応募総数58,839首の中から選ばれた入選作品をここに発表します。たくさんのご応募ありがとうございました。
学校全体で「現代学生百人一首」に取り組まれ、多数の優れた作品を応募いただいた学校に贈呈する「学校特別賞」は以下の5校に決定いたしました。
・福島県立平工業高等学校(福島県)
・埼玉県立坂戸西高等学校(埼玉県)
・千葉商科大学付属高等学校(千葉県)
・専修大学附属高等学校(東京都)
・佐世保市立愛宕中学校(長崎県)
▼第38回 応募作品を振り返って
応募作品全体としては、コロナ収束後の「日常」に戻った開放感や喜びが多く詠まれました。
恋愛に関する歌も多く寄せられ、特に気になる相手とのSNSでのやりとりを題材とする歌が多くありました。
新たに詠まれるようになった「BeReal.(ビーリアル)」というアプリは、通知から2分以内の写真投稿が推奨されており、SNSに追い立てられるような日常も垣間見えました。日常生活の中ではスマホを手放せない一方で、自然や故郷の風景への感動を表現した歌も見られました。
猛暑のつらさについても多く題材となり、対策のため男性も日傘を活用している歌なども寄せられました。
社会や政治、自然災害への関心も高く、能登半島地震や新紙幣、米不足、クマの出没などが題材となりました。閉塞感を感じるような社会問題も、若者らしい視点で鋭く捉え、軽妙に題材としています。
多様性についても深く考え、模索している様子が見受けられました。
また、ここ数年でAIが身近なものとなったことで、生成AIの使用を疑われることへの戸惑いを詠んだ歌も散見されました。
▼入選作品(作品は都道府県別に北から並んでいます。学校名・学年・作者は発表時の情報です。)
帰り道いつもと違う道通り狐に追われ全力疾走
旭川明成高等学校2年
齊藤 美羽
「おかえり」と返したことはないけれどアニメ見て待つ父の「ただいま」
北星学園女子中学校 2年
織本 夏歌
息潜め一音すらも逃さない歌詠まれれば畳舞う札
北海道函館西高等学校3年
髙田 玲奈
半袖の時は過ぎ去り長袖に今年も来るか雪虫たちよ
北海道美唄聖華高等学校3年
畑中 友里
急上昇熊の出没秋田県ご先祖様に会いに行けない
秋田県立秋田北高等学校1年
澤井 愛夏
勇気出し君に伝えた二文字が八号玉にかき消されてく
秋田県立秋田北高等学校1年
船木 爽羽
おばあちゃんJKよりも略語使う「け」の一文字の意味は膨大
秋田県立秋田北高等学校1年
渡部 栞
大雨の爪痕残る僕の街静かに照らすお盆の灯り
山形県立酒田西高等学校定時制3年
佐藤 陽菜
ガザの記事弟と同じ年の子が瓦礫の中で今ふるえてる
山形県立致道館高等学校3年
犬塚 真里
聞き上手それが介護の始まりと知るは実習傾ける耳
山形県立山辺高等学校1年
菊地 祐芽
足技で相手を抜き去りクロスあげ仲間が合わせ一点決めた
郡山市立郡山第六中学校2年
熊田 來生
実習着夏服忘れ冬服で先生一言暑くないのか
福島県立平工業高等学校2年
渡辺 将斗
「また明日」手を振る友の横彼氏一昨日までの私の居場所
常総学院高等学校2年
櫻井 翠月
教室で飛び交う単語受験生今日も始まる早押しクイズ
東洋大学附属牛久高等学校3年
遠藤 絵日
好きですと告ってみると既読つき返信まさかのごめんスタンプ
栃木県立宇都宮白楊高等学校1年
古屋 亮
おどろいた近所のおじさんバズってる今はだれでもインフルエンサー
栃木県立宇都宮東高等学校3年
中新井 千愛
ツーショットSNSを口実に一枚きりが何枚もある
秋草学園高等学校2年
山際 志摩子
テスト中解ける問題無さすぎて止まらぬ手汗動かぬペン先
上尾市立西中学校2年
佐伯 舞衣
スッスッハッ後ろに感じる息遣い抜かれたくない最後の直線
埼玉県立越谷南高等学校1年
東江 咲良
ぼろぼろになるはずだった参考書ぴかぴかなのは私の甘え
埼玉県立越谷南高等学校2年
土居 みりあ
街灯が照らす夜道を帰宅するこの瞬間(とき)だけは私のランウェイ
埼玉県立坂戸西高等学校2年
安藤 美里
