文献リスト(Behavioral Finance)

【Behavioral Finance】

近年注目を集めている行動ファイナンス(Behavioral Finance)を扱った文献を以下で紹介しておきます。

(日本語)

真壁昭夫『最強のファイナンス理論-心理学が解くマーケットの謎-』 講談社、2003.

●あまり多くを求めず、さらっと概要を知るには、いいと思います。

角田康夫『人生と投資のパズル』 文藝春秋, 2004.

●非常によくまとまっている。まとめただけの著書とは異なり、著者の個性も活かされている。角田(2001)と一部重なる。

小幡績『ネット株の心理学』 毎日コミュニケーションズ, 2006.

●実際に投資をするひと(特にネットで)にとっては非常によくわかる記述がなされている。株はマーケティングとは言い得て妙です。

加藤英明 『天気と株価の不思議な関係-行動ファイナンスで市場を読み解く-』 東洋経済新報社, 2004.

●もと論文を基本としながら、一般向けに書かれている。

角田康夫 『行動ファイナンス-金融市場と投資家心理のパズル-』 金融財政事情研究会, 2001.

●コンパクトに必要なことをまとめていると思います。コストパフォーマンスもよい。同著『行動ファイナンス2』も2005年に出版されています。

加藤英明 『行動ファイナンス-理論と実証-』 朝倉書店、2003.

●行動ファイナンスにおける日本の第一人者による著書。誤植が少し目立ちますが、本書の意義を損なうものではありません。近年の研究動向をまとめた本格的なサーベイ本。人間的にも惚れてしまうすごいひと。

俊野雅司 『証券市場と行動ファイナンス』 東洋経済新報社、2004.

●加藤(2003)と比べて、教科書的です。伝統的ファイナンスと行動ファイナンスの違いについて、非常に丁寧にまとめている。

榊原茂樹・加藤英明・岡田克彦 『行動ファイナンス』 中央経済社、2010.

●お知り合いの方々がみんなで書いております。網羅的。

ヨアヒム・ゴールドベルグ、リュディガー・フォン・ニーチュ 行動ファイナンス研究会、眞壁昭夫訳『行動ファイナンス-市場の非合理性を解き明かす新しい金融理論』ダイヤモンド社, 2002.

●そこそこ本格的に概略を知るにはいい本だと思います。

ロバート・J・シラー 植草一秀監訳、沢崎冬日訳 『投機バブル 根拠なき熱狂』 ダイヤモンド社、2001.

●本の形態でしか分析できないような、行動ファイナンスのエッセンスが詰まっています。原書はこちら

ロバート・J・シラー 田村勝省訳 『新しい金融秩序-来るべき巨大リスクに備える』 日本経済新聞社, 2004.

●ファイナンスにおけるリスク管理を経済全体に応用することを提言。原書はこちら

ロジャー・ローウェンスタイン 東江一紀・瑞穂のりこ訳 『最強ヘッジファンドLTCMの興亡』 日本経済新聞社, 2005.

●行動ファイナンスの最たる事例かなということで、ご紹介。おもしろいです。

ジェームス・モンティア 真壁昭夫監訳、川西諭、栗田昌孝訳『行動ファイナンスの実践-投資家心理が動かす金融市場を読む-』 ダイヤモンド社、2005.

●バランスの取れたいい本です。非常に広範な内容を理論偏重に陥ることなく書かれており、一読されるといいと思います。

ハーシュ・シェフリン 鈴木一功訳『行動ファイナンスと投資の心理学-ケースで考える欲望と恐怖の市場行動への影響-』 東洋経済新報社、2005.

●広範な内容に関して最新の研究動向を踏まえながら、ケースを示しながらわかりやすく書いており、お奨めです。概念の説明ばかりしている行動ファイナンス本に飽きた方は是非。原書はBeyond Greed and Fear: Understanding Behavioral Finance and the Psychology of Investing

マイケル・J・モーブッシン 川口有一郎監訳、早稲田大学大学院応用ファイナンス研究会訳『投資の科学-あなたが知らないマーケットの不思議な振る舞い-』 日経BP社、2007.

●多様な学問領域をもとにいくつかの短編からなる本。大変おもしろい。

角田康夫『行動ファイナンス入門-なぜ、「最適な戦略」が間違うのか?-』 PHP研究所、2009.

●なぜか2009年は再び行動ファイナンス本が立て続けに出ております。そのうちの一冊、充実しております。

ナシーム・ニコラス・タレブ 望月衛訳『まぐれ-投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか』 ダイヤモンド社、2008.

●読もう読もうと思いつつ、読めていなかった本、まぐれをようやく。面白いです。

城下賢吾・森保洋『日本株式市場の投資行動分析-行動ファイナンスからのアプローチ-』中央経済社、2009.

●現状取り組んでいるテーマについて書かれており、助かります。

**2002年のノーベル経済学賞のひとり、スミスは実験経済学の領域で受賞しています。以下、その教え子のミラーによる本を紹介。

ロス・M・ミラー 川越敏司監訳、望月衛訳『実験経済学入門-完璧な金融市場への挑戦-』 日経BP社、2006.

●実験経済学、ファイナンスをわかりやすく記述したものとしてはいいと思います。日本語による類書はあまりないように思うので貴重でしょう。ただ、かなりの部分は既存の経済学の解説に当てられている。

(英語)

Andrei Shleifer, Inefficient Markets: An Introduction to Behavioral Finance , Oxford University Press, 2000.

●行動ファイナンスを本格的に勉強するには、必読。行動ファイナンスの授業において、テキストに指定されているのは、この本が一番多いと思います。訳本はこちら ですが、あまりよい訳ではありませんので、原書をお勧めします。