年

石丸 龍吾


いつもなら祖母が出してた盆提灯今年は私が準備するから

千葉英和高等学校2年

植松 琴乃


夜ご飯家族と話すはずなのにみんなスマホとお喋りしてる

千葉県立市川東高等学校1年

加瀬 くらら


マスクなし顔見られても安心だ家で秘密のにっこり特訓

千葉県立柏南高等学校2年

荘司 風花


炎天下オープンキャンパス巡る日々次の舞台をさがす旅かな

千葉県立京葉高等学校2年

栁原 颯太


制限と言う名の呪縛なくなった新たな呪縛責任という

千葉県立千葉商業高等学校1年

秋山 遥音


大きすぎ長すぎだった学ランが急にぴったりしてきた中二

千葉市立葛城中学校2年

櫻井 慈郎


学校の自販機頼り百円を握りしめるも十円値上げ

東京学館高等学校2年

吉永 悠人


ねえ父よそのおかえりは母じゃない声が似てきた私なんだが

江戸川女子高等学校1年

井上 円南


あの頃は毎日通った公園の老いた遊具がこちらを見てる

大田区立大森第四中学校2年

中澤 薫


マスク取りわかったことが二つある空気の美味しさ君の凛々しさ

大田区立大森第六中学校2年

丸山 泰生


「髪切った?」その言葉だけで期待して前髪2cm君への2cm

開智日本橋学園中学校2年

深町 綾


祖母の家ずっと庭いる蝶々はおじいちゃんなの遺影にたずねる

共立女子中学校1年

池上 葵


Siriに聞く学校行くのなんでかと友達たくさんいるところです

成城中学校1年

深沢 悠翔


母の愛今日も強いな水筒の固く締まった蓋があかない

帝京高等学校1年

藤原 史奈


二年ぶりおかえり前髪寝癖たち引退すれども早起き続く

東京都立片倉高等学校3年

小野田 礼人


AIが出した答えと違うけどこの瞬間は君を信じる

東京都立新宿高等学校1年

今村 柚希


ベッドから落ちた時だけ妹に優しくされるぬいぐるみ達

東京都立武蔵高等学校1年

安田 湖夏


飛行場心に決めた異国の地両親を背に上を向き行く

東洋大学京北高等学校2年

大河原 青空


帰省中偶然見つけた虹雲を親子五人で見つめ続ける

西東京市立青嵐中学校2年

金丸 沙彩


多様性ほんとの意味を見失い皆が自分を許せないまま

日本大学豊山女子中学校3年

大和田 小巴音


街の隅小さいけれど良き本屋時代の変化で消えていく今

練馬区立関中学校3年

水越 風佑


「記録的」飽きた言葉と拭う汗耳は慣れても体は慣れず

神奈川大学附属中学校3年

上島 蒼海


最寄り駅止まる瞬間目が覚める身に付いたかも特殊能力

慶應義塾普通部2年

遠藤 楓


軽トラで僕を追い越す祖父の声合鴨の鳴く春の畦道

慶應義塾普通部3年

田中 至


ユーチューブトップ画面のおすすめが僕の心を読んでくるから

慶應義塾普通部3年

野沢 陽太朗


切手まで貼った想いを抱えてる遠くの席で君は寝ている

慶應義塾大学1年

石川 胡桃


両親が在宅勤務してるから静かに開ける玄関のドア

法政大学第二中学校2年

平岡 陸


みたらしとあんこ交換友達と月の光を探して食べる

法政大学第二中学校2年

平野 結菜


恋愛が禁止されてる吹奏楽部トロンボーンの君の音甘い

東京学館新潟高等学校1年

上田 みこ


ドリップの珈琲朝に香るのは単身赴任の父のいる朝

東京学館新潟高等学校2年

神田 日陽里


くしゃくしゃになった願書は四枚目焦る気持ちに文字が震える

東京学館新潟高等学校3年