コロナ禍で行き先変わった修学旅行次は物価で一泊減った
埼玉県立坂戸西高等学校2年
三関 真由
夏休み帰省をしたらいつのまに小さくなったばあちゃんと家
埼玉県立坂戸西高等学校3年
松田 煌貴
秋になり食べれぬ新米待ち侘びるスーパー行っても収穫はなし
埼玉県立松山女子高等学校1年
斎藤 小春
涙して別れた友と再会し制服違えど仲は変わらず
埼玉県立松山女子高等学校1年
林 里美
友達の恋愛応援してるけど実は私もアイツが好きだ
埼玉県立吉川美南高等学校3年
矢作 夏音
携帯で小説を読み笑う友共に笑った作者の私
敬愛大学八日市場高等学校1年
江ヶ﨑 駿希
日曜日たまには母の手伝いを不器用息子の焦げた唐揚げ
芝浦工業大学柏中学校3年
穴澤 澪
はじめての後輩入ってくるかなと心のドキドキ太鼓にのせる
専修大学松戸中学校2年
武田 真泉
ビーリアルみんな追われる2分間今日も昨日も真っ黒リアル
千葉敬愛高等学校2年
石毛 佑京
合宿前ガラガラと笑うキャリーケース僕の心は笑ってないのに
千葉県立千葉商業高等学校1年
田中 颯月
暑いよと鳴くキョンの声うるさいなそう言いさけぶ父もうるさい
大島町立第二中学校2年
篠﨑 日希
新紙幣ホログラムの技見つめてる歴史の偉人新しい顔
大田区立大森第四中学校3年
三戸 葵
また来たか毎年起こる異常気象100年に一度もう顔見知り
開智日本橋学園高等学校1年
根岸 佑帆
スマホ越し打ち上げ花火は「映え」のためレンズの先は知らないままで
開智日本橋学園中学校1年
林 和佳
再放送分散登校ロックダウンどれも私の一つの青春
共立女子中学校2年
二見 心愛
冷房を自然と低くしてしまうサステナブルに貢献できない
慶應義塾中等部1年
山田 修資
カーテンの隙間からみる木の枝も僕と同じで暇人なのか
慶應義塾中等部3年
三治 信道
周りから双子だからと比べられうんざりしてるあなたと私
京華商業高等学校3年
石黒 美緒
決勝戦解けた帯をぎゅっと締めこの三分に全てを懸ける
江東区立東陽中学校2年
和栗 羚
外国人迷わずかごに入れていく横目に私は値札と葛藤
駒込高等学校1年
篠田 真緒
お会計五歳の弟「ペイペイで」この時感じた時代の流れ
桜丘中学校1年
横溝 竜空
たらちねの父もありうる世の中で配慮できるか不安に思う
品川区立伊藤学園9年
本多 悠人
鉄道は定刻通り当たり前このありがたさいつ気づくのか
昭和鉄道高等学校2年
小島 あかり
褒められる自分の知らない良いところ長所の欄に堂々と書く
専修大学附属高等学校3年
田村 将真
「これAI?」ちゃんとやっても疑われヒトの証拠を探し求める
中央大学高等学校3年
藤井 咲希
お母さんライン来る度聞かないで彼氏できたらちゃんと言うから
東京学芸大学附属小金井中学校2年
樋口 綾華
火葬前最後にのぞいた父の顔涙と笑顔で「幸せでした」
東京都立大泉桜高等学校3年
一関 比奈子
授業中丸まる背中増えるたび切なく下がる先生の眉
東京都立片倉高等学校3年
瀧澤 里桜
「高校生」慣れない響きにはにかんでそっと制服着崩してみる
東京都立新宿高等学校1年
日形井 花菜
素数たち唯一無二のユニークさ分解できぬ個性爆発
東京理科大学3年
辻 晟樹
トーク画面一番上はいつも君そこは誰にも譲らないでね
東洋大学4年
谷内 せいな
「あーはやく引退したい」と言う日々は未来の僕が戻りたい日々
早稲田大学高等学院3年
厚地 隆玖
ビル風と新居の匂いが問うてくる「一人で生きる覚悟はあるか。」
早稲田大学高等学院3年
工藤 壮馬
ただいまと言ったら母がおかえりも言わずに聞いたテスト何点
厚木市立相川中学校2年
小井手 姫菜
手の甲に書かれた予定を石けんの力を借りつつ消すテスト前
神奈川県立光陵高等学校1年
柳原 萌々子
分かれ道どこに進むのが正解か鏡にうつる君に問いたい
神奈川県立鶴見高等学校3年
有賀 凛
街行けば男も日傘差し始め日照りが溶かす壁一つあり
神奈川大学附属高等学校2年
田中 利奈
「可愛いすぎ!」写真の少女は良い笑顔その子本当に人間なのかな?
