つまみ喰われた旦那
by 藤葉
日向小次郎さん目線
注!!:藤葉の心は永遠に小次健(時々源健)ですが、本SSには"小次岬"的描写が
でてきます。カップリングに嫌悪感を覚えられる方は閲覧をお控えください。
加えて18禁場面もありますので、ご注意を。
むさぼるようなキス。
じれたように岬が俺の勃起に腰を擦り付けてくるたび、岬の固くなったそれが俺の下腹に触れる。
俺は完全に混乱していた。
どうしてこんなことに。
こんなこと?ああ!!
俺は、岬のアパートのソファで、岬とキスしている。
岬はソファに座った俺の膝にまたがってる。
どういうこった?こりゃ?
***
今朝、若島津は、なんだか疲れたからホテル近くのカフェで一人でお茶しているとまたいつもの単独行動の癖がでた。やつは昨夜、フランスの空港についた時からなんでだか機嫌が悪い。
反町はなんだか知らないが、新田と約束があるとかいってたか。
タケシや島野や、他の奴らは昼過ぎの岬との約束の時間まで美術館をまわりたい、と。
そうか、皆勝手にしろ。
で、俺は思い出したんだ。
岬が、昨夜空港でおかしな顔してた、ってな。
どうした?って、顔を覗き込んで、小学校の時とちっとも変わらないあのやわらかい薄茶の髪を掻き回してやったら、無理やり笑顔を浮かべて「なんでもない」なんていいやがった。
だから、まあ、俺としては、ちょっと岬のところに顔を出して、少しハッパでもかけてやろうと思ったんだ。
***
キスが途切れると荒い息をつきながら、岬が俺の肩からシャツをすべり落とした。
俺のシャツ、いつの間にかボタンが全部外れてるじゃねえか。
ものも言わずに岬は、来ていた長袖Tシャツを脱ぎ捨て、俺を見つめたままソファから降り立って、ジーンズと一緒に下着を下ろした。つまり、俺の前で素っ裸になった。
落ち着いて考えろ、俺は岬のアパートに来て、コーヒーを飲みながら雑談してただけだ。
岬が、恋人はいるか、とか、美人でしょ、とかなんとか言い始めて…。
それが今、岬は素っ裸で、俺は上半身裸、股間のモノは痛いくらいに硬くなっている。
「小次郎、逃げて帰る?」
ジーンズを踏みつけるようにして足を抜きながら、岬は泣きそうな顔で言った。
他にどうしようがある?
俺は岬を睨み付けながら立ち上がり、脱げたシャツを脇に放り出し、下着と一緒にジーンズをひき下ろした。
岬は小さく頷いて、「待ってて」と囁くような言葉を残し、バスルームに駆け込んでいった。
まもなく戻ってきた岬の手には、潤滑剤のチューブとコンドームが握られていた。
俺は無言で岬から二つを受け取り、無言のままゴムの封を切った。一言でもしゃべったら、そのまま暴発しちまいそうだった。
俺がゴムを装着し、指にチューブから透明のジェルを搾り出すと、岬がまた俺の膝に跨ってきた。俺の首に両手を回して胸を合わせてきた岬の背後に腕を回し、ソコを探った。
ジェルをまぶした指を硬くしまった開口部に這わせると岬はぴくんっと身体をすくませたが、すぐに身体の力を抜いた。
力を込めると、指は難なく岬の熱い体内に飲み込まれていった。俺の耳元で、岬が一つ息を吐いた。すぐに指を二本に増やし、内部を広げるように指を動かし抜き差しした。岬の身体は魔法のようにほぐれていって、俺の二本の指をなんなく根元まで飲み込んだ。
「お願い」
荒い吐息と共に、岬が泣き声のような声をもらした。
俺は指を抜き、もう一度潤滑剤のチューブをとりたっぷりと手の平に搾り出して自分のモノに塗りつけた。方向を定め、片手を岬の腰を支えるように添えると岬の身体はじんわりと俺を包むように開いていった。
「んんん~っ、あっ、はぁ」
全部が収まると、岬は身体をぶるぶる震わせて悲鳴とも泣き声ともつかない声をもらしたが、俺は少し待って呼吸は浅いままながら岬が俺の質量に慣れたことを見て取ると、岬の小柄な白い身体を抱え挙げてソファに倒した。主導権を取り戻すには、跨がれた状態より相手に乗っかっちまう方が理想だ。片足を肘で抱え、ゆっくりとぎりぎりまで腰を引いてまた挿入する。慣らし運転のように数回そうやってゆっくりと抜き差しした。