山田 晃輝


もう大人?それとも子供?レストラン大人何名?戸惑った母

宝達志水町立宝達中学校3年

番坂 遥陽


早生まれ周りはみんな十八歳いろんなことが周回遅れ

敦賀気比高等学校3年

滝波 参叶


最近の流行りのものについてけず俺はまことにZ世代か

東海大学付属甲府高等学校3年

有泉 巴名跡


甲子園やっと掴んだこの切符心が枯れたコロナウイルス

東海大学付属甲府高等学校3年

則定 優作


まだ君と居たいと願う帰り道空けた左手うしろに隠した

上田西高等学校3年

遠山 こころ


オレンジの太陽しずむ夕方に鳥がとんでるこの空が好き

長野県小諸高等学校2年

田中 莉奈


コロナ禍で校歌歌えず早三年覚えられずに迎える卒業

静岡県立小笠高等学校3年

志賀 エリック


生活を壊したコロナ後遺症ただの進級切実に願う

愛知県立瑞陵高等学校2年

鎌倉 朱里


発表会頑張ってねのお守りをいまだに捨てることができない

光ヶ丘女子高等学校2年

岩﨑 彩永


おそろしいくらい眩しい朝焼けがまだ終わらない課題を照らす

高田中学校3年

櫻井 つむぎ


デビュー戦母の手書きのゼッケンは負ける前から滲んでいたよ

津市立南郊中学校1年

杉村 実咲


茶道部の大事な所作が出来ぬ今悔しさの味抹茶より濃い

三重県立紀南高等学校2年

西 萌々子


寝たきりの祖母からもらう千円は祖母の鞄に入れた千円

三重県立紀南高等学校2年

渡部 遊馬


スマホ脳なにがなんでも手が伸びる勉強合間の安定剤に

三重県立木本高等学校3年

笹本 琵也真


人によりコロコロ変わる私の背友にはしゃがみ彼には背のび

滋賀県立彦根翔西館高等学校3年

舛中 暖佳


脱げかけの靴下みたいにもどかしい少し残ったままの敬語は

大阪大学3年

小池 弘実


負けちゃった悔しい気持ち吐きだしてやきそばパンを食べる俺達

京都市立加茂川中学校2年

助野 悠貴


懐かしい祖母の思い出語りつつ折り紙で折る睡蓮の花

京都西山高等学校1年

鈴木 陽菜


寝言でも「いらっしゃいませー」と叫ぶ姉「ポテト一箱!」答える私

京都西山高等学校3年

橋本 和沙


バスの中ほんの少しの優越感周りは携帯私は読書

大阪信愛学院中学校3年

乾 育瞳


腕相撲もう勝てるかと挑む僕父はまだまだ強敵だった

四天王寺東高等学校1年

森安 知輝


制服が自由化なのもいいけれど指定の方が実は楽かも

播磨町立播磨南中学校2年

安村 倖


夏休みもうすぐ終わるそれならば食べてしまおうカレンダーごと

兵庫県立神戸聴覚特別支援学校 中学部2年

松村 沙紀


八月よこの世界から弾薬をすべて集めて花火にしたい

ハートランドしぎさん看護専門学校1年

矢邊 龍佳


家族さえ分からなかった我が長所一体誰が分かるんだろう

鳥取県立日野高等学校3年

眞住居 昊輝


アバターに嘘の自分を映し出すなんでも出来て少しさみしい

広島学院中学校1年

木下 嘉人


機械科は一つのミスも許さない一つ一つに魂込めて

広島県立広島工業高等学校1年

園田 直緒


帯を締め高鳴る気持ちを胸に秘め一歩ふみ出す格技場かな

福山市立福山中学校1年

加藤 沙奈


友達と話しているとき何となくあの子の口癖使ってみたり

山口県立高森高等学校3年

鶴原 紘太


面接の緊張ほぐれずあせる僕すこし上ずる「失礼します」

阿南工業高等専門学校1年

鎌田 彦太


