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 生態学教育専門委員会は日本生態学会の専門委員会の一つであり、生態学教育全般に渡って、教育支援策を企画・整備することを目標とした活動を行っています。

1989年に生態学教育検討専門委員会は当時の高校生物の教科書における”生態学”に関するすべての記載を検討し、結果を"中間報告"として公表しました(日本生態学学会誌, 39:219-221, 1989)。そこでは、高校生物の教科書に”生態学"の記載には中心になる理念が認められず、枚挙主義であり、高校生に教えるべき教材例も吟味されていないと指摘しています。(次のリンク先の雑録  本文: / https://www.jstage.jst.go.jp/article/seitai/39/3/39_KJ00003217145/_article/-char/ja/

 1991年度から95年度の4年間、日本生態学会に設置された生態学実習教育検討委員会は、その解散にあたって、「生態学教育に関連した重要な課題として、高校理科教育の改訂問題や環境教育・自然保護教育、環境ジャーナリズム、博物館活動など、社会的ネットワークの強化に関係した多くの問題が山積している。従って、教育問題について、新たな検討委員会もしくは作業部会を設置することを常任委員会などで検討するように申し送る」ことを決定しました(日本生態学会第43回大会、1996年3月)。 

 これに基づいて、日本生態学会の将来計画専門委員会は全国委員会に対し、「(高校の生物教育の問題について)将来計画専門委員会とは独立に上記の問題を検討する専門委員会を設置する」(日本生態学会第44回大会、1997年3月)ことを提案しました。これを受けて、翌年具体的設置案として、「生態学教育専門委員会の設置について:昨年の全国委員会ですでに認められているが、高校での生物学教育の検討を具体的に進める必要がある、委員会は横井洋太氏、嶋田正和氏を中心に数名で構成する」という全国委員会の合議(日本生態学会第45回大会、1998年3月)により生態学教育専門委員会は設置されました。

 1999年公示、2003年施行となった旧学習指導要領(2012年3月終了)では、生態分野は『生物II』(選択、上級生向け)に配置され、進化・系統分野と選択でどちらかを学ぶ扱いとなりました。多くの高校生が学び、大学入試センターで受験する範囲の『生物 I』(細胞・生理・遺伝・発生など:選択必修、下級生向け)には含まれていなかったのです。生態学教育専門委員会はこれに危機感を覚え、2000年に日本生態学会誌に掲載された「第一期報告書」では、生態学の啓蒙と普及のために学部1~2年生や高校理科教師向けの平易な『生態学入門』を刊行する計画を打ち出しました。

 そして、ついに、2004 年に『生態学入門』、2012年に「生態学入門(第2版)」(新課程の学習指導要領に対応)が編集・出版されました。

 現行課程の「生物基礎」、「生物」では生態分野が増加し「探求活動」における観察、実験、実習の役割が増大するなど生態分野にとっての教育情勢は改善方向にあります。一方、高校現場などから授業で使える生態学教材を望む声がますます強まっていることは注意信号であり、座学・実習を対象とした生態教育支援データベースの構築を2015年に行いました。

 その後も、生態教育フォーラムの開催、日本生態学会誌特集「生態学教育のネットワークを築く」の編集、日本生態学会誌連載「生態教育の今と未来」を開始するなどの活動を行っています。