「社会人はエントリーシートをどう評価したか」

要旨

キャリア日本語の学習項目の柱の一つであるエントリーシート(ES)作成の指導が適切であるかどうかを調べるため、受講生が書いたESを社会人がどのように評価するかを調査した。その結果、社会人がESに求める内容と、教員がES作成に関する授業で指導している内容の間に大きな差はないことがわかり、現在行っているES作成指導の方向性を支持する結果となった。 

 調査は、まず44名の学生が指導を経て書いたESの「学生時代に力をいれたこと」を、24名の社会人に読んでもらった。 そして採用面接で会ってみたい学生を選んでもらい、その理由を 聞いた。この調査結果から社会人が学生に何を求めているのかを分析した。 その結果、「問題解決能力」「リーダーシップ」「諦めずにチャレンジする姿勢」 といった力を重視していることがわかった。 

キャリア日本語の授業では、特に「問題解決能力」、チャレンジに必要な「主体性」など、社会人も重視しているポイントを自分のエピソードの中でどう効果的に読み手に伝えるかを指導している。したがって、筆者らはキャリア日本語のESの指導は、企業が学生に求める説明力の習得に対応した内容であるという結論に達した。

今回の調査は分析対象となるデータの数もまだ少なく、前述の結論はさらなる検証が必要である。そのため、次の学期から本格的な調査を行い、 研究を進めていきたい。