神奈川大学附属中学校1年
伊丹 咲和
祖母は言う女の子だから手伝って理解されない令和の教え
鎌倉女学院高等学校2年
井元 麻衣
ぶつかれば速度失う喧嘩独楽静かなものが最後に残る
慶應義塾大学2年
石川 胡桃
自販機のジュース値上がり三十円僕の財布は経済破綻
慶應義塾普通部1年
田岡 耕
眠くても雨が降っても学校へ足が向かうの何故だろう
慶應義塾普通部2年
梅沢 孝之助
「三十度」じゃあ涼しいねちょっと待て五十年後を心配した日
中央大学附属横浜高等学校1年
太田 朋花
デジタル化年々減ってく年賀状友の丸字はゴシック体に
中央大学附属横浜高等学校1年
金岡 愛紗
AIに平和の解を求めたら停戦の日は見えるだろうか
東京学館新潟高等学校1年
本田 杏
母さんの出勤早い日父さんはパジャマで甘い卵焼き作る
東京学館新潟高等学校2年
大野 優奈
一時間百年めぐる時の旅何倍速だ歴史の授業
新潟県立直江津中等教育学校2年
山岸 幸乃進
ニュース見て終わらぬ復旧続く豪雨(あめ)正月に地震もう半年か
石川県立松任高等学校3年
角谷 大和
兄巣立ち父の肩身が狭くなる我が家で起こる政権交代
伊那西高等学校3年
小林 ここね
「夢を持て」と言われ続けて十七年「現実見ろ」と言われる面談
伊那西高等学校3年
城倉 莉子
秋空に染まり染まりて帰りゆくハクセキレイの先へ行きたい
長野市立長野高等学校2年
渡邉 愛菜
心臓の音が聞こえる本番前強くにぎった私の楽器
いなべ市立北勢中学校2年
近藤 結愛
それ食べるまでは死ねないねと笑うあなたを千歳まで生かしたい
大阪大学4年
小池 ひろみ
古の十六歳も行ったかな彼女のいない祇園祭りに
京都西山高等学校2年
出原 主税
友達と急なハモリで笑い合うこの日常を忘れたくない
茨木市立東中学校2年
橋井 彩乃
ポッキリとシャープペンシル折れる芯がんばったんだ今日はもういい
大阪市立昭和中学校2年
大間 慧
「若いから」お世話になった免罪符有効期限残りわずかに
関西医科大学2年
舂井 遥名
朝起きて枕の匂いが変わってるいよいよ僕もパパの匂いが
関西創価中学校3年
今川 勝利
就活に疲れて駅でひと休み夕暮れの街が僕を助ける
関西大学大学院1年
藤井 明都
授業中自習になると動物園先生が来て静まり返る
四天王寺東中学校1年
遠藤 悠文
「就職は大手」と親は言うけれど僕の本音はスタートアップ
大阪大学3年
中川 しんたろう
たましいがぶつかるような喧嘩して母から生まれた不思議を思う
同志社大学1年
青木 日向子
白衣着て命の重み感じつつ夢見る先は患者の笑顔
ハートランドしぎさん看護専門学校3年
藤田 澪奈
無茶言うな高校までは出るな杭大学からは杭よ出過ぎろ
島根大学4年
石倉 愛実
夏祭り序盤の花火に背を向けて音で楽しむ満員電車
岡山県立井原高等学校2年
武内 いすづ
服装も授業も席も自分次第自由はこんなに重かったのか
