第19回仲裁ADR法学会大会実施報告
2023年度 仲裁ADR法学会 第19回大会実施報告
Ⅰ 仲裁ADR法学会第19回大会
同大会は、2023年7月9日(日)12時30分から、明治大学を開催担当校として、対面を主、オンラインを副とする、ハイブリッド形式により開催された。
一 個別報告およびシンポジウム
1 個別報告(12時30分~14時20分)
第1報告 12時30分~13時20分
報 告: 横路俊一会員(北海道大学)
テーマ: 「民事調停の進行についての考察」
司 会: 畑瑞穂会員(東京大学)
第2報告 13時30分~14時20分
報 告: 畑中麻子会員(立命館大学)
テーマ: 「調停最適化論ー知的財産紛争を切り口としてー」
司 会: 杉山悦子会員(一橋大学)
2 シンポジウム(15時10分~18時00分)
テーマ: 「仲裁におけるdue process」
司 会: 猪股孝史会員(中央大学)
パネリスト: 渡部美由紀会員(名古屋大学)
出井直樹会員(弁護士)
小川新志会員(日本商事仲裁協会)
二 総会 (14時20分~15時10分)
1 議題(14時20分〜14時35分)
以下のとおり議事が行われた。
1 2022年度会計報告について
渡部美由紀会計担当理事より、配布資料(会計報告書)に基づき、2022年度会計報告がされた。続いて、渡部晃監事より、会計処理が適正であると認める旨の監査報告がされた。
2 理事交代について
山田文山田文理事長より、退任を理由に、以下の役員の交代が役員会で承認されたので、総会の承認を頂きたいとの提案があり、異議なく承認された。
前理事/斉藤睦男理事
新理事/日本弁護士連合会ADRセンター委員長・河井聡理事
任期/前任者の残任期間
前理事/坂東一彦理事
新理事/一般社団法人日本商事仲裁協会理事長・北川愼介理事
任期/前任者の残任期間
3 学会誌『仲裁とADR』について
山田文理事長より、第18号がすでに刊行され各会員に送付されたこと、第19号については雑誌担当理事を中心に企画編集が進められていることの報告がされた。第19号に投稿を希望する会員は、学会ホームページ掲載の「投稿規程」に従い本年10月末日までに原稿を提出されたい旨が告知された。
4 次回仲裁ADR法学会大会について
山田文理事長より、次回大会(2024年度)については、2024年7月13日(土)に同志社大学にて開催を予定していること、次回大会では国際シンポジウムを予定しているので午前中に開始予定であること、国際シンポジウムは、「各国でADRはどのようなjusticeにコミットしているのか」(仮題)をテーマとして、大会担当理事において現在準備中であることが報告された。
5 表彰事業について
山田文理事より、林真貴子会員、稲田龍樹会員が学会賞(研究)を受賞したこと、李英会員、越智幹仁会員が奨励賞を受賞したことが報告された。
2 表彰式(14時35分〜14時55分)
2023年度第1回表彰事業における表彰式が執り行われた。受賞者と受賞対象となった業績は以下のとおりである。
1 学会賞(研究)
・ 林真貴子『近代日本における勧解・調停-紛争解決手続の歴史と機能』(大阪大学出版、2022年)
・ 稲田龍樹『家事調停協議論』(信山社、2021年)
2奨励賞
・ 李英「調停人の解決案提示」阪大法学68巻6号(2019年)149-178頁、同「調停の冒頭説明の会話分析 : 調停人の専門性と当事者の主体性」阪大法学69巻2号(2019年)23-57頁
・ 越智幹仁「国際仲裁の『実質規則」と仲裁合意の準拠法:フランスの裁判例に見られる仲裁条項の「拡張」事例を中心に」国際私法年報23号(2022年)110-139頁、同「仲裁合意の第三者に対する拡張を正当化する理論についての研究」神戸法学雜誌71巻1号(2021年)201-251頁
Ⅱ 仲裁とADR
学会誌『仲裁とADR』第18号を刊行した。掲載内容は以下のとおりである。
論 説
ADRにおける適正手続の要請 酒井 一 1
有効な仲裁合意の存否をめぐる外国裁判所と外国仲裁廷の判断の齟齬について 井上泰人 8
実務の潮流
仲裁合意の準拠法選択に関する国際的潮流 手塚裕之・小枝未優 18
民間総合調停センターの現状と課題 吉野孝義 26
ケース研究
ハーグ条約実施法117条の家事調停による子の返還条項への類推適用について 濵田雄久 38
建築紛争へのADRの活用 西岡由記 43
海外文献紹介
Gerhard Wegen, Marcel Barth & Roman Wexler-Uhlich, International Arbitration in Germany (Beck, Hart & Nomos, 2022), 337 pp.後 友香 51
Pietro Ortolani, André Janssen, Pieter Wolters ed., International Arbitration and Technology (Wolters Kluwer, 2022) 252p.馮 茜 55
ADR機関便り
日本ODR協会―設立と今後の活動、ODRの普及に向けて渡邊真由 59
日本国際紛争解決センター(大阪)(JIDRC-Osaka)豊島ひろ江 62
個別報告
民事訴訟「理論」の排除か、包摂か
―正義の総合システムのインプリケーション小林 学 67
国際的な子の連れ去りと家事調停及びメディエーション西谷祐子 77
シンポジウム
歴史的観点から見た裁判所調停―制度百周年を機に86
〔司会〕笠井正俊 〔報告〕林真貴子・稲田龍樹・ディミトリ・ヴァンオーヴェルベーク
学会雑報 115
会 則 117