狩振山~双珠別岳

狩振岳(上トマムからの尾根往復)

○ 1996年4月28日

○ L太田 部田

○ コースタイム

07:55 車止め

10:05 稜線

11:00~12:00 狩振岳頂上(P1323m)

13:05 車止め

笠松(男1名女2名)

晴れ

6時に事務所を発ち帯広新得線を走る。

かなり濃い霧の中、一昨日、釧路空港での航空機事故もこんな霧だったのだろうかと話しながら進む。

予報はいい天気と云っているが一抹の不安はある。でもきっと山の天気は大丈夫だろう。

昔から「朝雨、朝霧、……という諺があるのだから」と、口まで出かかったが、慌てて言葉を飲み込む。

今日の同行者は私以外は女性が2人なのだから。

次第に霧も晴れ、予定よりも早く上トマムに入る。

慎重に登山口を確認して車を置く。

数日来の暖気で雪は腐り、牧場も雪解けが進み枯れ草が顔を出している。

要所に残されたテープを参考にしながらCo766mの裾から尾根を目指す。

どれくらい前に入ったのだろうか、スキーの跡やもっと新しそうな壷足の跡も残されている。

気温はますます上昇し、上半身は肌着一枚の腕捲り状態で進む。

一時間ほどで送電線の下に着く。

樹木が切り払われ、素晴らしいゲレンデ状態で下りが楽しみだ。

いよいよ本格的な樹林帯の中、尾根の左側に寄った所を進む。

この時期樹林帯の中は針葉樹の落葉が雪の表面を覆い、お世辞にも「きれい」と言える状態ではないが、春特有の情景だ。

徐々に木々が少なくなり、雪の白さが目立ちはじめると稜線はもうすぐだ。

稜線上で一休みの後、壷足を試みるが、すぐに腰まで埋まりギブアップ。

あらためてスキーに履き替え山頂へ。

山頂と南東斜面はすっかり雪が解け、ゴロリと横になり大休止。

春の暖かい陽を浴びてのひとときは、例えそれが低山であっても至福の時となる。

まして私にとってこれが入会後初めての頂きである。双珠別から狩振に向かうパ-ティーを確認することはできなかったが、一声残して下山とする。

頂上のすぐ下で地元の方とすれ違う。

私より若ぞうであるが、分類すればやはり中高年登山者か。

稜線の北側をトラバース気味に下り、腐った雪にスキーをとられながらも順調に滑る。

今日のハイライトは送電線下の斜面。落葉も少なく、荷物も気にならず気持ちのよいパラレルターン。

もう少し早い時期なら、もっともっと楽しい滑降が期待できそうである。樹林の中を鴬の声や、私の知らない小鳥のさえずりを耳にしながら牧場の上部へ。

そこからは、車止めまで、スケーティング滑走をまじえながら滑り降りた。

さて、最初に口ごもってしまった諺は、皆さんご存知とは思いますが、「朝雨、朝霧女の腕まくり」と言うそうです。これって女性差別になるのでしょうか。

でも一番脆弱でトレーニング不足の中年男性が口にするのは変ですね。ごめんなさい。

(茶房多種No.215記録・笠松)

狩振岳(双珠別岳からの尾根往復)

○1996年4月28日~29日

○L岩本 小原 三浦明 道辻 水野(女5名)

○コースタイム

28日 快晴無風

07:00 日勝峠トンネル駐車場

07:45 Co1199m

O9:50 熊見山頂上(P1328m)

10:30~11:10 C1(Co1230m)

11:45 双珠別岳頂上(P1389m)

14:00 狩振岳頂上(P1323m)

14:35 〃 発

16:30 C1

29日 曇りのち晴れ強風

10:50 C1

11:50~12;15 熊見山(P1328m)

