ヤオロマップ岳
(ヤオロマッブ川左股沢~コイカク沢)
○1994年8月16日~17日
○L宇野 大山(男2名)
○コースタイム
16日曇り時々小雨
05:05 帯広
06:40 歴舟川林道車止め(Co361m)
07:55 上滝沢出合林道終点(Co380m)
09:05 キムクシュ沢出合(Co410m)
09:55 核心部のゴルジュ(Co440m)
10:30 高巻きから沢に降りる
11:35 中二股(Co530m)(主稜線Cot469mからの沢)
12:45 上二股(Co610m)C1(右沢と左沢の二股)
17日曇り朝のうち雨
05:50 C1
06:50 Co751m
O7:35~08:25 Co1046m
10:50 ヤオロマップ岳頂上(PI794m)
11:45 〃 発
13:45 コイカク頂上(P1721m)
17:10 札内ヒュッテで館山さんと合流
18:15 コイカク沢出合
20:30 帯広
○食料計画
16日夕 ジンギスカンごはん
17日朝 野菜力ぞうすい
夕 マーボ春雨五目すし
18日朝 力ラーメン
ヤオロ、中ノ岳、ヌピナイ。“険阻な函"と“青い淵"。歴舟の沢に入ってみたかった。
でも、オイラには大したカがなく、もっとも易しいヤオロ本流に向かう。
朝、いきなりの雨。昨日に続き天気予報は大外れだ。元更別の牧場が近づく頃には、ワイパーなしでは走れない。「宇野さん。どうしましょうか」気が重い。
旭川労山の今村さんからは、「増水のおそれがあるときは絶対に入渓しないこと」と言われていた。「キムクシュベツの出合と核心部を見てくるベや。雨が強くなったら終わりだ」と、カッパを着ながら宇野さんが歩き始める。
林道はCo361mで通行止めになっている。
歴舟は、トッタや札内に比べ川幅が狭く谷が深い。林道終点(上滝沢出合)につくと雨は上がったが、林道は高かった。
引き返すのは面倒だと、アップザイレン 1ピッチ。これが苦労した。投げたザイルが太い枝に引っかかり、川まで垂らすのにえらい目にあった。
キムクシュ沢までは、丸くなった大きな岩の縁を歩いたり、のっこしたりで河原歩きはほとんどない。
それにしても、こんな大きい岩を見たのは初めてだ。家一軒分くらいのもある。
キムクシュ沢出合からは、へそまでつかる渡渉が始まり、まもなく核心部のL字状の函が出た。5mほどの狭い函の中をものすごい勢いで水が流れている。どうしょうもない。
宇野さんトップで左岸の草付き帯を巻く。かすかな踏み跡があり、10m斜上すると捨て縄があった。
草付きの上部は緩やかな樹林帯となっており、すぐには沢に降りれそうもないのでこの中を進む。いい加減、林の中を歩くのがいやになった頃、沢に降りる。ザイル出しの必要はなかった。
上二股までは函があったり、広く単調な河原があったり、ぐんぐん快調に飛ばした。
上二股についた頃からまた雨。13時過ぎにテン張り飲み出す。
ヌビナイに入っている三浦・穂づパーティの心配はどこへやら、酔っぱらってしまった。
夜、粒の大きい雨。フライなしのテントからぼたぼた滴が落ちる。寝ぐらは水面から30cmほど高い所にしか張れなかったので、増水が気になる。
何回か起きてランプを照らす。宇野おじさんは、ぐ一すか寝ていた。
朝、ぴっちゃになったシュラフカバーの中で目を覚ます。雨だ。計画では2日目に左沢を往復し、3日目に右沢をつめる予定だった。
10cmほど増水した川を見つめながら、左沢のみアタックとする。
昨日と同じく問題になる所はない。飛ばす。
Co1046mで水を補給し、左のガレ沢へ。
Co1400mから150mほどの快適なナメ滝が現れ、その後はブッシュもなく主稜線へ。
日高側からの強い西風が心地よい。ヤオロの上だけぽっかり青い。思いつきり深呼吸。
頂上は我らのパーティーだけだ。
ヤオロピークでテントを干す。「今晩も濡れたカバーで寝るのはイヤだ。酒もない
のはもっとイヤダ。イヤダ」と2人の意見が一致。すぐにCQを出す。
1回目ですぐ元会員の山本さんが受信してくれた。山本さんから有線で館山さんに連絡がつき、4時にコイカク沢まで、迎えに来てくれることになる。なんてラッキーなんだろう、
仲間っていいな、と2人とも更に目が熱くなり、コイカクに向けて走り出した。
いつまでたっても大名山行気分が抜けきらない。いけない、いけない。
(茶房多種No.194記録・大山)