「地域に入って学ぶ日本語プログラムの課題と可能性」

要旨

日本の在留外国人数は年々増加しており、各地域において多文化共生のための模索、施策が進められている。別府市では、市民と市が協働してよりよいまちづくりを実現していこうと、2014年に「別府市協働指針」が策定された。またAPUでは、2015年にAPU2030ビジョンが策定され、それぞれの住む地域や立場で、社会のために行動する世界市民を育成することを掲げている。このような動きの中、APUでは2017年度から、「地域の人々と交流し、地域について学び、与えられた課題にグループで取り組みながら日本語力を伸ばす」ことを目的に、日本語イマージョンプログラムが行われている。本発表では、過去3回実施されたこのプログラムを振り返り、特に改善を重ねた3回目の内容に焦点を当て、4つの設定目標(①日本語力を伸ばす、②地域に対する理解を深める、③地域の一員としての役割意識が持てる、④異なる文化背景を持った人々と協働できる)の達成度を報告する。プログラムの課題として、学生が地域に対して行った提案が、実質的な地域貢献にはつながっていないこと、また、地域の人が学生に求めていることと日本語プログラムが学生に求めていることが合致しないことが挙がっている。今後、参加学生が書いたログ、作文の記述などから質的研究を行い、学生と地域とをお互いに“win-win”の関係にするようなプログラムの改善、開発につなげたい。