棚田紹介

 樫谷棚田

樫谷棚田は、壷神山(971m)の標高500m西側斜面に、257枚(2015年3月現在)の棚田が美しい曲線を見せて、すり鉢状の奥行きのある景観を作り出しています。

アクセスは、肱川河口(長浜)から5kmほど上流の白滝から、案内表示が整備されていて分かりやすいでしょう。白滝からの距離は約9km、車での所要時間は20分ほどです。旧戒川小学校から上は道幅が狭く、暗い樹林帯もあり、約3kmは対向車に注意しながら慎重に運転する必要があります。そこを抜け、剣高神社の鳥居を右に見て通過すると、まるで隠れ里のような棚田空間が目の前に広がり、思わず息をのみます。

農水省は全国の優れた棚田を「棚田百選」として顕彰し保全を図っています。樫谷棚田は「棚田百選」には入っていませんが、それらに比肩する素晴らしい景観美を持つものとして専門家からも注目されています。 しかし、その樫谷棚田が今、存廃の危機に直面しています。現在、域内に居住する数戸、域外に転出した後も通いながら続けている数戸の耕作者によって、辛うじて維持されているのが現状です。 (写真撮影:河野豊さん)

 樫谷棚田保存会

<樫谷棚田保存会 設立趣意書 >

大洲市のJR白滝駅から車で約15分。細く険しい道を登った地に広がる樫谷棚田は、見る人に静かに、優しく語りかけてきます。壺神山の斜面に広がる棚田は、200枚余り。土坡と石垣で築かれた田んぼは、初夏の田植えのあとは満々と水を湛え、カエルやイモリ、トンボの幼虫たちが動き回っています。暑い夏に稲を育て、秋には黄金色の穂波をもたらします。棚田は四季の移り変わりのなかでさまざまな生命の輝きをみせてくれる自然と人間が創りだした「命の舞台」といえるでしょう。

樫谷棚田がいつごろ築かれたのは定かではありませんが、江戸時代初期には今の規模を上回る棚田があったと考えられます。樫谷棚田が広く知られるようになったのは、ここ数年のことです。棚田と周辺の景観は、その美しさ、歴史ある姿を残した保存状態が注目され始めたのです。全国の棚田の調査・研究・保全活動を行っている日本棚田学会の中島峰広元会長は、何度も樫谷棚田を訪れ、「全国に誇れる貴重な棚田」と高く評価しています。昨年と今年に大洲市で開催された棚田写真展には多くの人が展示作品を観て、地域にこんな素晴らしい棚田があったことに驚き、感激していました。

保存を望む声が高まっている樫谷棚田ですが、その現状は危機的状況です。耕作者の高齢化、後継者不足で棚田の担い手が少なくなっているのです。このままでは近い将来、樫谷棚田は更なる荒廃の危機に至ると心配されています。

樫谷棚田は、私たちの先祖が汗と涙、くらしの希望を持って築いた宝ものです。今日では歴史的な文化遺産として評価されています。

 樫谷棚田に向かうとき、私たちは棚田と周辺の美しい景観に心をなごまされ、活力がよみがえってくることに気づきます。美しい農村景観は、疲れた人びとの心を癒し、生きる力を与えてくれる不思議な機能を持っているのです。

いま、私たちは樫谷棚田の保存と活用をしようと樫谷棚田保存会の設立を決意しました。樫谷棚田の保存は戒川地区の地域再生と一体ですすめられる取り組みです。戒川・樫谷の住民が地域の現実を見つめ、そこから地域の再生、にぎわいを取り戻す運動を始めたいと思います。

試練と困難は多々、あるでしょうが、人と人の力を信じ、それぞれの立場の違いをわきまえて力をあわせて乗り越えたいと考えています。

幸い、樫谷棚田の保存を望む声の高まりのなかで、地元の大洲市のほか、県内外からの激励と支援が寄せられています。棚田応援隊が結成され、学生の草刈り・援農も行われました 。私たちは、これらの支援と激励を受けとめ、樫谷棚田保存と戒川地区の再生をめざし、ここに樫谷棚田保存会の設立を呼びか掛けます。

2014年4月4日

樫谷棚田保存会設立有志一同

<樫谷棚田保存会 会則>

(名称)

第1条      本会の名称を「樫谷棚田保存会」とする。

(目的)

第2条      本会は大洲市戒川地区樫谷の棚田を保全し、棚田が持つ文化的、環境的、経済的機能を活用して、地域の活性化に寄与することを目的とする。

(所在地)

第3条      本会の所在地は、大洲市戒川甲2109 城本誠一方に置く。

(会員)

第4条      本会は、次の入会を希望する個人、団体をもって組織する。

①    1号会員…樫谷棚田を所有するかまたは耕作するもの

②    2号会員…所定の拠出金を納入するもの

③    3号会員…前各号以外のもので、所定の年会費を納入するもの

(事業)

第5条      本会は第2条の目的を達成するため、次の事業を行う。

①    食糧生産の場としての棚田の整備に関すること

②    棚田及び周辺地域の景観保全に関すること

③    域外市民との交流活動に関すること

④    その他本会の目的を達成するための事業

(役員)

第6条      本会に次の役員を置く。

①    世話人(若干名)

②    監査  (1名)

2.        世話人及び監査は総会で選出する。

3.        世話人は代表1名を互選する。

4.        代表は会を代表し、世話人は分担して会の日常業務を処理する。

5.        監査は、会の事業・会計を監査し、その結果を総会に報告する。

6.        役員の任期は2年とする。但し、再任を妨げない。

(総会)