岬は苦しいみたいにぎゅっと目を閉じてはいるが、苦痛は感じていないようだ。
充分に岬の身体が開いたところで、俺は腰の動きをフルスピードに乗せた。
イッたのはほぼ同時だった。岬のモノが俺との身体の間ではじけた瞬間、俺も岬の身体の奥で、ゴムもはじけそうなくらいにたっぷりと放出していた。
ゴムの根元を押さえつつ、俺が身体を抜くと、岬はぱちっと目を開き、笑顔を見せた。
作り笑顔なんかじゃない、小学校の頃のまんまのあのいつもの笑顔だ。
俺がゴムを始末しながら不審げに眉をしかめて身体を起こすのをソファに身体を預けたまま見上げながら、岬はクスクス笑いを漏らした。
「ありがと、小次郎」
笑顔のままそういってソファから身体を起こすと、あっさり立ち上がって裸のまま奥のバスルームへと入っていった。すぐにシャワーの音がもれ聞こえてくる。
なんだったんだ?
ていうか、俺、浮気しちまった?ってことか?
岬、お前、なんてことをしやがるんだ!と頭を掻き毟ってみるものの、やっちまったもんは仕方がない。男として生きてれば、時にはこんなこともある。
だかな、一体、なんだったんだ??!!
とはいえ、すっかり昔どおりの笑顔を取り戻した岬をそれ以上追求する気も失せて、さっぱりとシャワーも浴びた俺は、他のメンバーとの待ち合わせ場所にもなっている、若島津がいるはずのカフェへと戻った。
カフェに近づいてまず目についたのは、俺の超美人の伴侶だ。長い黒髪が昼下がりの日差しにツヤツヤと光っている。随分長い付き合いになるが、あいつの姿を見飽きることって本当にないな。普段あまりに近くにいて忘れていることも多いが、こうして遠目にあいつを見る機会があると、あいつの容姿がどれだけとび抜けているかを思い知らされてはっとすることがある。だが、隣の妙にでかい男はなんだ?俺は、若島津の隣の席に座り、覆いかぶさらんばかりに身体を近づけてあいつの顔を覗き込むように話をしている大男に、瞬時に殺意に近い嫌悪感を覚えつつ足を速めた。
若林!やっぱりあいつか。
「なにからんでんだよ」
俺を振り返った若林に視線を据えたまま、俺はどかっと若島津の隣の椅子に腰を下ろした。
若林のやつ、また一回りでかくなったか?若島津の椅子の背もたれを掴む手のでかさはグローブ並みだ。熊男め。近づきすぎなんだよ。そこから手をどけろってんだ。
俺が目に物を言わせていると、若島津がたわいもないことを話しかけてきて、俺はふと熊から視線をそらせた。俺をまっすぐに見つめる長い睫毛の下の黒い瞳が日差しを反射してきらきら光った。吸い込まれるようにピンク色の唇が動く様子に視線を落とすと、突然若島津が顔を近づけてきた。
おいおい、人前でキスか?いくらフランスだからって、と俺が馬鹿なことを考えた瞬間、若島津はすいっと身体を戻して視線を硬くした。
「日向さん、どこに行ってきたんですか」
俺が返答のために口を開くのも待たずに、若島津は椅子をがたっと鳴らして立ち上がり、氷のような視線で俺を見下ろした。
「俺、今日は若林と行動しますから。夕食までに戻らなくても心配しないでください!行こう、若林!」
吐き捨てるようにそういうと、若島津は後も見ずに歩き出した。若林の巨体がさすがのゴールキーパーの反射神経を見せて素早くその後を追う。
「ま、待て、若島津」
俺が立ち上がった時、背後を振り返った若林は、通りすがりのタクシーを止めた。
若島津はこちらを振り返りもせずに若林が止めたタクシーに乗り込んだ。
なんだってんだ?!
妻が離婚を考える時 : 若島津健さん目線へ続く
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