岡山大学1年
岩松 香弥
こんにちは言ったけれどもイヤホンで聞こえていない時代の流れ
広島県立安芸府中高等学校2年
三瓶 花林
建築科一つのミスが命取り何度も何度も納得するまで
広島県立広島工業高等学校3年
甲斐 好誠
黙祷を捧げる朝の今日(こんにち)も世界のどこか戦争中だ
福山市立松永中学校1年
岩西 にこ
五分だけ気づけば短針一回りスワイプ続ける右の親指
阿南工業高等専門学校1年
橋本 憩
弟に身長抜かれ悲しんだまてまてあいつまだ中二やで
香川県立津田高等学校2年
鴻池 彩寧
お小遣い欲しくて祖母に電話する断る速度詐欺防止並
愛媛県立宇和島東高等学校定時制4年
永木 奏
裏垢(うらあか)と本垢(ほんあか)の違いなんだろう自分探しと友達探し
福岡県立三池高等学校1年
久保 杏菜
バチバチとご先祖見送る爆竹でまた来年と告げる盆の夜
佐世保市立愛宕中学校2年
今村 莉桜
空港の心躍るはアナウンス到着地点の天候は晴れ
鹿児島県立大島高等学校2年
若松 ほのか
オンライン遠くの国の先生に英語で話す夏の思い出
鹿児島市立坂元中学校1年
森 幹太
夏空に白球あがる頭上にてセカンドフライ俺のものだぜ
那覇市立石嶺中学校2年
伊志嶺 健太
部活動日々の努力を積み重ねやっと掴んだピンチサーバー
那覇市立安岡中学校2年
大泊 優斗
夜に聞く「行ってらっしゃい」母の声父は出勤時差約半日
慶應義塾ニューヨーク学院(高等部)12 年
郷治 利彩
【小学生の部】
家建てる空中の家二階建て無限の世界マインクラフト
石岡市立柿岡小学校5年
飯村 光
南海の揺れの予兆に胸騒ぎニュースの文字に目が離せない
コロンビアインターナショナルスクール6年
大木 瑚子
親はなぜ一人の子どもにきたいして応えれるかなプレッシャーだよ
コロンビアインターナショナルスクール6年
野口 桜子
食べたいなチーズとけてるグラタンがああおいしそうパクパクペロリ
横浜市立都筑小学校3年
松本 莉奈
夜の空バンとはじけた大花火その一瞬で気持ちが晴れる
長岡市立越路小学校6年
江口 葵
学校の推しのうさぎはねむそうでその顔見ると幸せになる
長岡市立越路小学校6年
丸山 紗奈
最終日焦る心で鉛筆が走るノートに夏が過ぎてく
長岡市立越路小学校6年
水澤 菜琉
オノマトペ聞けば聞くほど楽しいな時間忘れる言葉の世界
堺市立東百舌鳥小学校5年
北口 修丞
たべものがアチコーコーでさますまでひまだったけれどおいしすぎたよ
那覇市立城北小学校5年
新里 研人
天気図の台風にらむ父の顔今年も雨がわんさかとふる
那覇市立城北小学校4年
仲宗根 銀
【日本語学校・海外協定校で学ぶ学生の優秀作品】
うちは何?住むだけじゃない愛をうけ失敗しても帰れるところ
双葉外語学校2年
グエン ミン ヒュン
今朝起きて朝ご飯買う豚焼きともち米を食べ勉強をする
シーナカリンウィロート大学3年
ヌッワラー パンウドム