中国語の「了」についての教授法

要旨

中国語の助詞「了」は中国語学習者にとって大きな難関の一つであり、上級レベルの学習者でもその使い方を間違えやすい。その理由は主に二つあり、まず、「了」は文法的意味と統語構造に基づき二つに分けられ、一つは動詞の後につける動態助詞(通称「了1」)で、動作の実現・完了を表す。もう一つは文末につける語気助詞(通称「了2」)で、状況の変化や新しい事態の発生、もしくは話し手の事柄に対する確認の気持ちを表す。これらの基本文法的意味に加え、「了1」と「了2」にそれぞれ細かい文法的意味があり、学習者にとって情報量が多く、理解しにくい。また、「了」が使われた文に過去に起きたことや過去にあった状態を表すものが多いため、学習者に「了」が中国語における過去マークだという誤解を与え、後続学習に影響を与え続ける。

本研究は中国語の初級段階を終え、準中級コースに入った学習者の作文から収集した「了」の誤用例を分析し、その誤用に至る原因を突き止めることを試みる。また、「了」の文法的意味を再整理し、効果的な教授法を提案する。