第6条 会は年1回の定期総会及び必要に応じて臨時総会を開催する。

2. 総会は代表が招集する。

3. 総会は会員で構成する。

4. 総会は次の事項を審議決定する。

① 事業及び会計の報告及び計画の承認

② 役員の選出

③     その他会の目的に適う事業に関する事項

5. 総会における議決は出席した1,2号会員により行う

6. 3号会員は総会に出席し、意見を述べることができる

(会計)

第7条 本会の経費は、拠出金、年会費、寄付金、補助金及びその他の収入をもって充てる。

2. 1号、2号会員の拠出金は1万円とし、年会費を10年間免除する

3. 3号会員の年会費は1千円とする

(付則)

1.            設立年月日 平成26年4月4日

2.            この会則は、平成26年4月4日より効力を有する。

3.            平成26年7月20日改正

4.            平成26年8月23日改正 以上

<樫谷棚田保存会 役員>

名誉会長 松本正雄

代 表 城本誠一

世  話  人 河野 豊、宮本敦志、山口 誠

事  務  局   大崎義治

監        事   二宮岩夫、久保 均

<樫谷棚田保存会 連絡&問合せ先>

大洲市戒川甲2109

TEL: 090-2789-1987(代   表 城本) FAX: 0893-54-0757

           080-1525-8306(事務局 大崎)  FAX:0893-54-0422

E-mail: kashidani.tanada.hozonkai@gmail.com

 活動内容

<棚田普及啓発活動>

◆ 棚田写真展の開催 ◆

2013~15年 3年連続、オズメッセAコープおおずのご協力で開催した 『棚田写真展“棚田に生きる”』は、延べ3千人以上に観覧していただきました。

◆ 棚田イベントの開催 ◆

春の『田植祭』、秋の『収穫祭』を樫谷棚田で開催。毎回80人前後の参加を得て、

樫谷棚田の存在と棚田保全の意義を普及しています。

<棚田保全活動>

◆ 棚田お手伝い隊 ◆

耕作放棄となった棚田を、地区外の一般市民有志が『棚田お手伝い隊』を結成して、耕作を

継続し棚田を維持しています。

お手伝い隊メンバーは現在20名前後。活動内容は、総会開催、田植準備、草刈り、稲刈り、

     イベントスタッフ など多岐にわたります。隊員は各人の許す範囲で、使命感をもって活動し

     ています。

                    〔棚田お手伝い隊〕

          隊長 大崎義治

        副長 宇都宮伊明、中野隆博

 

新しい参加メンバーを常時募集しています。

◆ 棚田枚数調査 ◆

2015年2月、大洲農高の協力を得て、樫谷の棚田枚数調査を初めて実施し、257枚の

棚田があることを確定しました。

◆ 保存会管理田 ◆

樫谷棚田保存会は現在、耕作放棄となった6枚15a(畦畔面積を含む)の田圃を耕作しています。

<支援・連携関係>

大洲市

平成26~28年度の『大洲市がんばるひと応援事業』に採択され、

・保存会連絡所兼見学者休憩所、農機具庫、展望テラス兼駐車スペース、仮設トイレ

の整備

・棚田お手伝い隊の農作業資材の支援

・「棚田オーナー制度」の設置

・イベント開催支援

・地域起こし協力隊員の派遣、などご支援いただいています。

◆『棚田写真展』へのご協力・後援等

共催:泉谷地区棚田を守る会、大洲環境とエネルギー研究会

協力:Aコープおおず

後援:大洲市、西予市、内子町、JA愛媛たいき、JAひがしうわ、NPO法人棚田ネットワーク、

棚田学会

◆JA愛媛たいき

田植、稲刈りなどの作業指導・支援、イベントへのご協力

◆愛媛県立大洲農業高等学校

棚田調査、田植え、草刈り、稲刈りなど作業協力、注連縄づくりなど地域行事への参加

◆公益財団法人えひめ地域政策研究センター

『平成27年度まちづくりアシスト事業』に採択され、『戒川地区(樫谷棚田)案内図』を作成し、

普及しました

◆JA全農えひめ

愛媛県「ふるさとマッチング事業協定」にもとづく作業協力

◆愛媛大学学生サークル『農民』

田植祭、収穫祭への参加

 保存活動・イベント等 参加のお願い

棚田を手伝いたい人 棚田お手伝い隊 只今募集中!!

樫谷棚田保存会では、主旨や活動内容にご理解とご賛同頂ける方のご協力をお待ちしています。

→ 詳しくはこちら

 ご寄付のお願い

樫谷棚田保全のためのご寄付のお願い

樫谷棚田保存会 代表 城本誠一

私たち、耕作者と域外の有志が「樫谷棚田保存会」を立ち上げたのは、棚田の存廃という危機感からでした。

棚田を守るための方策を模索しながら「できること、考えついたことから始めよう」を合言葉に、棚田写真展による啓発活動、大雨によって崩壊した棚田の修復活動、お手伝い隊による耕作支援活動などを開始したところです。

会設立から3 年間で持続的な棚田保全ができる仕組みと体制づくりを行うことを目標に活動していますが、会の財政力が弱く、十分な活動を展開するできる状況にありません。

そこで活動に賛同いただける皆様から広く寄付金の募集を行うことにいたしました。

事情、ご賢察のうえご協力賜わりますよう、お願い申し上げます。

樫谷棚田保存会では、主旨や活動内容にご理解とご賛同頂ける方のご協力をお待ちしています。

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