AIにレポート書かせAIにバレてしまったAI社会

阿南工業高等専門学校3年

宮下 夏澄


霧雨に前照灯が弾かれてフロントガラスに幾千の星

香川県立視覚支援学校2年

木村 心音


部活後臭い部活着ぬぎ捨ててそのまま寝るが許さない母

香川県立津田高等学校2年

橋本 梨沙


帰り道パピコを一つ友とわけ陽炎みえる駅へと向かう

香川県立津田高等学校3年

新田 瑞希


ガラス越し祖父と話せた二十分アルコール綿と穏やかな顔

博多女子中学校2年

平松 明香里


一本のXかYそれだけで狭まる私狭まる未来

東筑紫学園高等学校1年

葛城 澪


不自由な私の半分補って助けてくれる皆の優しさ

福岡県立小倉高等学校3年

石田 華蓮


笑み浮かぶあなたの瞳優しくてあわせてた目を少しそらした

佐世保市立日野中学校2年

冨田 彩貴


夏祭り色とりどりの花火たちまるで母の弁当のよう

長崎県立上五島高等学校3年

尾上 一笑


画面から助けを求める人々に何かすること無いのだろうか

長崎女子高等学校1年

峰 春花


伯父さんに敬語使うと距離遠く昔のように話したいのに

鹿児島県立大島高等学校1年

田原 純


島育ち部活宿題台風と釣りに行けない十六の夏

鹿児島県立大島高等学校1年

谷仲 遊


ぬけがらを見つけて気付くせみたちの青春が今始まっている

鹿児島市立坂元中学校2年

上園 絢美


LINEとかなかった時代に生まれたい次こそあなたに直接告おう

沖縄県立名護高等学校3年

古波藏 柚結


入学式まだしわのないワイシャツに身を包む君強ばった顔

慶應義塾ニューヨーク学院(高等部)10年(高校1年)

田中 日和子


東雲に急な着信蘇るプラス八一私の故郷

慶應義塾ニューヨーク学院(高等部)(高校3年)

田村 文乃


【小学生の部】

上見ると雲が大きい真っ白だ黒い雲きたああぬれちゃった

CGKインターナショナルスクール3年

ブルックス フィオナ


なつやすみみんなバイバイさみしいなおうちでふたりがっこうごっこ

横浜市立十日市場小学校1年

饗庭 愛唯


いちごはねあまくてかわいい赤いたねほっぺがおちるおいしいダイヤ

横浜市立長津田第二小学校2年

土志田 栞花


広い空青くすんでてきれいだなまるで大空に海があるよう

長岡市立越路小学校6年

落合 研太


アルバムを見ていて思う「変わったな」自分も町も身近な人も

長岡市立越路小学校6年

細川 彩羽


かなえたいしょう来のゆめパティシエだおかしとえがおおいしく作る

堺市立東百舌鳥小学校4年

江口 莉央


お母さん帰るのおそいそのかわりお米をたいて帰りを待とう

堺市立東百舌鳥小学校4年

長久 紗空


夏休み線香花火赤い火にきれいとみとれ時はすぎゆく

那覇市立石嶺小学校6年

知念 奈桜


高く飛ぶフリースローを決めたとき友と喜び舞い上がったり

那覇市立銘苅小学校6年

神里 真央


たん生日八さいになるプレゼントバイオリンひくぼくのみらい

ワシントン日本語学校2年

松下 誠至


【日本語学校・海外協定校で学ぶ学生の優秀作品】

中日の言葉こんなにちがうとも愛という語の発音同じ

双葉外語学校2年

洪依蕊


ラベル付けいっぱいになり東京も慣れてきたよねグーグルマップ

国書日本語学校2年

ウ ニタイ


十二月良いお年をと言ったけどまた会いたいと君に言えない

シーナカリンウィロート大学3年

ワーワー インタワォン