ピロロ岳

(西広尾川のピロロ岳南東面沢往復)

ピロロ岳

○1996年7月19日

○L大山 中澤 西本(男2名女1名)

○コースタイム

04:15 旧JR広尾駅

04:45 幹線林道車止め

05=30 再び車止め発

06:50 Co440m二股

09:45 薮漕ぎ開始

10:05 稜線(Co1200m付近)

10:15 ピロロ岳頂上(P1269m)

11:05 〃 発

14:35 Co440m二股

15:35 車止め

地図上には記載されてないが、広尾岳と楽古岳の間にある1269mのピーク。それがピロロ岳である(北大山岳部文献)。

小さいながらも立派な南部日高の国境主稜線であるこの山に、今回労山初登頂を試みた。

当初、広尾岳へ登る中広尾川の沢の案もあったが、未知の沢から未知のピークヘということで西広尾川よりピロロの南東面直登沢を遡行する二とに決定。南部日高の開拓に燃えるジモティー0氏がリーダーとなる。

N2名は帯広を早朝にたち・4時過ぎに旧広尾駅で0氏と合流。

車は駅裏手からすぐさま山へと入っていく。アプローチの短さが素晴しい。30分で車止め着。地図上の林道終点だ(林道は伸びているが、ここから先は車で行けない)。

まだ先へ伸びている林道を沢靴でガシガシ進む。行き過ぎる。取り付き点を探して地図を眺めつつ「ここか?」と、とんでもない小沢へ踏み込み・いきなり薮漕ぎ。……おかしい……。どうやら、Co695m稜線へあがる右股沢に入っようだ。

結局車止めまでもどって、すぐ右岸が取り付き点であることが判明。ちゃんとした沢であった。

気を取り直して再出発。川幅も水量もたいしたことなく、変化の乏しい川原歩きが続く。

Co410m付近に滝状の落差が一ヶ所。途中、林のなかであきらかに他の大型動物が通った跡があり、一同思わず吠える。

Co440m二股を過ぎ、Co500m位からようやく傾斜のある遡行となり、川幅も狭まってナメや階段状の小滝があらわれ、0氏喜びの声をあげる。

しかし沢としてのスケールは非常に小さく、いずれもひょいひょいと乗り越えられるものばかりである。

シャワークライムなどしたことのないNは積極的にしぶきのそばを登り、ささやかな充実感を得る。

高さや足場など不安なくとり付けるので、初心者の足馴らしに向いている。

しかし、結構石がヌメヌメしており、冷汗をかくこともあった。

初めは楽しんでいた沢型もあまりの単調さに飽きてくる。

ピロロの東側の稜線に出ることを意識して、水量の多いほうの沢を選びつつ進む。いよいよ沢の終わりか、という最後の二股を右に入り、お猿のように灌木をつかんで岩場をよじ登ると笹ブッシュが現われた。あいにくのガスでいったいどれくらい続くのか皆目検討がつかない。

顔まである密生した笹の急斜面をかきわけ、ダケカンバに赤布をつけつつ進む。苦しい。

しかし、ハイマツの出現と共に20分程で稜線へ出てしまう。

半信半疑で5m程左手のハイマツを乗っ越すと踏み跡が!

ガスが晴れてくる。ピークであった。

一同驚きにつつまれながらバンザイを叫ぶ。ガスはどんどん晴れ、広尾岳が見え、稜線の連なりが見え、やっぱりピークであることを確信する。

楽古岳までは眺められなかったのが残念であった。

ピークでしばしのんびりし、記念の赤布を残して下山。下りは広尾岳が真正面に望まれ、沢筋も見渡すことができる。

最上部のナメた岩場をダブルロープで一息に下る。

といってもザイル必須の沢ではない、というのが結論で、初心者沢練にどうかという意見も出る。しかし、ヌメる下りには結構、緊張を強いられる。黙々と下る。

途中、ウド採りに精を出す0氏。

その直後、ウドをたらふく食したらしい熊糞出現、吠える一同。しかし痕跡はそれきりであった。

滑り台など楽しみつつ(安全には注意しましょう)ひたすら下山。

ようやくCo440m二股着。泳ぐ一同。しかしここら辺りから水が冷たくなってしまった。

ここでさらにフキを採る0氏。川原を下りつつ、「16時には着かないなあ」と話していたが、途中で沢沿いの作業道に入ることに成功!(地図にある「西広尾川」のr広」と「尾」の字の聞付近から作業道あり)。植林地の刈り分け道を行進し、林道へ出る。

車止めの少し上であった。う~ん

なかなか恵まれた沢行である。よし、明日は札内9の沢だあっ……と怒涛の沢練をこなすNの明日はどっちだ!!

(茶房多種No、217 記録・西本)