高瀬ダムを中心として南北に一直線に伸びる谷は断層破砕帯が浸食されてできたもの。不動沢の浸食の様子や、断層運動の摩擦熱でいったん融けて固まった岩石を観察します。
熱水変質を受けた岩体や断層破砕帯があるために土砂流入量の多い高瀬ダム。土砂を毎日運び出しても全く追いつかないほどです。上高地などかつての天然ダムで起きた現象を実感するにも最適です。
温泉中の炭酸カルシウムが析出してできた噴湯丘(天然記念物)は神々しささえ感じられます。他にも太古の生態系の織りなす硫黄芝、球状の炭酸カルシウムの結晶・あられ石など、湯俣の「地獄」には見どころがいっぱいです。野湯も楽しみましょう。
本ツアーには北アルプスを徹底的に歩き込んで調査を重ねてきた原山先生が同行します。解説と調査秘話をお楽しみに。
安全を期するため、地学の専門知識を身につけているやまたみジオガイドも同行します。
地質や地形の基本知識はなくてもOK。ていねいに解説いたします。
原山先生の地質解説を聞きながら一緒に歩きましょう!
不動沢から南を見ると、一直線に谷が続くのがよく分かります。
できた当初は深い谷だったはずの高瀬ダム上流も、流れ込む土砂で今では河原になっています。
熱水による変質で、湯俣渓谷は赤茶けた岩壁となっています。
温泉中の炭酸カルシウムが積み重なってできた噴湯丘
原始の生物に近い硫黄酸化細菌の集合体 硫黄芝
炭酸カルシウムの球状の結晶
あられ石
崩れた土砂が温泉成分によって固まっているところもある
A:2023年10月19日(木)~20日(金)
B:2023年10月21日(土)~22日(日) それぞれ山小屋泊 1泊2日
9:00 七倉山荘前
14:30 七倉
【1日目】
七倉9:00→高瀬ダム上9:30→湯俣山荘13:30→湯俣地獄(噴湯丘)→湯俣山荘15:00
【2日目】
湯俣山荘7:00→高瀬ダム上11:00→不動沢→高瀬ダム上12:30→高瀬ダム下14:00→七倉14:30
※行程は標準コースタイムよりもかなり余裕を持たせてありますが、これは地質や地形の観察のためです。
※解散時刻はなるべく予定通りになるように努めますが、やむを得ない理由で過ぎる場合があります。ご承知おきください。
船窪岳の稜線から不動沢上部の崩壊地を見下ろす。高瀬川断層が走る船窪乗越付近は崩落が激しい。今回のツアーではこの崩壊地を下から見上げます。
不動沢の吊り橋から船窪岳を見上げる。
28,000円(税込)
※参加費にはガイド代、ガイド経費、保険代、資料代が含まれています。
※お客様ご自身の集合場所までの交通費、昼食代、宿泊費は別途必要となります。
5名様より催行、定員8名 ※先着順。定員になり次第締め切り。
※お申し込みはページ下方からリンクしている申込みフォームからお願いします。↓
1日に4時間程度、起伏の小さな登山道を歩ける方
山の地質や地形に興味のある方
ただ登りたいだけでなく、山の地質や地形に興味のある方
※ガイドもサポートしますが、湯俣の噴湯丘へは膝くらいの深さの川の渡渉と河原歩きがあります。
歩きやすい運動靴・濡れても良い靴(長靴や胴長は不可、河原や川の中を歩けるもの)・ 靴下、雨具(上下別のもの)、防寒具、帽子、行動食、非常食、飲物、ヘッドランプ(電池も)、着替え、ヘルメット、洗面用具、ザック、タオル、
※温泉卵を作りたい方は卵をぜひお持ちください。
※ヘルメットの貸出をご希望の方は事前にお知らせください(有料)。
※ご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
お申込み締め切り日:10月11日
最終催行可否決定日:10月4日
スケジュール、コースは天候などにより変更・中止になることがあります。
天気予報により、集合時間が早目になる場合がございます。その際は参加の可否を事前に確認致します。
2週間以内にご本人および同居家族の新型コロナウイルス感染が疑われる方、当日37.5℃以上の発熱や感染が疑われる症状がある方、体調が悪い方はご参加いただけません。
ご不明な点がありましたらお問い合わせ下さい。
上高地:ウエストン碑
世界一若い滝谷花崗閃緑岩と原山先生
本 名:原山 智(はらやま さとる)
職 名:信州大学名誉教授・理学部特任教授
所 属:理学部・理学科地球学コース
学 位:理学博士
専 門:火成岩岩石学 (珪長質マグマ岩石学,
火成活動史,造山論)
10/19-20のツアーを担当します。
田村茂樹
信州大学名誉教授の原山智氏の研究を大学在学時に知り、地質学に目覚める。研究者への道は断念したが、ガイドになってからは地質や地形の面白さを多くの方に知ってもらうべく奮闘中。山伏、猟師など様々な角度から山に関わり、街道歩きからバリエーションルートや雪山登山にバックカントリースキーまで、幅広くガイド活動を行っている。
10/21-22のツアーを担当します。
福田浩道
信州移住と勉強で山を歩けることから信州大学理学部地質学科に入学。大学進学を機に信州に移住した。以来、北アルプスの山小屋での小屋番も経験し、ガイド資格を取得。山岳ガイドとして開業し、現在に至る。学生の時の専門は構造地質学で、南アルプス巨摩山地を卒論のフィールドとして甘利山~鳳凰三山周辺のフォッサマグナの構造地質を調査する。
大地が熱く語る悠久の歴史を感じながら一緒に歩きましょう。