14:35 日勝峠トンネル駐車場

帯広は20度を越すと予報が出ていた。

風もなく汗だくになる。周りの山も黒い部分がちらほら見えて、今年のスキーもそろそろ終りかなと思うと少し淋しい気もする。

地図上の熊見山を過ぎ、本物熊見山の斜面では、暑さのせいで少々バテ気味になるが何とかC1地点にたどり着き、荷物をデポした。

「このまま日向ばっこして、明日、狩振岳に登ろうか」との意見も出たが、天候が悪化する心配もあるので重い腰を上げて出発した。

双珠別岳に着くと、目指す狩振岳が姿を現した。

上トマム側から登っているパーティーの姿が小さく見えた。

その後の下りで私が転んだ際に板とストックを雪に埋めてしまった。スコップでかなりの面積を掘ってやっと発見。約40分もロスしてしまった。

そんなこんなで結構時間がかかってしまったが、頂上に到着。ビールが最高においしかった。

ゆっくり休憩した後、下山。

双珠別岳からC1への下り斜面は幅がたっぷりで斜度も丁度よく、雪質は悪くても技術が未熟でも楽しめた。

夜は小原さん持参の新得牛のシチューとゼリーと赤ワインとラム酒で豪華ディナーを楽しんだ。冬用シュラフはちょっと暑かった。

翌日は朝から強風になり、雨まで降り始めた。時間に余裕があったのでゆっくり起きて、朝食後、またお茶を飲みながら歓談。

雨が止んだのを確認して出発。熊見山からシェルターへ下りようかとも相談したが、頂上付近で風が弱まり、天気も回復したため、予定通りのコースを進んだ。

途中、弱層ハンドテストを教えてもらった。

前日の暖かさのせいか、雪庇が崩れて雪崩た後があった。

日帰り可能なコースだが、一泊したことで、時間に余裕を持って春の山を楽しめた。

ちょっとぜいたくで良かった。

(茶房多種No.215記録・水野)

双珠別岳(熊見山からの尾根往復)

○1995年4月16日

○L岩本 道辻 部田 福嶋(男1名女3名)

○コースタイム

08:25 日勝峠下のシェルター車止め

09:25 熊見山頂上(P1328m)

11:00 双珠別岳頂上(P1389m)

12:00 〃 発

13:00 熊見山頂上(P1328m)

14:55 車止め

「双珠別岳」とは、双珠別川源頭(狩振岳の南東)のCo1389mのことを言う。

車務所を朝7時に出発。

日勝峠を越えて、青ペンキ色の三国の沢シェルターを抜け、すぐ左側(谷側)の駐車スペースに車を置いて登山を開始。

この峠道はディーゼル車の排気煙で、いつ来てもスス臭く空気が濁っている。

早々にスキーを履いて、道路北側の尾根状の斜面に取り付く。

雪は固くクラストしており、特段の急斜面も少ないことから登行がはかどり、一頑張りで展望の良い熊見山に着く。ここでいう「熊見山」とは、地形図上の「熊見山」(Co1175m)ではなく、その北西にあるCo1328mのことだが、どちらが正統な熊見山なのかは私にはわからない。

途中、オダッシュ山方面への分岐点のピークは踏まないで、その直下南西斜面を巻き、直接、双珠別岳をめざす。

この地点から丸い形の頂上までは、ただ広い雪の斜面が続いていて、思い思いにシュプールを描ける場所だ。

山スキーではなかなか味わえない直滑降もできた。

当日の視界は良好であり、北は、夕張岳、芦別岳、十勝連峰、ニペソツ、ウベペサンケなどがよく見え、南は、チロロらしき山、芽室岳など日高北部の山々が大きく見えた。

大変ゆったりした、ゆとりのある山行であった。

個人的反省としては、ビールを忘れたことと、もう一つある。「地図に引く朱線」という名の本を以前見たような気がする。

私も地形図に自分の通ったルートを、無雪期には赤い点線で、積雪期には赤い実線で

引いている。今までは点線の上に実線を引くことが多かったが、帯広に来てからは、白地に実線を直接引く醍醐味を多く味わった。

今回もそうであり、これも冬の長い北海道の山の特徴か、山岳会員として他人の計画にすぐ乗れる気安さのせいかと感じる。

片隅で、山行計画を企画しない自分自身の億劫さというか、ビジョンの欠乏を反省している。

(茶房多種No.202記録・福嶋)