Klein et al. (担当:紀ノ定)
Post date: Feb 25, 2013 10:07:18 PM
Low Hopes, High Expectations: Expectancy Effects and the Replicability of Behavioral Experiments
当日の議論と感想
(1)実験中にメインの指標とは別に、生理指標や眼球運動などを計測している場合、仮説を支持する結果が得られなかったら、「計測していたという事実」自体を報告しなくても良いか?
- 絶対にダメ! なぜなら、機器を装着することだけでも、我々の行動に影響があるから。例えば、「心拍を測定するだけで信頼ゲームにおいて分配行動が増える」という知見もある。
- 仮説を支持しなかった理指標の結果すべてを載せることは、確かに冗長。少なくとも1つ2つの結果は載せ、「生理指標では仮説が支持されなかった」と報告しておいた方が良い。
(2)要求特性に対する実践的な対策として「要求特性の影響を測定し統制する」とあるが、手間を考えると実践的でないのでは?
- 紀ノ定の感想としては、恐らく要求特性に対する対処方略の中で「手間はかかるが効果が見込める方法」として紹介したのではないかと思います。また、レジュメでは紙面の都合上割愛しましたが、論文中には要求特性の影響を測定する方法がいくつか提案されています(例えば、プラシーボ効果に相当する水準をデザインに組み込むなど)。
(3)「知覚―行動リンク」は、プライミング効果のメカニズムとしては恐らく正しい。ただし、プライムの知覚によって対応する行動の概念が活性化するというところまでは納得できるが、実際に行動が表出されるということは「出来過ぎ」に思われていた。elderly primeの実験を再現できなかったことは、驚くべきことではなかった。
(4)結論:お膳立てが必要な研究は、お膳立て内容を適切に報告すべき。
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