人は幸せを目指す。
幸せとは、快い状態、安定した状態、豊かな状態に
満たされること。
すなわち幸せとは、自分の環境に秩序を構築することと言える。
幸せは、自分にとっての秩序である。
無秩序であったら、煩雑混乱を生む。
効率は悪くなり、無駄や無理が生まれる。
その中で、どうして快さを感じることが出来るだろうか。
落ち着かず、自分が今、豊かなのかどうか、
それさえわからない。
しかし、秩序に完全はない。
環境が整っていたら、今、何が足りないかわかる。
何が障害かわかる。
次にどこを目指すかがわかる。
秩序はいつも、バランスの微妙さを明らかにするが、
秩序に完全はない。
そして、秩序には完成もない
さらに快くなるために、安定するために、豊かになるために、
さらに回りの環境に、秩序を求める。
自分が幸せになれば、回りも幸せになる。
やがて社会に、世界に、人類に、生命に幸せが広がっていく。
秩序は進化で、完成はない。
哲士は、秩序を求める。
哲士は、大きな道理に従う。
しかし世の中には、無知な者や無謀な者、邪悪な者がいる。
彼らは、秩序構築の邪魔をする。
彼らは、感情の赴くまま動く。
彼らは、欲求の衝動で動く。
彼らは、刹那の快楽に満足している。
彼らは、自分の秩序しか考えていない。
彼らは、明日の幸せを望んでいない。
彼らと、真っ向から戦うことは得策ではない。
彼らに何を説いても、聞く耳を持たない。
しかし、彼らも憎んだり、恨んだりしてはいけない。
彼らも、大きな道理の中にいるのだ。
秩序に完全はない。
ありもしない秩序の完全に、固執してはいけない。
人は、戦士だ。
環境に、戦いを挑む。
環境を変えるために、戦うと述べた。
それは生き延びるために。
環境より、生を守るために。
そして、さらにより良く生きるために。
環境を変えるとは、秩序を構築すると言うこと。
しかし環境も、自ら変わろうとする。
環境が変われば、構築された秩序は現状に合わなくなる。
効率が悪くなり、劣化する。
メンテナンスが必要になり、
やがて、嫌でも変わらざるを得なくなる。
秩序は、変わり続けなければならない。
秩序の構築を邪魔する者は、試練を与える者。
変化への技術を、鍛えてくれる者。
変わり続けなければならない秩序に、その固執を絶ち、
次の秩序を、指し示してくれる者だ。
そう思えばよい。
自分の身の丈に合った秩序を指し示してくれる。
自分にとっての秩序を指し示してくれる。
自分の幸せを指し示してくれる。
そう思えばよい。
秩序に完全はないように、幸福にも完全はない。
秩序に完成はないように、幸福にも完成はない。
秩序が進化するように、幸福も進化する。
ただし、進化を急いではいけない。
無理な変化は、進化ではない。
大きな道理に従い、なるようになる。
なるように導くのが、秩序だ。
『哲士は、融通無碍(ゆうずうむげ)、
秩序を目指し、
しかし変化を恐れない』