教室紹介
教授 松田晋哉
低経済成長下における少子高齢化の進行は我が国の社会保障制度に変革を求めています。実質的に現役世代から高齢者への所得移転に依拠している我が国の社会保障制度が現状のままで持続可能であると考える人は少ないでしょう。また、労働力不足により、我が国においても外国人雇用が本格的に進みつつあります。こうした社会環境の変化の中で、活力ある高齢社会を実現するための総合的な取り組みが求められています。
公衆衛生学はこれらの課題にこたえるために、健康の視点から社会のあり方を総合的に考えようという学問領域です。我が国では、公衆衛生学が医療関連学部における卒前教育の中で主に行われていますが、国際的には医学や看護学だけでなく、社会学や法学、経済学、心理学などの社会科学系の学問領域に加えて情報科学や工学などの理数系の学問領域を合わせた学際領域として主に大学院教育で行われ、しかも多くの学生を集めています。なぜならば、体制や経済状況を問わず、いずれの国においても健康政策やその基礎となる社会保障政策、労働政策が最重要の課題だからです。
こうした広い学問分野である公衆衛生学に多くの方が関心を持っていただければと思います。
私たちの取り組み
研究・事業
当教室の主な研究領域は社会保障制度と産業保健です。
情報科学、疫学、統計学の分析技術を用いて、医療・介護レセプトや産業保健領域のビッグデータを解析することを得意領域としています。また、英語、フランス語、ドイツ語、中国語、韓国語などの多言語にも対応可能なスタッフを有しており、社会保障制度の国際比較分析も積極的に行っています。アクティブに各分野の研究を行っており、その成果の多くは国や地方自治体の公衆衛生行政にも採用されています。業績紹介や個々の研究者のResearch mapなどを確認していただければと思います。
卒前教育
公衆衛生全般の講義に加え、医療や介護、福祉の現場での実習、および関連データの分析実習を行い「社会を見る目」を持つ医学生の育成に努めています。大学院生の教育も同様の方針で、確かな分析技術と公衆衛生学マインドを持った専門職の育成を行っています。
セミナー
当教室の有する分析技術を広く社会に還元するために、種々のセミナーも行っています。適宜当サイトに情報提供されますので、関心のある方は参加していただければと思います。